世間は不況だ、ものが売れないだとかいわれています。このままじゃデフレスパイラルに陥るぞ、とにかく今は消費を増やさないといけない、そういわれているのに、消費が増える気配はちょっとありません。ということは、この先にはやっぱりデフレスパイラルが待っているというのでしょう、いやだなあ。そう思ったものですから、ちょっと頑張って経済に貢献してきました。楽器、買ったのですよ。ソプラノサクソフォン。ほら、あの真っ直ぐなのがかっこいい
楽器ですよ。私の心のようにねっ
、っていいたいところですが、私はきっとカーブドネックを使っていくと思うから、残念、ちょっと曲ってしまっています。
買ったのは、昨年末に一目見て欲しくなった楽器です。YAMAHAの製品、ソプラノサックスでは最上級機種にあたるYSS-875EXHGでありますね。この型番、EXHGというのは、エクストラ・ハイ・グレードではなくて、High Gキー付きのEXという意味。ああ、EXがなんの略かは知りません。High Gキーというのはなにかというと、通常サックスでは最高音がHigh F#までなんだけれど、さらに半音上の音を出せるよう孔をあけました、ってことなんですね。これにより、高音域での演奏がさらに容易になりました、みたいなことがカタログには書いてあるけど、ただ孔をあけたら出るってもんじゃないからなあ。実際、今日試奏していたときも、確かに出るには出るんだけど、実用になりそう? っていわれたら、自分にゃ無理と答えたいところです。そもそも体力に劣り、少々へこたれてもいる私には、High Fくらいが限界って感じでありました。
試奏したのは、楽器を選ぶのではなく、楽器に取り付ける部品(といっていいのかな)、マウスピースを選ぶためでした。楽器っていうものは、こういうと語弊があるかも知れませんが、当たり外れがあるものなんですよ。いや、それはすべての工業製品にいえることではあるんです。車なんかでも、コンマ1秒以下で競い合うような世界においては、部品を精査して、精度の高さを追求します。楽器もそれと一緒で、とにかく性能命のものだから、同じメーカーの同じ型番のものでも、選んで使うのが普通のこととなっています。
その選定に数時間がかかってしまって、多分三時間くらいやってたと思います。あるいはそれ以上? ふたつのメーカーの5モデル、7本から最終候補を2本にしぼって、どちらがいいか、片一方は非常にオーソドックス、もう一方は広がりのある個性的な感触が面白かった。結果的に後者を選びました。マウスピースの個体差としては、前者の方が優秀だったかも知れないけれど、モデルとしての面白さで選びました。前者はバンドーレンのS27、後者は同じくバンドーレンのSL3で、そのどちらも息の入りはよかった(選ばれなかったものの中には、息が入らず、音量がかせげない個体もあったんですよ)。アンブシュアさえしっかりとしてくれば、高音から低音までしっかりと吹けて、しかしこれらは当然クリアされるべき最低限の資質です。よって、どれくらい表現しやすいかが重要になるのですが、まあどちらでもよかったと思っています。というか、余裕があったらそのS27も押さえておきたかったくらい。余裕がないから見送りましたけど。ちょっと未練ですね。まあ、S27を買ったら、SL3に未練を感じるに決ってるんですが。
サックスにおけるトップシェアは、おそらくはセルマーの製品だと思います。それはことマウスピースにおいては断トツで、あ、これはジャズじゃなくて、クラシックや吹奏楽での話ですよ、そういったわけで基準はセルマーということになっているらしいです。いやあ、それで参りました。サックスはマウスピースのほかにリードも必要なのですが、そいつをマウスピースに取り付けるためにはリガチャーという器具が必要で、それでもまた音が変わってくるので、当然また選ぶことになったのですが、バンドーレンのマウスピースはちょっと太いからリガチャーが合わないんです。ネジがしめられない。無理にやってゆがめてしまったら、お店に迷惑がかかります。唯一付いたのはロブナーで、しかしこれ重いっすね。抵抗感がすごくて、非力な私じゃ吹けない。ほんと、参ったなあ。お店の人に相談したら、バンドーレンのリガチャーが出てきて、そりゃもう当然ベストマッチですよ。なので、リガチャーに関しては選ぶ余地すらありませんでした。
余談だけど、アルトサックスでも私はバンドーレンのマウスピース、A20を使っているのですが、それにはハリソンのリガチャーを合わせています。これは、マウスピースの径に合わせて複数モデルが用意されているからこそ可能な組み合わせであるのですが、だから、ソプラノでもそうじゃないのかと思って聞いてみたら、カタログには1モデルしかなくって、ああもう、ソプラノってそんなにマイナーか! そんなにみんなセルマーが好きか! ひねくれて、星をにらんだ私でしたよ。
今回買った楽器は、プロ奏者による選定品。だから私が選ぶ必要はなかったのですが、いい機会だから875EXも試してみようと思っていたのです。もちろん、875EXの方がいいと思ったらそっちを買います。ですがそっちは売れてしまっていて、おお、私のほかにもソプラノ買った人いるんだ! 素晴しいなあ。ちょっと感動した。で、今の心配は、私の選んだマウスピースが正解であったかどうかがわからないってところですね。同じモデルの2本から選んだ、それはいいのですが、それはただましな方を選んだというだけで、たとえば30点と50点とあるうちの50点だったかも知れませんよね。もちろん30点と80点だった可能性だってありますよ。でも私には基準といえるものがなかったものだから、結局は相対評価にすぎず、レッスンにいってみたら、あんまりよくないね、っていわれるかも知れんわけです。不安だなあ。まあ、それもひとつの経験ですよ。
そう割り切って、これからさらに経験を積んでいきたいと思います。もしマウスピースに不満が出れば、その時には、きっともっとよりよく判断できるはずでしょうからね。ただ、バンドーレンを大量に置いているところってのを知らないからなあ。そういった情報を仕入れるのも、課題のひとつかと思います。
引用
- 都桜和『うらバン! 浦和泉高等学校吹奏楽部』第1巻 (東京:芳文社,2008年),107頁。
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