2005年6月6日月曜日

ルービックキューブ

  先達てスネークキューブなるものが子供の頃はやっていたうんぬんと、懐かしのおもちゃ思い出話なんぞしましたが、世間一般においては、断然ルービックキューブのほうが人気でありまして、各面3×3のブロックで構成された立方体のおもちゃを、子供も大人も、お兄さんもお姉さんも、みんな暇さえあればがちゃがちゃいわせて、なんとか六面体を完成させようと必死であった時代があるのです。どこのうちにいってもこの六面体は転がっていて、従姉妹のうちにも友達ん家にも、ピアノの先生のお家にもあって、そしてもちろん私のうちにもあったのでした。

ルービックキューブ、いま口にしてもなお甘味なる言葉。あの八十年代という素晴らしき時代を語るに、ルービックキューブを欠かすことはできないでしょう。スタジャンでオシャレにキメたヤングたちは、ウォークマンのヘッドホンもりりしくさっそうと街を闊歩し、手持ちぶさたにルービックキューブをかちゃかちゃやっているのというのがナウかったんですよ。この頃の風俗というのは、当時のヤング向けコミックなんかで今も懐かしく振り返ることができますが、ブリッ子と揶揄された女の子たちは、リボンやフリルをあしらった服に身を包んで、男の子はといえば、そうそう、あれだ。全盛期のマッチとかトシちゃんを思い出してくれればいい。柄のシャツにサスペンダーなんかをして、なんか変な感じでしたよね。でも、今になってみれば、懐かしさも手伝うからか、なんだかもういっぺんくらいああいうファッションがはやっても面白そうなのになあと思ったりします。

私は死んでもあんなの着ないと思いますが。

さて、ルービックキューブの話に戻りましょうか。実をいうと、私の周辺ではそれほどルービックキューブははやっていなかったんです。というのもですね、これで遊ぶには私らはまだ小さすぎて、なんせ結構込み入ったパズルでありますから、だいたいハイティーンから二十歳過ぎのヤングまでくらいがブームの中心で、後はその最先端の流行に巻き込まれて引き込まれたみたいなおじさん、おばさん、そして私ら子供が続いたといった感じで、だからうちにもルービックキューブはあったとはいえ、六面を完成させられる人間は一人もおりませんでした。

でも、今うちに残されているルービックキューブは、きれいに六面ともに色がそろっているんですね。なんでなんでしょう? 誰かに頼んでそろえてもらったのでしょうか。

と、ここに裏技というのがあるのですよ。この技を開拓したのは近所の悪ガキ仲間でありまして、まあこの手の技を操るものは日本中あちらこちらに山といたかと思われます。その手順は実に簡単で、どれかひとつ頂点のブロックに力をうんと加えて、外しちゃうんですね。ひとつブロックが外れれば、キューブはばらばらに解体することができます。そう。一旦解体したキューブを、再度組み合わせてきれいな六面体を復元するという技があったんです。

そりゃ反則だという声も聞こえてきそうですが、でもこうした反則を駆使しないことには私らにはどうにも完成なんて無理だったのです。聞いた話では、反則技を編み出したとこの兄貴は自力で六面を完成させたという話で、なのでやっぱりそういう話を聞くと、カッコイーなーなんて思ったものですよ。

あの当時は、ルービックキューブの早揃えを競い合ったりするコンテストやらテレビ番組やらがあって、ある種時代の熱狂を感じますね。今、あんなに日本中で熱狂するなんてことってどうもないような気がします。大人も子供も、お兄さんもお姉さんも、みんなこぞって打ち込むようなものというのは、分衆の時代を経た今には存在し得ないもんなんだろうなと思います。

いや、そんなことないか。あの当時はパンダがブームでしたが、最近ではパンダはパンダでもレッサーパンダが国民的人気を勝ち取りそうな勢いでした。日本人の根は、案外あんまり変わってなさそうです。

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