2008年8月6日水曜日

氷川へきる作品集 TG天使ジャイ子ちゃんDX

 これ、7月25日発売だったのか。今日になるまでまったく気付いておらず、危ないところでした、買い逃すところでした。『TG天使ジャイ子ちゃんDX』は、『ぱにぽに』で知られる氷川へきるの作品集であります。『テックジャイアン』誌に掲載されたもろもろを収録する一冊は、そのタイトルにDXとあるように確かにデラックスで、カラーページは充実、その上、黒・銀の二色ページなんていうのもあって、すごい。でも、人には勧められないよね、勧めちゃいけないよね。そんな気もする一冊で、だってあまりにも内容が酷い……。それこそ、本当にこれ、雑誌に載ってたの!? って思うようなネタも散見される、そういう漫画なのですね。人によっては、呪詛の言葉も漏れかねない。だから私はこれは誰にもお勧めしません。

けど、本当に酷い。グダグダというんでしょうか、そこはかとなく漂う台無し感は他の追随を許さないレベルにまで極まっていて、きっとこれ見て、怒る人とかいるんだろうなあ。買って損したとか、金返せとか、そう思う人がいてもおかしくない、そんなレベルです。けどこれをどうしようもなく面白いと感じる人もいるんだから困ります。実際、私には強烈に効く漫画なんです。笑いを抑えられないネタがある。それも頻繁にある。特に酷いネタであるほどに面白く感じてしまうのはどうしたものか。酷いネタが畳みかけてくる面白さというのは、もう抗えないほどに魅力的で、それは自分でも疑問に思うほど。こうした感性は、長く『ぱにぽに』に触れてきて、氷川へきるのテイストに慣れきってしまったからなのでしょうか、飼いならされてしまったとでもいうのでしょうか。けれど、面白いものは仕方ありません。きっと一般には理解されないだろうけれど、私にはこれが面白いのです。

しかしそれにしても、どこがどうなってるから面白いと、具体的に説明しにくいのが困ります。いつもの調子で、読んだらわかる、だから読んでみろっていいたいところですが、きっと読んでもわからない人が大半だろうから、口が裂けてもいえません。でも、『ぱにぽに』のジゲヨさんのシリーズが好きな人ならきっとわかってくれるはず。マッケンロー!! ワーオ!! ナイスガッツに続くマッケンロール!! アリソー!! ナイスフォロー!!の破壊力。こういうネタが許せないという人は、きっとこの本は買ってはいけない。そんな気がします。

そういえば、上記のジゲヨさんのシリーズに出てくるジョンとベン、『テックジャイアン』が初出だったんですね。こんな具合に『ぱにぽに』や『まろまゆ』と微妙に関係していたりして、というかタイトルに出ているジャイ子、二階堂光は桃月学園1年A組というところからして『ぱにぽに』に関連しているのですが、本当、この自由闊達さは素晴らしい。というか、自由さに関してはこの漫画のいたるところから感じられて、もうすごい。というか、これを載せる『テックジャイアン』っていうのもすごい雑誌だなと思うのですが、願わくばこの勢いのまま、いけるところまで突っ走っていって欲しい。心の底から思います。

ところで、やばいネタ微妙に散見されるこの本ですが、76ページのイラスト、ええと噴火する富士山の絵だと思うのですが、最初全然違うものと見誤ってしまった私自身、かなりやばい方向に振れてしまっていると思います。でもいいや、やばくて。というわけで、私は「TG家族」、「エンドセクター」の微妙に危険なさくらとお母さんが大好きです。あと、ネズミのネタ、どうも作者はこういうのお好きなようですが、私もかなり好きです。あ、そうそう。マッチョドラゴン、私も検索してみましたよ。正直、ああいうネタの振り方は反則だと思いますが、でもすごかった……。

引用

  • 氷川へきる『ぱにぽに』(東京:スクウェア・エニックス,2005年),86頁。

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