昔、エレキギターを弾くと不良だといわれた時代なんてのがあったと聞きますが、そうしたエレキ世代もすっかりいいお父さんになって、定年を迎えたりして、このごろやっとゆとりが出来たりしまして、若いころにやりたくてはたせなかったエレキの夢よ、今一度。憧れのギターを手にしようという人はきっと多いのではないかと思われます。
NHKの趣味悠々で開講されている『楽しく弾こう! 大人のエレキ・ギター』などは、まさにそうした世代に向けられたメッセージなのでしょうね。扱われている曲というのも、GSやベンチャーズという、まさに私の父が若かったころに流行っていた、そうした音楽ばっかりです。はっきりいって私の父なんかは狙い打たれた世代真っ直中なのですが、残念ながらプライドが高いのかなんなのか、ギターを手にしようという気はないので困ります。若いころやりたかったんだなんていうなら、今からでも始めればいいのにさ。
実をいいますと、放送が始まる前にこの本を書店で見つけていたのですが、その時は見送ったのですよ。悩むことは悩みました。けれど私は残念ながらベンチャーズ世代ではなく、GS世代でもなく、つまり、これだっという決め手に欠けていたのですね。だから、最初にいったように、この番組およびテキストは特定世代を狙い撃ちするものであって、そこからはずれた世代にはあまり訴えないだろうというように感じます。
けど、テレビを見て驚きました。私が見たのは『十番街の殺人』の第一回なのですが、講師である小松久氏が弾いているのを見て、おいなんだこれ、妙に難しいじゃんか。ちょっと見てそれとわかるくらい、しっかりした曲をやらせて、しかもそれを二週で完成させるの? 生徒さんはというと、そこそこは弾かれるのだけれども、そうはいってもテレビだからか緊張して固くなってらっしゃって、いやあそれ以前に難しいって。二週間じゃむりだって。思わず突っ込み入れずにはおられないような難度なんですね。
だからテキストを買ってしまいました。でも、これやっぱり初心者向けの内容じゃないですよ。一番最初の曲、『亜麻色の髪の乙女』ですが、いきなりピッキングアルペジオってなんだい。難しいってば。いきなりやらせる内容じゃないですよ。
といいながらも、なんか私はわくわくしてて、しくじりましたね。つべこべいわずにテキストを買って、番組も見ておけばよかったと本当に後悔します。絶対面白かったと思う。私はエレキよりもアコースティック寄りですが、それでもきっとためになったに違いないと、そんな風に思うんですね。まあ、テキストは買ったから、独習でなんとかするさあ。
- 小松久『楽しく弾こう! 大人のエレキ・ギター』(NHK趣味悠々) 東京:日本放送出版協会,2006年。
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