どんなものにしても、一番最初に使ったものが自分にとっての原器となるのかも知れないと思うことがあります。私にとって、例えば辞書なら『広辞苑』で、記憶にはっきりと残る出会い方をして、何度も何度も引いたというその経験が評価尺度の基準になっています。だとしたら、私にとっての類語辞典の基準とは小学館の『類語例解辞典』なのではないかと思います。
私がはじめて使った類語辞典は、システムソフトエディタというソフトウェアに同梱されていた電子辞書で、それが『小学館類語例解辞典』だったのでした。最初はいったいどんなものだろうかと思っていたのが、使ってみたらこれは本当に便利なものでありまして、レポートにせよ論文にせよ、そしてサイトに載せる記事にせよ、文章を書く際に大いに役立ってくれたのでした。
けれど、システムソフトエディタというのも古いソフトだから、私の今使っているOS X上では動作しないんですね。だからこのお気に入りであった『類語例解辞典』は今はもう使えないんです。辞書のデータが汎用形式だったらよかったのにと思ったりして、また私に技術があれば、なんとかこれを見られるようにしたいとも思うのですが、なにぶん私にはそういった技術がないものだから、残念に思いつつ見送っておるのです。
この辞書は、言葉をその意味に従ってカテゴリー分けしていて、私はそういったタイプの類語辞典しか知らないのですが、どうもこういうやり方というのはちょっと画期的な方法だったみたいですね。十進分類みたいに三桁の数字がふられていまして、代表的な語句が見出しになり、そして類語がたくさん書かれている。また、を見よ参照もあり、違うカテゴリーに移動しながらよりふさわしいと思える言葉を探すというのも可能でした。
私がこの辞書を使っていた期間というのは意外に長く、OS Xに移行したのが2003年のことだから八年ほど使っていたのですね。だから、やっぱり私には類語辞典といえば『類語例解辞典』となっているようで、実は講談社の『類語大辞典』を持っているのですが、昔使ってたやつの方がしっくりきたなあと思うことが実に多くて弱っています。
類語辞典を欲しいと思うのは、こうした文章を書くときもそうですが、短歌を詠むときなんかが実にそうで、あれはとにかく三十一文字で表現しないといけないから、語彙力が求められるわけですよ。でも、私はそんなに言葉を知らないもんですから、ときには辞書に頼りたい。けれどしっくりとくる言葉が見つかることなんて実にまれで、もしあの時のあの類語辞典が手もとにあったらばなんて思う、のですね。
辞書だらけになってしまうかも知れないけど、一冊買っとこうかな。どうしようかな。
- 『使い方の分かる類語例解辞典』東京:小学館,1993年;改訂版.2003年。
- 『使い方の分かる類語例解辞典』東京:小学館,1993年。
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