2009年12月2日水曜日

『まんがホーム』2010年1月号

『まんがホーム』2010年1月号、発売です。表紙はクリスマス一色。プレゼント抱えたらいか、サンタクロース思わせる赤い衣装のリコ、マキ、同じく赤い衣装の紫乃先生に、プレゼント抱えたみえことしゆき夫妻。ああ、すっかり12月、年末であるなあという実感を深めます。しかし、このリコ、可愛いな。この人、モテないことになっているけど、それは嘘だろう。マキに比べても勝るとも劣らない立派な美少女っぷりであります。

『おしのびっつ!』が忍者コメディとしての本道を歩んで、それが面白くてよい感じです。一般常識という観点からは逸脱している兄しのぶ、忍者的にも妹好き的にも一般的ではないというのに、社会的には妹くないよりもちゃんとしてるように見えるという、その工作ぶりがよいのですね。趣味でやってるわけじゃないけど、女装も得意。よいじゃん。そして妹独占工作のしたたかさ。ろくでなしであります。しかし、最後のくない、あれはあのまますっぽかしたらよかったのだよ。評判がさがるのは兄貴で、あんたじゃないよ? でも、そういう真面目さが彼女のよいところなのでしょう。

『ミライカナイ』の舞台が高校に。そうか、あの主人公、高校生だったか。でもって、主人公ひろしに気になる女の子が関わってきて、そして学校にフェイもやってきてという、王道といえば実に王道的。なんかテイストが違うから、王道といいながらも、ワンパターンというようには感じない。ちょっと面白そう。どうなるのだろ。楽しみです。と、それから、「く」の字より真っすぐの方がずっとよいかと思います。

『ゆとりの手もかりたい』、豊田アキヒロ新作です。没落お嬢様の話。ゆとりというのは、元お嬢様についてきたお手伝いさん。メイドの格好して、少々なまけながら、お嬢様を支えています。没落だなんだ、貧乏暮らしだなんだいうけれど、深刻さよりも、コメディとしての面白さが目立って、それで絵柄のせいもあるんでしょうか、ちょっとあたたかみ感じさせるようなところもあって、悪くないなというのが第一印象でありました。

恋愛ラボ』、やられた。あのハンカチがあったか。忘れてましたよ。そして本編は、ああ、これは効きますね。これまでも親しかったふたり。けれど、だましていたことが明らかになって、そしてそのわだかまりが流されて、本当にいい話でした。しかし、いい話なのはいいんですけど、姉に追求された件を告白するマキ、なんともいえん味わい深いいい顔してますね。こんな顔、これまで出たろうか。実によい表情でした。そして、エノは期待を裏切らない。素晴しいな。実にいい子たちであります。

で、アフレコレポート、あのガヤの台詞、冗談でしょうけど、妙にリアリティある会話が味わいあります。答に自信がない時、aにもdにも見えるように書いた書いた。eとbも似てるよね、筆記体にしたら。そして、スズ視点の特別編もあって、これもまた面白い。エノ、凛々しくてよいなあ。親しい間柄だからこそ見えるもの、感じとれるものがある。スズが皆をどう見ているか、そしてリコに勇気づけられるシーンなど、なんだか心に満ちるものがありますね。とてもいい。とてもいい話でした。

『お江戸とてシャン』。わお、単行本が出るんだ。これは朗報です。そして物語も大団円に向かって、江戸、大火、火消しの纏持ち虎吉の選んだもの、そして通じあった気持ち。いい話じゃないか。いや、以前からいい話だったんだよ。ずっと好きだったんだよ。だからこそ、単行本になるという話が嬉しくて、好きで追っていたものが認められたように感じられると、やっぱり嬉しいものですよ。よかった。そして、ラストの大ゴマ。とてもよかった。虎吉、やっぱりこの男、べらぼうに色っぽいよなあ。

ひいばぁチャチャチャ!』が終わりました。曾祖母と曾孫との暮らし。とりたてて盛り上るわけでなく、けれどその穏かに日々を楽しく暮らしているという、そうした様子がよかったのでした。そして、最終回においてもそのテンポは変わらず、それはとてもこの漫画らしいと思えます。そのらしさが今は逆にありがたい。そんなように感じます。

『紫乃先生美録』、連載になったとのことです。したたかな姉は小説家。オンではフルメイクの美人を演じ、オフでは素朴に可愛さを見せて、しかし姉としては酷い。けれど、その酷さはむしろ心地よいと思わせるようなものですから、オフ姉のほうがよいなあ。男の子っぽくて可愛いよ? しかし、フルメイクフル装備でないと外に出られないっていうの、不便だよなあ。大学時代の後輩思い出しちゃったよ。

『ちまさんちの小箱』、最終回です。とり子と雪宮の関係、どうなるんだろうと思っていたら、特に進展もなく終わって、けれどあの箱の作者であることが明かされるだろう可能性はしっかり描かれて、いやねとり子がちまさんちのスタッフになるという、ちょっとステップアップしての終わり、終わり方としては悪くないなって思えるものでした。私は、この漫画のアットホームな感じ、ちまさんちに通いつめるとり子の素直でほがらかなところ、好きでした。だから、終わってしまったのは、正直なところ、寂しいです。ふかさくえみという人、機会があればまた読みたい作家として覚えておきたく思います。

『イエス・マスター』も最終回。ちょっと覚悟してた。剛造じいさんにとっての転機が描かれて、そしてとわとの別れがほのめかされて、けれどそこにとわの意思というものががつんと描かれて、ああちょっとよいね。きっと私は思うのです。私は、こうして人の意思が状況に抗しようという物語が好きなのだなって。とわが選択した未来。その未来を受け入れた剛造。このふたりの信頼で繋がれた関係、それが好きだったから、このラストシーンはすごくよかった。ちょっと自由になった感じのとわさん。その自由の風がとてもよいです。

そして『えきすとら以蔵』も最終回。以蔵の半生を描いて、過去これまでから今にいたる、その時間が以蔵を作ってきたんだなっていう、そんな印象に、いつかスターになってくれればよいなあと思う気持ちを強めたのでした。そう、以前の特別編に見られたスターとなった未来を期待してしまうのですね。連載の間にはエキストラであり続けた以蔵、連載が終わって、そして彼らの時間が動き出すのだとしたら、それは喜ばしいことなのかも知れない、などと思います。ただ寂しがるだけではなく、ちょっと前向きにとらえたい最終回でありました。

  • 『まんがホーム』第24巻第1号(2010年1月号)

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