2006年5月22日月曜日

雨の広場

私は高校生の頃、なんでか児童文学を書く人になりたくて、そうした欲求からなのかNHKの児童向け番組をとにかく見てたのですが、その頃の歌のお姉さんが神崎ゆう子さん。歌がうまくってですね、とにかく素敵なお姉さんでしてね、私は大好きでした、といったらあたかもお姉さん目当てで見てたみたいにも感じますが、そういうわけではないんですよ。

大学に通ってたころでしたか、行きつけのCD店に神崎ゆう子さんのアルバムがあって、けどこれまで聴いてきたような児童向けのアルバムではないみたい。買いまして、聴きまして、全体に雰囲気はやっぱり優しくて、歌のお姉さんのイメージを大きく逸脱するものではなかったのですが、けれどそれでもやっぱり歌のお姉さんというくくりだけでは語れない違った側面も感じられて、素敵なアルバムであるなとそんな風に思ったものでした。

今日の職場へと向かう朝の道、神崎ゆう子さんのアルバム『ぽこ・あ・ぽこ』から一曲がかかって、『雨の広場』。私はこの歌が好きで、全体に土俗的なリズムをそわせ、けれど歌の雰囲気はなんか清浄でしてね、途中突然天を指向するかのようにのぼっていくフレーズの美しさ、広がりったらありません。私はそのフレーズにさしかかるたびに、決まって美しいなあとうっとりする。歌詞がまた強い。水牛が空を見上げ……。

まるで情景が目に浮かぶかのようで、群をなす水牛たちが雨の降る草原に空を見上げて、それはもう荘厳な空気さえ漂わせるような……。祈りに似た気持ちに包まれるかのような瞬間であるのです。

そして私はこの曲にとりつかれて、今日は一日、水牛が空を見上げる情景を心に描きながら、同じフレーズを繰り返していたのでした。美しく、天を仰ぐかの思いを胸に、この歌を繰り返したのでした。

引用

0 件のコメント: