師走冬子というと『スーパーメイドちるみさん』が代表作になるのだと思うんですが、実は私にとってはそうではなくて、なにしろ私はラブリー読みからスタートしたものですから、つまりは『女クラのおきて』の方が印象が強かったりします。『女クラ』がはじめてラブリーに掲載されたときの印象は最悪で、なんじゃこの勢いばっかりの設定漫画は、だなんて思っていたのですが、気付いたら好きになっていたというのですから、人間の好みというものはいいかげんなものです。さらにいうと『スーパーメイドちるみさん』の印象も最悪で、なんじゃこりゃメイドものか、はやりに迎合しおって、なんて思っていたら、いつの間にかうちには全巻そろっていて、もうなんていい加減なんだろう私という人間は。ひとしきり反省します。
そんなわけでいつも悪印象からはじまる師走冬子の漫画ですが、『いつも心に太陽新聞』に関してはそうした悪印象はなくて、というのはですね、私はこの漫画のはじまったころを知らないのです。『太陽新聞』の連載されていたのは『まんがタイムナチュラル』で、私は『ポップ』は買っていましたが『ナチュラル』は買っていなかった。これ、今から考えると大きな落ち度でありまして、『ポップ』に手を出すのなら等しく『ナチュラル』も買っとけよ。けれどその頃はまだ全誌買いなんてことをやってなかった時代で、だから迷いつつ見送ったのですね。
だから、私がこの漫画を読んだのは『ナチュラル』がなくなって後、掲載が『スペシャル』に移行してからですね。その頃には絵柄も路線もキャラクターも全部かたまっていて、それゆえかスムーズに抵抗なくはいっていくことができて、面白かったですね。面白かったですよ。師走冬子特有の突飛な設定も多少はあるとはいえ、他の漫画に比べればずっと薄いし、その分漫画のもつ表現も薄めなんですが、だからといって面白さまで薄味というわけじゃないんです。私にはいい味付け加減で、全体に薄味気味だけどうま味はしっかりしてますよという、そんな感じの漫画です。のんびり寝転がって、ほのかな笑いが欲しい休みの午後なんかには、本当にうってつけの漫画なんじゃないかと思います。
蛇足
それはこばとだっ。けど桜木先輩もきっと好き。
- 師走冬子『いつも心に太陽新聞』(まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2006年。
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