2021年3月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年5月号、発売されました。表紙は『ちょっといっぱい!』。晴着に袴をつけたちゆりがメイン。春、袴とくればすなわち卒業。やっぱりバイトでの年長者だから? と思っていたら、なんとまあ本編でも卒業なんですか!? 満開の桜の下、桜の髪飾りもよく似合って愛らしい。手にしている三色の団子もまたチャームポイントでありますね。ちゆりの後ろで団子食べてるもみじ、その嬉しそうな様もまたチャーミングでいい感じです。

今月は新連載が1本です。

『最果てのともだち』

廃校舎にてひとり誰かを待っている女の子。4年生の教室ですね。待ってたのは黒髪おかっぱの女の子。友達なのでしょう。アサヒとキヨちゃん。明るく、時に物騒なこと口にするキヨと、引っ込み事案? 思慮深くおとなしいアサヒ、対照的なふたり。キヨが物騒なこというのは、アサヒがクラスでいじめられているのを知ってのこと。キヨ、優しい子なんですね。

この校舎は、30年前に教師が自殺したといういわくつきの建物で、それ以来怪奇現象に見舞われるようになった。新校舎ができてその役割を失っても、解体しようとすればまた事故なりトラブルが起こる。かくして取り壊されることもなく今もこうして残っているというんですね。

アサヒがこの校舎に入っていくところを見たいじめっ子たちが、この校舎に踏み込むんですね。かくしてこの子たちは幽霊と出会うこととなり、恐怖とともに逃げ出すにいたるのですが、あれ? その幽霊、自殺した先生? 登場の場面こそは怖ろしげだけど、物憂げな表情見せながらも決して誰かを害しようという感じではない? また怖ろしげな表情浮かべていじめっ子たちを見送るキヨ。これもアサヒを守るため、物騒なことはなしで、ちょっと仕返しをしたって感じなんですね。

先生も、そしてキヨも幽霊。他にも幽霊はいるようで、もしかしたら一クラス分くらいいたりするんですか!? 見た目に怖く、けれど優しい、そんな幽霊たちなのか。続きを楽しみに待ちましょう。

『さよなら幽霊ちゃん』

こっちも幽霊だけど、だいぶ雰囲気は違うよね! 夜の学校に響くうめき声……。なにかといえば、幽霊ちゃん、ゾンビものの映画見とったの……。その声が漏れて用務員さん怖がらせちゃったの! いやもうこちらの幽霊は見た目もなんですが、いかにも怖さが足りてない。ほんと、極端なコントラストがついてきちゃいました。

幽霊のゆーちゃんがゾンビ映画見て思ってること、ゾンビより自分の方が制約少ないとかで優越感感じちゃってたんだ。さらには、ゾンビはお腹すいたままさまよい続けてかわいそうとか、結構ズレた感想漏らすとうことかも面白い。なんか、こうちょっとズレた感覚盛り込んでくるの、うまいですよね。

今回彼女らの話しあっていた、これから作ろうという同好会の名前。名前より先に活動内容考えるべきでは? とか思っていたんですが、なんか唐突にやさぐれて物騒なこといいだしてるみきがですよ、まさか知らぬうちに先生をビビらせてしまうことになるっていうの、めちゃくちゃ面白かったです。それこそ幽霊ちゃんよりもダイレクトにやらかしてるじゃん。

反社会的活動を志向してると勘違いされてしまった彼女ら。はたしてこれ、次回以降に後を引いたりするんでしょうか。だとしたら同好会設立の障害になっちゃったりせんですかね、これ!

『ちょっといっぱい!』

びっくりしました。この導入から、まさかのちゆり卒業に展開するだなんて! 最初はね、衣替えだ、夏服だと興奮しまくってたエリカが面白おかしい、そんな雰囲気だったのにね。さらには、夏のお通しをどうしよう、皆でアイデア出しあって、これからの夏シーズンもまた楽しくなりそう!

そう思っていたら、なんかちゆりがしみじみと語りはじめるの。去年とは全然違う、人が増えるとこんなに変わるんだ。もみじのおかげ、凪もエリカも頼もしくなった。皆がいてくれてよかったと、これからも頼りにしてると、なになにこの雰囲気、まるで退場フラグじゃないのん!?

退場フラグでした。うそーっ、マジかーっ!

もうすぐ受験、勉強に打ち込むために今月いっぱいでこはる屋をやめるというのです。この発言受けた時の皆の様子、店長は知ってましたよね。真澄はここではじめて知ったけど、卒業かあと、感慨覚えながらもむしろ前向きに捉えている。しかし年少組は明らかにショック受けていて、凪とかほんと大丈夫なのかな?

ちゆりの決意を応援すると前向きに受けたように見せるもみじ。ああ、この子はこんな感じだよね。そう思って、頼もしく思いもしたのだけど、最後の最後にちらりと見せた不安? ネガティブな様子。それがすごく気になって、実は一番ショックを受けているのはこの子なのかな。ほんと、これ、どうなるのだろうと、無理しちゃうんじゃないだろうかと、心配が立つんですね。

『スローループ』

今回は大人組の釣り紀行だ。行き先は東京湾。クリスマスの夜、船を出してシーバスを釣ろうっていうんですね。

大きさは40cmサイズなんだ。水門の明かりやレインボーブリッジのライティングがスズキを引きつけたりするのかな? 船のすぐそこにまで寄ってくるので、フライフィッシング初心者でも問題なく釣れるというのは実際楽しいだろうなあ。投げて、釣る、その描写のダイナミックなこと。スズキのヒキの勢いよさに、バラさないよう注意深くラインを引いていく楓の表情など、これはほんと名シーンだわ。ものすごく魅力的な画面の連続にまいっちゃうんですね。

見上げれば冬の星空。釣りから意識を離してみれば、夜景に星空、美しい景色が広がっているのに、釣りに夢中のふたりはそれどころではない。この違った時間の流れが同居している、そんな感覚もまた素敵でありました。

釣るのも楽しい。そして釣った魚を調理して食べることもまた楽しい。けどただそれだけでなく、そこに生じる交流の情景が気の置けないふたりの近しさ感じさせてこれもよかったんですね。一花がね、めちゃくちゃ嬉しそうな顔してるの。楓に、どうだーって見せたかったんですよね? その気持ちの溢れかえってるところが可愛くって、ふたりいい友達だよなあ。かけがえのない、そんな関係に気持ちもほぐれます。

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