『女クラのおきて』が終わり、そして『うさぎのーと』が始まり、しかし『うさぎのーと』の印象はそれはそれは悪かったのでした。理由はひとつ。犬飼先生(弟)の口調そして振舞いです。あれはちょっと洒落になってない、女性に対する態度としても、それから教師としても。でもね、不思議なものなんですが、二回三回と、読んでも駄目だったんですが、四回五回と読み進めていくとだんだん大丈夫になっていきまして、六回七回八回九回ともなればもうなんともない、むしろ愛らしいキャラクターじゃないかと思うまでになっていたんですね。こういうところに私のスロースターターぶりが見て取れて、しかし思い返せば、私の師走冬子に対する評価は、常に遅れていました。『女クラ』しかり『ちるみさん』しかり。けど、ある程度読んでいるうちに好きになっている。今回もまさしく同じケースでありました。
そんな『うさぎのーと』、いったいどういう漫画であるかといいますと、変な教師だらけの中学校もの、であります。主人公は宇佐見雪、生物教師、なんだけどあんまり授業している風景出ないなあ。自分の担任しているクラスの生徒が大好きで、脅威の情報収集能力でもって度肝を抜いた……、けど普段はどじっ子というか、自由さが規範を上回っているというか、けどなんだか許せてしまいそう、そんな感じの、先生らしくない先生です。
そんなうさぎ先生に対するカウンターになっているのが、冒頭でもいっていました犬飼先生(弟)で、がらが悪く、言葉も悪く、けどその内面は世話好きで繊細で、今風にいえばツンデレなのか? いや、デレは兄貴に対してくらいか……。強烈なブラコン、同じ学校に勤める兄のことが大好きで、それはもう一種の変態といって構わないくらいです。
私が最初どうしても駄目かもと思った犬飼先生(弟)ですが、それがだんだん大丈夫になっていったのは、柄の悪さ、あたりの悪さを上回る人のよさが描かれるようになってきたからで、ちょっと昔の漫画になりますが『赤ずきんチャチャ』のラスカル先生みたいな感じといったらいいでしょうか。あんなに怖そうで、取っつきにくい人なのに、実はすごくいい人。むしろそのギャップが病みつきになるといった趣があります。ギャップが病みつきというと、この漫画にはそういうキャラクターが割と多いように感じます。第一に犬飼先生(弟)がそう、あとは見た目は変態中身はまともの袋小路先生とか、かわいさが罪の片岡瞑とか、けど私はそんな片岡さんが好きです。
じゃないや、こうしたギャップが魅力になるキャラクターが多いためなのか、あるいは魅力の引き出しがたくさんあるキャラクターが多いからなのか、じわじわと好きになっていく、そういうところがどうも『うさぎのーと』にはあるようで、最初は苦手にしていたなんていうけれど、今ではすっかり好きになってしまって — 。毎月を楽しみに読むばかりか、実際こういう学校があるというなら、教師となって働きたいくらいだなんて思うほどです。
- 師走冬子『うさぎのーと』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
- 以下続刊
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