2021年3月14日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年4月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年4月号、先日の続きです。

『恋する小惑星』

なんで扉絵がドリフなの!? と思ったら、なるほど今回皆で温泉にいくんですね。地学部の面々と、そしてすずちゃんも、というんですが、すずの言動予想してちょっと心配しているみら、あおがいい感じ。きっとテンション高くいんだろうなすず、と思ってたらすずちゃん絶賛落ち込み中。ああ、文化祭の出店コンテスト、優勝とれなかったのがショックだったんですね。

今回は温泉、ということで地学の話がちょこちょこ出てくるの、さすがの見せ方でした。非火山性温泉と火山性温泉の区別、海底に存在する熱泉などなど話題は多様に展開し、そのたびにすずがインスピレーションを受ける? いや、なんか迷走しているだけにも見えるんですが、すずさん、大丈夫ですかね。

天然温泉で青いのがあるの、レイリー散乱によるのもあるんですか。これは知りませんでした。ここで気象メインでやってるナナが解説横取りするの、ああ知ってることあると話したくなっちゃうよね。いい感じでした。で、メグが地震雲について触れた時のナナの瞬発力! ナナさん、頼もしいなあ。惚れ惚れします。

こうした地学トピック扱いながら、次の部長だとか進路の話だとか出てきて、イノも部長引退ですからね、この子たちの部活のいろいろも変わっていきますよ。そして元気取り戻したすず。うん、やっぱり迷走だと思いました。

『あやしびと』

夜の学校に幽霊が出るという噂。あー、妖人、あやかしの存在するようなこの世界においても、おばけ幽霊は怖かったりするんだ。

生徒会長ふぶきもともなって噂の調査にいくことになるんですが、みぞれがアヤにぴったりくっつくの相当に面白くないみたいで、めちゃくちゃに圧かけてくるの予想どおりというか期待どおりというかで最高で、で、みぞれがお姉ちゃんの手握っててもいいっていってきたの、理性保てないかもと躊躇したせいでまた誤解させてしまうんか。お姉ちゃん、ほんと、自分の役割まっとうすることに関しては揺るぎないものありますね。

学校に出る幽霊、本当に幽霊の子だったんですね。ちょっとお顔が怖い……。でも、高校生のお姉さんたちのそばにちんまりたたずんでるの見ると可愛く見えてくるの面白いなあ。この子、会話もできるんだな。騷ぎになってはいけないからとこの子のことは秘密にすることに決まったんですが、みぞれが今度一緒に遊ぼうっていった時ね、あ、これは笑ってる! 嬉しかったんだなって、気持ちがほのぼのしましたよ。でも、そのあとすぐさまみぞれのダジャレですんって! すんって! いやもう、表情変わるんだ! ということは、この子登場してからずっと笑顔でいたんですね。表情豊かな幽霊ちゃん、可愛いな。また登場してほしいですね。

『みこへんげっ!』

かつて幼少の頃、シロツメクサの指輪とともに変わした約束、るいなとらんの結婚を誓いあった思い出が、ふたり再会したことでつらい記憶となってしまう。るいなに婚約相手が決まったことを告げるらんが、もうすっかり心を固めたと思っていたのに、るいなを見て決意を揺らがせてしまった。そういって、見る見る悪鬼に巣喰われてしまうその場面が、また悪鬼に巣喰われて真っ黒になってしまったらんの姿が、見るだにショッキングだったんですね。

心につらさ悲しさが兆すと、すぐさまつけこんでくる悪鬼。るいなとらん、ふたり話しあって、結婚の約束をしたあの日の思い出をなかったことにしてほしいとえりかと蝶に頼むのですが、ここまでしっかり心を保っていても悪鬼を追い出すことはかなわないのか。なかなかに油断ならないハードな世界だと思わされましたよ。

そして改めて、過去に遡って記憶を書き換えてしまうえりかの能力の強力無比であることも実感させられて、なんせ問題の根本、前提に干渉し、問題発生の芽を摘んでしまうんですからね。その前提がつらい記憶であるならまだしも、今回などはしあわせな記憶、大切な思い出を変質させるにいたってはえりかも怖れを覚えてしまって、実際こんな能力ふうるとなれば責任感、その重圧は相当なものとなりそうです。

以前読んだ本に「完結の技法としてのデウス・エクス・マーキナ」が説明されていました。デウス・エクス・マーキナとは、劇の終盤に機械仕掛けの神が登場し、問題を解決し幕を引いてしまう、その技法であります。この本では、その類型として、突如劇中に持ち込まれた事柄が問題を解決する例をいくつかあげていて、その中に、問題の前提をなかったことにしてしまうものがあったのでした。

『みこへんげっ!』えりかの能力は、そのデウス・エクス・マーキナを劇中に内包させるものなのかも知れないな、なんて思いながら読んでいました。神ならぬ人ゆえに、その一種乱暴でありさえもする強力な能力は重荷となりうるのかも知れない、なんて思って、だからえりかのそばに蝶のいてくれたこと、よかったと思ったのでした。

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