2005年6月29日水曜日

ぱにぽに

    こいつは実に一筋縄ではいかない漫画で、まずシニカル、そしてナンセンス。パロディもなんかいたるところにあるし、小ネタはもうそれ以上にあるしで、けどこの漫画の面白さはそういうのとは違うところにあるんだと思います。この漫画の面白さってのは、投げっぱなしの面白さで、やたら個性の強いキャラクターに絡めたネタをドーンと投げて、その後放りっぱなしみたいなそういうところが魅力なんだと思います。

けど、その投げっぱなしの面白さがわかるまでには、ちょっと時間がかかるかも知れません。というのは、登場人物が半端じゃなく多いんですね。公式サイトに人物紹介というのがあるのですが、もうあんなのじゃ全然足りない。というか、ベホイミが違いすぎジャン! きっと更新してないんでしょうね、一巻あたりから……。現在第七巻の時点では、レギュラーキャラだけでもあの三倍以上くらいいます。

その膨大なキャラクターの見分けがついて、それぞれの関係がわかってはじめて面白さがわかってくるのが『ぱにぽに』なんだと、自分の読んできた歴史を振り返ってみて思います。最初は、いったい誰が誰だかわからない、ベッキーと橘玲、片桐姫子あたりはさすがにすぐ覚えましたが、上原都あたりがあいまいで、宮田晶や綿貫響とよくごっちゃにしていました。ほんと今では考えられないような低レベルな話です。

今? もちろんちゃんと区別つきますよ。宮田、綿貫は当然、柏木姉妹だってどんとこいですよ。

この漫画は投げっぱなしだとはいいましたが、投げっぱなしのようでもちゃんと考えて投げてあるみたいなんですね。だから、無意味にギャグやなんかを連発するようなのとは一味も二味も違って、意味不明だったネタが伏線として利いてきたりなんてのはざらにあるし、単発ネタだと思っていたのがシリーズ化されるようなのもあります。定型や類型を利用してその裏をかくというのもうまくて、ほら、よくお約束だなんてよくいったりしますが、そういうのを期待させるようなのりで進んでいたというのに、最後の最後でしっかりはずしてみるとか、むしろ台無しなネタを持ってくるとか、このあたりの翻弄ぶりが気持ちいいんです。これが駄目だというようなまっすぐな人には楽しめない漫画かも知れませんが、読んでいるうちにじわじわと効いてくる中毒性があって、だから私なんかはもう完璧な中毒者といっていいくらいです。

そういえば、身も蓋もないネタというのも多いですね。なんだかんだいったところで、『ぱにぽに』の面白さは、身も蓋もないネタ、言動、落ちにあるんじゃないかと思います。

蛇足:

好きなキャラクターいってみよー。一口にはいえませんが、強いて三人挙げるなら、秋山、芹沢、ベホってとこでしょうか。育ちがよさそうなのに口の悪い女の子っていいですよね! ダメカナ?

  • 氷川へきる『ぱにぽに』第1巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2001年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』第2巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2002年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』第3巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2002年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』初回限定特装版 第3巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2002年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』第4巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2003年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』初回限定特装版 第4巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2003年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』第5巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2004年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』初回限定特装版 第5巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2004年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』第6巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2004年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』初回限定特装版 第6巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2004年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』第7巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2005年。
  • 氷川へきる『ぱにぽに』初回限定特装版 第7巻 (ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2005年。
  • 以下続刊
  • 氷川へきる『ぱにぽに — 桃月学園絶対入学マニュアル』(ガンガンファンタジーコミックス) 東京:スクウェア・エニックス,2005年。
  • 氷川へきる『まろまゆ』第1巻 (Dengeki comics EX) 東京:メディアワークス,2004年。
  • 以下続刊

今回の記事はにゃんげつ雑記帳との共同企画でお送りいたしました。

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