『まんがタイムきらら』2021年4月号、発売されました。表紙は『一畳間まんきつ暮らし!』。これがまあきれいなイラスト、表紙でしてね、芽衣子と音緒のふたりが揃いのワンピースで、花びらの散る中、花弁を手に受けようとしていたり、振り向くように頭を動かすその動きに見える表情もまた素敵であります。ハイキーで表現されたその画面、真っ白に飛んだ背景、まぶしい光の中に浮き立つように立ち上がってくるふたりのその姿が本当に綺麗な絵となっていて、いやもう素晴しいの一言。それだけに巻頭カラーのその冒頭、ギャップが効いてこようというものですね。
今月は新作ゲストが1本です。
『ウサうさ! —Rabbit To Bunny—』
ボスを自認する女の子。その名はMr. R、というんですが、あれ? 女の子じゃないの? と思ったら、本編でいきなり同じこと指摘されていました。本当の名前はローズちゃんなのか。しかもこの子、小学校で飼われているうさぎなんですね。
多くのうさぎは、安全が守られてかつご飯も安定供給されるこの小屋に不満もなく暮らしているのだけどローズ、いやさMr. Rはちょっと違う。外の世界を、限りない自由を求め、いつか小屋からの脱出を、うさぎが自由に暮らす島への逃亡を夢見ている。この子のこうした野望、まるで周囲に理解してもらえないでいるのがちょっと不憫で、けど面白くて、とにかく草食べるのに一心不乱なうさぎたちの絵が途中はしばしに挿入されるのがおかしくって、もぐもぐもぐもぐ、これいいアクセントになっててよかったですよ。
Mr .Rに同調するでなく、むしろつっこみ入れるのがクールなT。そして怖がりなBは脱出否定派で、ほんと、Mr. R、劣勢だ。しかもモブうさぎたち、終始一貫してご飯に一生懸命! RにBにと付和雷同しながらも、結局はご飯優先で意思決定される。で、あのもりもり草食ってる顔。めちゃくちゃ面白いんですね。
今回のMr. Rの脱出計画。まさかのドア内開きで失敗しちゃうんですけど、結局うさぎを大事にしてくれている飼育委員の子にやさしく懐柔されて、逃亡は先送り。このなんだかんだで小屋の中に安住してしまう、そんな弱さもおかしみになっていました。
『星屑テレパス』
つらい展開が続きますね。モデルロケットの大会、中部予選にいよいよ参加します。ああうまいことロケットも完成にこぎつけたんだ! でも、ここにきて不和? 不安があちこちに顔を出して、瞬はライバル視する彗に対してとにかく挑発的だし、そして海果もスピーチを前にして余裕を失っている。
しかし、歯痒いとはこういうことをいうんでしょうか。瞬も海果も誤った目標に囚われて、周囲を見られていない、自分自身さえも見られていない。誤った選択、比較しないでいいものを比較して、まずは手の届くところから実績を積み上げていくのではなく、一足飛びに完成完璧に手を伸ばそうとしては、届かないことに失敗の評価をくだし、まるごとすべてを投げ捨てるようにして省みることをしない。
ここからのリカバーがひとつのテーマを描き出すのでしょう。それはわかるのだけど、つらい場面が続きますね。この子たちの活動を導き助言できる、そんな人がいないのがいかんのかな。遥乃が重要な役割り担いそうに思うのですが、まだそうした兆しがないですね。不安な状態でサスペンドされた気分でありますね。
『えるくえすと! ~勇者エルヴィーラは現実世界に転移しました~』
銭湯からの帰り道、突如モンスターと遭遇してしまったエルたち。そのピンチに現れたのが、エルの仲間であるルチア。モンスター多数を前に魔法で対抗しようとしたところ、レベルもMPも足りなくて、なるほど、エルと同様、この子もレベルがリセットされているわけですね。
この子、魔法使いかと思ったら僧侶なんですね。魔法を使い、かつある程度の物理攻撃能力もあるといったところでしょうか。レベル低下で魔法が使えないことに戸惑いながらも、モンスターをポコポコ杖で退治していたらレベルも次々上がっていく。これ、エルがやってるみたいにこの世界でいろいろお手伝いするよりも効率いいんじゃない? 実際、あのちんまいモンスターは自然湧きならぬ異世界から続々送り込まれてくるみたいだから、あのちんまいのをエルとルチアふたりで倒しまくってレベル上げるのがよさそうだなあ。
なんて思ってたら、翌朝店の周囲にあふれかえってるモンスターたち。ジャンク箱から見つけたソードコントローラー手に大活躍するエルとルチア。ふたりの戦いがゲーム販促のショーと勘違いされて好評博すのはいい感じでしたね。この誰も不幸にならない感じ。なんか安心できるものあります。
そしてモンスターがやってくる穴が発見されて、エルたちの帰還の希望が、と思った矢先に穴が消失? ともあれ、なぜか完了していないイベントを知識として知っている、その後の展開まで知っている謎とかね、いろいろ気になる要素ちりばめながらの連載決定。ええ、これからのエルたちの活躍、楽しみでありますよ。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第4号(2021年4月号)
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