『まんがタイムきららフォワード』2021年5月号、先日の続きです。
『球詠』
新越谷、まだまだ課題は残るものの調子をあげてきているヨミ。楽しそうに伸び伸びと投げるところは、この子の持ち味が十全に発揮されている感じがあるし、さらにはいろいろ掴みかけているというさらなる伸びを感じさせる要素も。タマが冷静にヨミのこと見ている、その対照的な様子に、互いに持ち合わせた異なる素質が相乗していると思わせてくれて、とてもいい感じです。
また希が調子を取り戻して、というか絶好調? 光との対決、あれが見事にこの子の不振を吹き飛ばしてくれましたね。
と、こんな具合で今後の活躍が期待される新越谷。心配が払拭された。さらなる成長が見られるなどなど、次こそはさらに上位を狙えるかなあと思ったら、そうは問屋がおろさない。去年とは違ったスタイルで戦う梁幽館の強さを目の当たりにした。他チームにも有望な選手がいることも示唆されて、ああ勝利に通ずる道は平坦ではないんですね。それでも勝ち目を見出していこうという姿勢、絶対勝とうという皆の意気込み、それが本当に楽しみでならない。どんな戦いが繰り広げられるのか、はらはら少々、わくわくはそれ以上! 気持ちが先走ります。
『観音寺睡蓮の苦悩』
紫陽花、椿ペア、鈴、欄ペア、それぞれにぶつかって別行動するに至ってしまった遊園地。友情のピンチを前にして、急遽結成された睡蓮、四葉、牡丹の特命チーム。いや、表面的にはそれらしくつくろってるけど、四葉は本気で面倒臭がってない?
今回は、鈴と行動をともにする紫陽花、椿と同行する蘭。それぞれが、いつもと違う立場に立たされたことによっていろいろ気づいていくところが面白くて、とりわけ紫陽花ですよね、いつも椿を振り回しているこの子が鈴相手となるとまったく太刀打ちできない。思いっきり振り回されて、どんだけ鈴はエネルギッシュなの!? もうへろへろの紫陽花。さっきまで自分が椿を振り回してしまっていたこと、それを反省するっていう流れがね、本当に面白かったです。
蘭は蘭で、子供時分の鈴との思い出に喧嘩したこと悲しくなっちゃったりね、こうして皆がそれぞれいつも一緒にいる相手のこと思って、仲直りしようっていう気運が高まっていくところは気持ちのあたたかくなるようなよさがありました。で、そこに睡蓮の暴走としかいいようのない過剰な介入と失敗が差し挟まれてくるのが面白い。しまいには遊園地買収にまでいたって、ええーっ!? 別にそこまでやらんでも自然と仲直りできたんじゃなくて!?
いや、まあ、あのシチュエーションができあがったのは、睡蓮の暴走あってのことではありましたけどね!
今回、これよかったよなあ、そう思ったのは上級生組3人が、そうと自分たちでは意識していないでしょうが、あんなにも仲良さそうになってたこと。全然違う方向見て、全然気持ちなんて揃ってなくて、でもひとつ同じ目標を達成できた、それがこの関係を作り上げたのでしょうね。
それはそうと、蘭つば、最高だと思います。
『ねことちよ』
高尾山に登ったふたり。階段のきつい男坂と緩やかな女坂。しんどいの避けたいちよは女坂を選びたいんだけど、ねこは階段に興味津々なんですね。ずっと階段階段っていっていたんですけど、うまいことちよに丸め込まれて女坂。あっち見てこっち見てと、目移りしながら登っていくふたりでしたけど、ああ、もうちょっとで頂上ってところでねこのエネルギー切れちゃったか。子供ってこんな感じですよね。つい今し方まで普通に遊んで、むしろ元気だったのに、なんかのはずみか、ぱたりとエネルギー切れたみたいになって停止してしまう。ああ、ねこがちょうどそんな感じだったんですね。
一口のチョコレートでエネルギー少し回復して頂上まで辿り着いたねこ。ちよに抱かれて、その眺望を楽しんで、よかったね、ちょっとした達成感。それからお弁当を食べて、ちよと一緒に記念撮影して、それで次に気がついたら帰りの電車、ちよの膝の上でした。
こうしたの、本当に子供らしいなあって思って、ほほえましい。ほのぼのとした気持ちにさせられて、ああ、なんだか癒される思いがします。そしてここでねこが気にしたの、ケーブルカー! ねこ、ねてたの? いやもうほんと可愛らしい。ちょっと困ってるちよもまたチャーミング。ねこったらすっかりすねちゃって、でもこういうの、いいんですよね。ラストの余韻も
『あいらいく俳句』
えらい展開きましたね。凛花のおうち、没落ですか! 大のつくような豪邸に住んでいた凛花。お迎えも運転手つきの高級車、とかだったのが、あれー、ママチャリになっとる!? しかもお家はボロアパートで、いったいなにごとか。あー、パパの会社、倒産しちゃいましたか。
いうてはなんですが、漫画ではよくある情景。凛花のパパさん、微妙なキャラクターに社運をかけすぎちゃいましたか。おかげで倒産って、どんだけ入れ込んで、どんだけつぎ込んだの!? そうした無茶さもこの漫画らしいと思うんですけど、今回のエピソード、なにがよかったかって基本凛花がくったくなく、明るく、この逆境においても自分らしさを失っていない。その自然さ、ほがらかな様子に、この子のよさを再認識させられる思いがしました。
あのインスタント麺を皆でわけあって食べる場面、すごくよかったですよね。それだけに、続くあいの父の場面の酷さが極まるというか、いやまあ結果オーライというか、これが凛花のためにはなってるんですけど、あまり美しいとはいえないよなあ! すごいよ、この微妙感の出しかた。
最後に凛花の家族仲のよさもしっかり描かれて、しかしこの逆境、ずっとこのままなんですかね? 次回、なにごともなかったようにしれっとリバイバルしててもおかしくないのがこの漫画だと思うんですよね。今後の推移、要注目です。
- 『まんがタイムきららフォワード』第15巻第5号(2021年5月号)
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