昨日とりあげた『はっぴぃママレード。』の北条晶が別雑誌で連載している四コマが『お父さんは年下♥』であります。って、なんだか熟知しているような口ぶりですが、いやいやとんでもない。Amazonのおすすめにあがってこなかったら気付かなかったかも知れない、なんていうのは、私は竹書房の雑誌は購読していないからなのですが、つまり今回単行本が初読となります。まったくの前知識なしに、いきなり単行本にて読んだわけですが、はたしてその感想は!? 正直なところを正直に述べますと、ちょっと微妙でした。
もう少し具体的に書かないといけませんね。『お父さんは年下♥』は、母の再婚によって年下の父ができました、ざっといえばこういう漫画です。『はっぴぃママレード。』が36歳女子高生の漫画だとすれば、こちらは18歳父。20歳の娘が、突然やってきた年下の父にとまどい、最初はわずらわしく思ったりしながらも、だんだんに打ち解けていく、そういうプロットの期待される漫画であるのですが、だとしたらもう少し父のキャラクターに魅力が欲しかったとそんな風に思うところがありまして、よって微妙と感じたのでありました。父のキャラクター、気弱で非力で頼りないちびっ子眼鏡キャラで、だから私にショタ好きの属性があれば、きっとこの漫画を受け入れることもたやすかったのではないかと、そんな風に思います。けれど、残念ながら私にはショタの素養はなく、だからぽっと出の頼りない男が、なぜか娘の男性関係にまで口出しする、そういうのはどうだろうなどと、比較的冷めた目で読んでしまった。そういうことなのであろうかと思います。
『はっぴぃママレード。』について、こういうことを書いていました。ストーリーないしはイベント重視というよりもキャラクター主導型
。またこうも書いていました。ただネタを見たいのではなく、見たいのはキャラクターの関係性なのかな
。キャラクターの魅力によって引っ張られるということに関しては、『お父さんは年下♥』も同様であると思います。そしてこういうタイプの漫画は、ことキャラクターに魅力を見出せないと、すごく残念なことになってしまう。今回のケースは、まさにそれだったのでしょう。私に、この漫画を受容するためのレセプターがなかった。残念です。読み進めるうちに、面白さにくすぐられ、笑ってしまうこともあった。それだけに、この漫画のもつ魅力にアクセスしえなかったことが残念と思われてなりません。
私は、漫画というものの面白さは、第1巻ではなく第2巻から現れるものだと思っています。初期設定が出そろって、キャラクターがこなれ、舞台の整備が一段落するのは、だいたい2巻に入ってから。経験上ではありますが、そんなこと思っています。そして、それくらいになると、読者と作者の申し合わせもできていて、どういう玉を投げれば受けてもらえるか、投げる側と受ける側、双方ともに諒解が済んでいるから、のびのびと投げて受けてを楽しむことができる。そんな風に感じることが多いのですね。
『お父さんは年下♥』は、第1巻時点においては、正味主要な登場人物といえるのは父母娘くらいで、他のキャラクターは匂わされながらも、まだその魅力を発揮できていないといったところかと思います。だから、面白くなるのは、彼らの立ち位置がよりはっきりとして、生き生きと動き出す次巻以降なのではないかと予感しています。私の読んだ感じでは、まだ場は暖まっていない。だから舞台が整うだろう2巻に期待したいと思います。
ただ、思うんですが、連載で読んでいるうちに充分に暖まった漫画と、いきなり単行本だけで評価される漫画、えらい不公平だよなあと思います。ええ、『お父さんは年下♥』は、今回、アウェイでの勝負でありました。
- 北条晶『お父さんは年下♥』第1巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2008年。
- 以下続刊
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