2009年12月11日金曜日

PHONON 2551 VISION

 私が平沢進のことを知ったのは、著作権に関する記事がきっかけでした。ほら、2004年ごろに海外盤CDが輸入できなくなるかもしれない、とかいって大騒ぎになったことがあったでしょう。あの時、私も一緒になって騒いだりしましてね、おかげでちょっと署名であるとか法文であるとかが少し身近になったのでした。で、最初は反対するとかいってたサイト名が反対しつづけるなんてなっちゃったものだから、なんか私も反対し続けないといけない気分になっちゃって、著作権関連の動きとか記事とかを継続して追う習慣ができてしまったんですね。そして出会ったのです。「補償金もDRMも必要ない」――音楽家 平沢進氏の提言。気骨のある人がいるなあと思って、記事中の氏のサイトにいってmp3ファイルをダウンロードして、聴いたりして、しかしこの方がまさか。いや、ほんと、知った時には驚きました。

(画像は『点呼する惑星』)

けいおん!』ですよ『けいおん!』。ヒロインの名前、平沢唯。それがなんと平沢進氏に由来するっていうんだから驚いて、しかしそれ、自力では気付けませんでした。いや、だってさ、接点があるようには思われなかったんだもの。P-MODELのメンバーが名前の由来だよっていわれて、ふーん、って思ってて、そのころP-MODELって知らなかったんです。ヒカシューは知ってたんだけど、常に私の知識は偏っているもので、ああ、なんでちゃんと見てなかったんだろう。で、平沢進ですよ。アニメの始まる直前くらいに、あの著作権の人かーっ! って気付いたんですね。私はいつだって遅いんです。かくして遅まきながら、平沢進氏のCDやDVDを買っているという次第です。

最初に買うのなににしようと思って、ずっと決めあぐねていたのですが、とりあえずは無料で聴けるものから気になった曲をと思って、BLUE LIMBOを選んで、あと入門に最適というから『映像のための音楽』を選んで、捏造スプリング・リバーブと僧侶風ヴォーカルエンジンに興味津々で『点呼する惑星』、最後の平沢流ギター・アルバムというキャッチフレーズにひかれてICE-9を選んで、けどこれでもまだまだ一部にすぎません。そして映像作品にも手を出して、新しいものからちょっとずつ見ていこうと思い、PHONON 2551 VISIONPHONON 2550 VISIONも買ったんですね。

そうしたら、このライブビデオがとてもいい。キーボードを弾き、謎の車輪つき機械(graviton)を操作し、そしてTALBOギター ICE-9を弾く。かっこいい! いや、ほんと。基本的には歌のステージなんですが、ステージに仕掛けられたギミック、あれが本当に格好よくて、だって、あの車輪まわすのも、別に普通のMIDIキーボードでいいわけですよ。けれど、あれをあえてまわすことに意味があるのだろうなって。そして、テスラコイルを利用した楽器(?)、Zeusaphoneが登場して、あれはそりゃ観客もどよめくわというしろもの。でも、かっこいいよなあ。などと、大いに感銘受けたのでありました。

PHONON 2551 VISIONを見たいと思ったのは、公式サイトにて公開されているダイジェストにて、観客が手をあげて応える、あの曲の印象が強かったからなんですが、それが実にZeusaphoneの活躍した「夢みる機械」でありました。語り主体の曲でありまして、実にこれが面白いんですね。語りから歌に入り、そして右手を掲げてあのフレーズ! 観客の反応もクイックで、これはすごい、これは面白いよ。もう、こういうの大好きです。最高だと思います。

この人の歌は癖になります。繰り返されるフレーズが脳に残るんですね。むしろシンプルであるといえるフレーズが、もう全然飽きません。聴いているうちにどんどん好きになっていって、ああこの曲いいなと思って、そして過去のアルバムに向かっていくんだろうなという予感がひしひしとしています。けど、アルバムもものすごく多いんです。全部買うのは多分無理だろう。今買えるものを少しずつ揃えていく、その揃えきるまでに廃盤になったりしませんようにとただ祈る気持ちであります。

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