2006年5月2日火曜日

心のかたち

  なんかちょっといろいろあってさ、ここのところメランコリック気分。なんていうんだろう、そうした気分もたまには悪くはないんだけど、でもなんでかこうしたときには誰かに心のうちをうちあけたくなるものでしてね、けどそうした試みが成功することってのはまあめったにないわけでして、なんていったらいいのかなあ、通じないんだ。言葉の不完全さがいけないのか、単に私の表現力の乏しさか、話せば話すほど私の思うところからはかけ離れていって、最後の方には、そうじゃないんだ、そうじゃないんだ、ばっかりいってる。そして寂しさ、悲しさはいよいよつのって、よくないよねこういうの。うん、よくないよねこういうの。

でさ、こういうときに思い出すフレーズがあるんです。海援隊の歌の一節で、今 心のかたちが 言葉にできない。私は海援隊というグループはそれほど好きではないのですが、けれども奴らいい歌書きやがるなあって思うんです。本当にいい歌を作ると思うんです。

心のかたちが言葉にできない。本当にそのとおりだなあって思う。言葉のつたなさがありのままをありのままに伝えられないこともあれば、心にわだかまる怖れが言葉をつまらせることもままあって、けれど仮に怖れが消えたとしても、克服できたとしても、出てくる言葉がどれほど心をそのままに伝えているものか。ああ、私には自信がないね。これだけ文章を書いて、いろいろ試したりもしてきてさ、うまくいったと思えたことがない。いや、その時だけならうまく伝えられたと思えることもあるのです。ですが、それが後に幻想であったと知れることの悲しさったらなくってね、あかんわ、本当に心のかたちというのは言葉にならない。ため息ついちゃいますね。

とまあ、こんなこと書いて、メランコリックを振りまいていけないなあなんていったりして、けど内心はちょっと違うんです。けどそれもまたうまく表せそうにないから、私は口をつぐんでおこうと思います。言葉を重ねるより、海援隊を聴いていただく方が、きっと伝わるなにかは多いはずなんだ。普遍の域にたどり着くことのできた歌の力は、いや増して言葉以上であるなと思います。

引用

  • 武田鉄矢『心のかたち

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