2009年1月9日金曜日

夏乃ごーいんぐ!

  昨日、背の低いヒロインが好きだなんていってましたが、当月は同じく背の低いヒロイン夏乃陽子の活躍する『夏乃ごーいんぐ!』の4巻も発売されて、そりゃもちろん購入ですよ。私は、この漫画が好きで、たかの宗美の芳文社初登場となったこの連載に、ほー、知らない人だけど、面白い漫画を描く人が出てきたなあ。キャラクターもいきいきと動いて魅力的だし、なんて思っていたら、えらいベテランの人でした。ごめんなさい、存じあげませんでした。道理で、飛び蹴りが無闇にうまいわけです。

私がこの漫画にひかれたのは、背の低いヒロインが好きだから、ってのももちろんあるのですが、それに加えて夏乃陽子のアグレッシブさ、なんにでもポジティブに取り組み、必ずや成果をあげる、そのタフさに魅了されたんでしょうね。小柄、ちんまりとして可愛くて、声なんかちょっと聞き取れないくらいに小さくて、けれどアクションはダイナミック、やることなすこと強引、そしてなによりも元気で明るい。魅力的じゃないですか。ええ、すごく魅力的でした。

人は自分にないものに憧れるだなんていいますね。そういうことだったと思うのです。私はとにかく活力のない、そんな男でして、だから溌剌と仕事に取り組む夏乃陽子がまぶしく感じられた。夏乃陽子はデスクワークが嫌い、ですが私はまったくの逆で、体使う仕事が嫌い。そんな、自分と対極にあるようなキャラクターの活躍する様は、強引で無茶で過激で過剰なものでありましたが、晴れ渡った空のようなすがすがしさもあって、このすがすがしさ、さっぱりとして淀みのないところ、それが私にはとてもよかったのでしょうね。

おおっと、これって私が曇り空のように、どんよりとして淀んでるっていってるのと同じじゃないのんか? ……まあ、間違っちゃいないか。

夏乃のそうしたよさは、ただキャラクターの性格というだけではなくて、漫画全体からも感じられるような広がりを持っています。シンプルでわかりやすい。ひねったりうがったりするくらいなら直球勝負だ。そんな風にさえ感じられるネタは時に強引で、時に無茶なんだけれど、単純であるがゆえに面白いというところもあって、そして大切なのは単純だけど単調ではないってことだと思います。定番のネタでも、ちょっとした意外性をもって現われれば、おっと思う。しかもそれが勢いよく、最短距離を突っ切るようにして飛び込んでくるのだから、なおさらです。いきがいいなあ、そんな印象があざやかであるのですね。

さて、どんよりと淀んだ私のお気に入り夏乃はといいますと、4巻79ページ、綿入れ半纏はおって、横着に首つきだしてコップからお茶? すすっている姿だったりします。こういう、気取らない様子っていうのが好きなんです。気取らず、気張らず、真っ直ぐ。さっぱりとして実にいいじゃありませんか。

  • たかの宗美『夏乃ごーいんぐ!』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2003年。
  • たかの宗美『夏乃ごーいんぐ!』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2005年。
  • たかの宗美『夏乃ごーいんぐ!』第3巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • たかの宗美『夏乃ごーいんぐ!』第4巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

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