今日はまんがタイムコミックスの発売日、というわけで、今日まで漫画の話をしないようにしてきたのでした。一年最初の漫画の話題はこちらです、ってやりたかったんです。しかし、なぜそこまで四コマに、しかもまんがタイム系にこだわるのか、って感じですが、まあ、私の四コマの入り口がまんがタイム系だったから、なんでしょうかね。
さて、一年最初の漫画の話題は『恋愛ラボ』からです。女子中学生たちが、理想の恋愛を思い描き、特訓をするというコメディなんですが、第2巻ではフルメンバーが揃って話もどんどん進んでいって、これがもう面白い。私の、かなり気に入っている漫画です。
『恋愛ラボ』は、あくまでも基本はコメディ。恋愛特訓の的外れっぷりを楽しもうという漫画であるのですが、いやはや、それがもうただごとではない感じで、よくもこうまで話を膨らませることができるものだ、読むごとにワンダーを感じてしまいます。
なにがワンダーなのか。基本優等生で深窓の令嬢風の真木夏緒の暴走が半端でないのです。なにが彼女をこうまで駆り立てるのだろうと思うほどに過激、苛烈、極端で、狙いどころは定番中の定番シチュエーションであったりするのに、なぜそれを実際に試すとそうなるの!? それは疑問であり、それは不思議であり、やっぱりマキはすごい、恐ろしい子! ワンダーなのであります。
当初は、ボケ役のマキにツッコミのリコ、倉橋莉子のふたりで進行していたコメディが、途中からスズ、棚橋鈴音が加わり、そして第1巻の最後でエノ、榎本結子とサヨ、水嶋沙依里が参加して総勢五名となりました。この、登場人物が増えるたびに、基本保守的で変化を嫌う私は心配をしてきて、散漫になるんじゃないかとか、面白さの質が変わってしまうんじゃないか、そんなことを思ってきたのですが、いやいや、全然問題ないですよ。参加者が増えてネタも広がり、またボケとツッコミの畳み掛けもよりその密度を増して、面白いなあ、っていうか、みんな夢見すぎじゃないのんか、とはいいながら、男も女も、ああして恋に異性に夢をもってしまうというのは、しかたのないことのようにも思うんですね。
うん、私もちょっとは夢見たくなることがあります。
登場当初は妨害者であったエノとサヨ。そのためにちょっと悪印象を持ったりもしたんですけど、だってエノはえらくツンツンしてるし、サヨは変に無敵キャラだしで、でもエノに関しては砂糖菓子発言から、サヨに関しては打ち明けて謝るなら今だったのに
あたりから、その印象をがらりと変えて、いい子たちじゃないか、そんな風に思うようになって、ええ、この印象を一変させてしまった一連の流れ、これもまたワンダーであったと思います。実際、登場する子らをこうも皆個性的に描いて、そしてその誰もを魅力的に感じさせてしまう、その手腕はただものではない、そう思わせるに充分なものがあるのです。なんだ、いい子じゃないか。そうした印象は、読者である私だけでなく、登場人物間にもあるのかも知れません。なんだかんだ過去にあったとしても、それを引き摺ることなく、親密の度合いを増していく。そうした、友情を深めていくところ、それもまたこの漫画のよさであると思うのですね。
ええ、本当に素晴しい、そう思います。友人であるあなたをこんなにも大切に思っている、そうした気持ちが伝わってくるエピソードがあるんです。押し付けなんかでない、自然に素直な気持ちが伝わってきて、もう私は泣いて泣いて、こらえていた涙が、こう頬をスゥ…って。いや、ごめん、冗談なんかじゃなくて、あれは本当に泣く。コメディの楽しさの中に不意にさしはさまれたシリアスは、ただ物語を盛り上げるための薄っぺらな刺戟なんかではありえない、自分も感じていたことが今そこに描き出された、そう感じないではいられないほどに確かな重さを持った表現だったからこそ、涙を、共感を誘われるんです。それはもう、練習どころではなくなるほどに……。
すいません。ここは読んだ人しか相手にしない酷いBlogなんです。意味がわからない人は、多分、今年の後半くらいに第3巻が出るでしょうから、それを待ってください。私も楽しみに待ちたいと思います。
しかし、第2巻も見どころがかなりあって、それこそ個々のエピソードに触れていきたいくらいですが、それやるときっといつまでたっても終わらないので、しかしこの面白さは並大抵ではありません。そんな私のお気に入りはマキマキオ。エノが可愛いったらありゃしない。そういう私は、リコが好きですが、というか、あの娘はかなり魅力的だと思うですよ。ああ、そうか、私がこの漫画がいいなって思うのは、この娘たちに、私の嫌いな女臭さがこれっぽっちもないからなんだ。それは宮原るりの描く女性全般にあてはまるんだけど、自然体のその人らしさを感じさせる、そんなところがあるでしょう。その自然なさま、振舞いに、私はひかれているんです、きっと。
って、ほら、いつまでたっても終わらない。あ、そうそう、おまけにも言及しておきたい。子供っぽい友情と、少し大人になった友情、それが対比されるエピソード。一旦ウェイトを置いて、そして感情をふわっと広げてみせるそのやり方に、また、スゥ…、ですよ。ええ、彼女らの友情の確かさ、取り戻された関係、その幸いに、スゥ…。泣き笑いですね。ええ、幸いさに涙が流れることもあるんですね。
引用
- 宮原るり『恋愛ラボ』第2巻 (東京:芳文社,2009年),30頁。
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