2021年3月18日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年5月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年5月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク Best wishes.』。アリスとしのがロンドンからメッセージでしょうか。ちんまりと座り込むアリスは手にエアメール封筒持ってましてね、そばに寄り添う忍は見事に着飾ってあたかも貴婦人であるかのよう。首飾りはじめ、ドレスの胸元に光る宝石とか、いやもうゴージャスでびっくり。普段着っぽいアリスとの落差がすごいことになっていますよ。背景にはビッグベン。季節は春、5月でありましょうか。ふたりにそそぐ光が素敵です。

今月は新規ゲストが1本です。

『小町いろどる桜かな』

おお、真田一樹さん。離島出身の女の子、言問小町が祖母の営む着物屋で働きながら過ごす日常を描いてみせるこの漫画。メインは小町に加え、蔵前ささらと吾妻一樹。3人ともに高校一年生、同級生だというのですね。

しかし、本当に洗練されて、絵柄、表情、生き生きとして魅力的な誌面を構成しています。さらに加えて、持ち味といっていいんでしょうか、軽妙なやりとり、そこに生じるおかしみのテイストは健在。そうそう、これこれ! 懐かしいと思うところもあれば、やっぱり以前とはまた違うニュアンス? 見せ方? なめらかさ? そうしたところが新たな楽しさ、面白さの予感させてくれるところあるんですね。

ところで、ささらさん、とてもいいのではないでしょうか。とてもいいのではないでしょうか。

『妖こそ怪異戸籍課へ』

おお、おお、手の目の伊織さんがご登場だ。扉絵にてはキッチンで朝食の準備をしようとするその様子。後ろ手に、けど手に目がついてるから、エプロンの結び目も楽々ですよ! でもって足元、背丈が足りない分を足台使っておぎなって、おお、おお、なんて愛らしいのか。伊織さんは最高だと思います。

この子の印象は、いつもつむってる目、これが決定づけてるところもあると思うんですが、これ、目は手にあるから顔にある方は使ってないわけですよね? つむった目が穏やかな笑顔、あるいは夢想するかのような表情作って、それが愛らしさに拍車をかけておりますな。でも手についてる方の目は、どんぐりまなこ、くりんと丸くて、こちらはこちらで表情豊か。この目が顔についてたらきっとこの子の印象はがらりと変わるだろうなあ。ちょっと見てみたい気もします。

怪異戸籍課課長の綾子さんと一緒に暮らしてるんですね。しっかりものに見える課長だけど、プライベートでは全然そんなことなくて、朝起きられなかったり、身支度も手伝ってもらいながらやっとこなしたりと、朝が弱いんですねえ。さらに加えて夕食その他、伊織にしっかり手綱握られてしまってて、わがままいうと晩ご飯作らない、晩酌も抜きですよって脅されちゃうんだ。しかもその効果! 覿面にもほどがありすぎない? めちゃくちゃ素直なの、どんだけ伊織の晩ご飯は素晴しいのだろう。このふたりの関係もまたちょっと面白いですね。

今回は伊織を描きながら課長や夏生、睦子や骨食もそうですね、皆のひととなり、個性を見せてくれたところも魅力的でした。夏生のやわらかな表情とか、よかったですよね。伊織のあたたかく優しい光が照らす皆のまた違った側面。素敵なエピソードにほっとさせられるようなよさを感じました。

『ホレンテ島の魔法使い』

空飛ぶ魔法使いを探しているあむ。まさか近しくあったかるてに詠が魔法を使えるだなんて、予想もしなかったよな。冒頭のあむによるモノローグにあった「あんにゃろ」という言葉がね、ふたりとの距離の近さと、秘密にされてて悔しいって気持ちを如実に表していて、面白かった。

さて、魔法使い探しにひとつの進展が見られたあむだけど、これ、魔法があるということは確定、けどそこから先はまだ不明というのがなかなかにすごい状況です。一歩は進んだ。けど全容はなにもわかっていない。そんな中、それぞれが集めた情報持ち寄ってみたり、伝承もろもろをヒントに考察を深めていくの、あむではないけれど、楽しい!! よね、これ。

違った視点から見ることで、これまでわからなかったことに気づけたりする。その違った視点が集まっている感がね、すごくよく出ていたと思うのでした。新しい発見は、この島の秘密に対してだったり、あるいは自分たちの能力の活用方法であったりと、この一気に可能性が開かれていく感じにもすごくワクワクさせられた。ええ、ラストに言及された同じくワクワクを感じている彼女らの、ワクワクに対する考察、これもまた刺激的、すごく響いてきたのですよ。

ところでさ、毛皮の男、これって帽子屋の先生ではないのん? もしや、これ先生では? と思わせる罠だったりする? 結末にいたる道筋、必要な要素はすでに提示されてるような気もするんですよね。この漫画、ほんと油断ならんです。

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