2021年3月7日日曜日

『まんがタウン』2021年4月号

 『まんがタウン』2021年4月号、一昨日の続きです。

『部長と2LDK』

社員旅行を目前にしてお酒の特訓することにした部長。いや、飲み方は学べても強化特訓は無理ですよ! やることといったら菜々と家飲みなんですけど、どんなお酒がいいかと買い出しするところからはじまって、まさかのテキーラに興味が!? すごくいい笑顔で小瓶を差し出してるけど、無理無理、ほんと、知らないというのはおそろしいことです。もうまったくお酒の場にもお酒自体にも興味なく過ごしてきたから、種類についても、度数といった知識についても、まるでないんですね。

こうした特訓しようとするの、皆と楽しく飲みたい、そんな気持ちが芽生えてきたからというのですね。菜々と暮らすようになって、ほんと部長変わってきている。今回の家飲みなんかも、昔の部長だったらやろうとも思わなかったはずで、そんな部長の初家飲みの情景。初々しくて、梅酒のおいしさにすごくいい表情見せてね、でもやっぱり一口でえらいこと酔っちゃうんだね! いやあ、無理しない方がいい。薄めよう、水なりお湯なりで割ろう。ほんと、菜々のいうように無理しちゃあいけません。

しかしこの部長のお酒に酔ってぽろりと出しちゃう甘えん坊の素顔ですよ。菜々の膝にポスンと収まって、菜々さんって呼んでいい?

うわーっ、きましたかーっ!?

ほんと、いろいろ感情のアップダウンが制御不能になっちゃってますけど、菜々のいうように可愛い人だと思います。そしてこの時の言動もろもろ、醒めた時に覚えてるんですかね? 覚えてそうな気がするんですよ!

『立ち呑み布袋でもう一杯』

おお、知ってますよ。せんべろ、せんべろは知ってますよ。千円でべろべろ。お得なセット、流行ってるというの、そんなになんですか? みんな金がないんだろうなあ。安くて酔いたい。お酒で酔いたい。世知辛い世の中の一端がここにも垣間見えるように感じられて、いや、別にそんな社会、世相を描こうって話じゃないから、気にせず楽しくいきましょう。

安くて酔えるテクニックというと、ストローで飲むとか、そんなのばっかり聞いてますけど、せんべろはそういうんじゃないんですね。なるほど、この店のシステムは面白そう。千円でコイン5枚と引き換えて、メニューからお酒、つまみと交換していく。決まったセットメニューがあるわけじゃないというの、自分の好みで組み立ててもいいし、コストパフォーマンス追求してもいいしで、このいろいろ考えるのがまた楽しみになりそうです。

お客からは、一杯ひっかけて帰る、そんな手軽さがあって、店からは客の回転数をあげられるメリットあってと、それぞれによさがある感じですね。コスパ派熊田氏チョイスの日本酒、いつもより100円安いというのも、回転数あげられるからこそ実現する価格だったりするのかも。でも、せんべろといいながら、2せん3ぜんと重ねていく、そんな飲み方もあるんですなあ。いや、ルール違反じゃないからいいけど、発案者舘さんからしたらせんべろの楽しみを理解しない無粋者、そんな具合に低評価っぽいですよ?

『君と銀木犀に』

小学生の頃の友達と久しぶりにあった時のこと、同じ学校にいった同士でわからない話をするもんだから、ぽつんと取り残された気持ちになってしまって、それからなんだか胸のあたりにもやもやが残ってしまった泉。ああ、それは疎外感だよ。そういって気持ちを言葉で整理するのは簡単だけど、それだときっと泉のそれは晴れないのだろう。自分でその気持ちに向き合って、そして葉介のくれたアドバイス、勢いよく走って身体より重い心を振り払っていくの、こうして実地で取り組んで確かな実感をともに知っていくのが大切なのでしょうね。

思えばこの漫画は、誰しもに起こることを描いて、だからこそ共感も得られようというのですが、そのできごとで動く心とその描きよう、そして泉が、葉介が、その気持ちをどう扱っていこうとするか、そこに独特の視座、タッチが見られるのがよいのです。今回でいえば身体よりも重い心を振り払うなんて考えの、自分にはない、はっとさせるようなものの見方、捉え方と、なによりそれが、ほんとそんな感じだとしっくりくる手ごたえが素晴しい。知ってたつもりでいたことが、実はそうではなかったかもと、新しい光が知らなかった姿を受かびあがらせた、そんな思いにさせられるのです。

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