『まんがタイムきらら』2021年4月号、昨日の続きです。
『推しごとびより』
この子たち、肝が太いなあ! 自分たちのライブの日取りが決まりました。しかし運の悪いことに、自分たちにとっても大切なイベントとバッティングしていて、さあ、どうする? となった時に、なんとか時間を調整してでもイベントには参加する。見事決断してみせるわけですよ。それにゴーを出す心町の姉もすごいよな。なんとか時間を稼ぐといってくれるその頼もしさ。でも、本当に大丈夫かな。ちょっと心配でありますよ。
それぞれに参加するイベントは違っていて、同人誌即売会に参加する組があれば、アニメのイベント、そしてアイドルライブに参加するものもありで、それぞれの推し活動、充実してるのはほんと見ていて気持ちいいくらいなんですね。思えば前回描かれた柚葉と彩姫の同人誌修羅場の情景も、どうしてもイベント参加を見送りたくない、そんな彼女らの思い入れを下支えするとともに、あの頑張りが無駄になってほしくない、彼女らを見守る読者にもそうした思い抱かせる、そんな役割を担っていたのだろうなって感じます。
そう、見送ってほしくないんですよ。自分たちがアイドルであると同時に、好きなもの、好きなことに一生懸命であってほしい。その好きという気持ちをあきらめてほしくないって、そんな気持ちがあるからこそ、今回の彼女らが置かれた状況、なかなかにつらいものありました。イベントに参加した、充実したその様子とてもよかった、けれど時間が押している。
はたして自分たちのライブに間にあうのか、そんな局面。心町の姉、しっかり時間を稼いでくれるのかな。それでもなお間にあわないなんてことあるのかな。ほんと不安、心配のつのる展開です。
『しあわせ鳥見んぐ』
今回、なかなかに重要なエピソードでありますね。鳥の魅力を知ったすずが、あの鳥を描きたい、この鳥もいいと、目移りしているわけですが、そこには大切な視点が抜けている。すずの鳥が好きという気持ち、それはいいとして、ぐいぐいと迫っていくその姿勢。すりすりしたいというその言動に待ったがかかるんですね。
鳥を見るというのは鳥からも見られているということ。適性な距離を保てなければ鳥に恐怖を与えてしまう。ほんと、とても大切な視点で、岬は鳥との適性距離を掴むため一週間とかかけて観察しているという。
ああ、これコミュニケーションなんだ。人と鳥との言葉を介さないコミュニケーション。自分の好きを押しつけることなく、そっと遠くから、脅威ではないことをそれとなく伝えながら、鳥にとって安心できる距離感を共有していこうとする試み。それが鳥見なのかもなあ。
岬の言葉がすずに動揺与えたか、ちょっと心ここにあらずですね。迷いが出ている。自分の鳥への向きあい方、そこに揺らぎが生じて、ああけれどすずはこの局面を越えることで、さらに鳥とのよりよい関係を築けることになるのではないか。とりあえず翼に相談してみるのがいいんじゃないかな? と思うけど、すずはどうした行動とるのでしょうね。
『むすんで、つないで。』
苺、圧がすごいな! 通りがかったつなぐにですよ、ベンチの隣りに座れともんのすごいアピール! しかも表情ぴくりとも動かさずにな! いやもうとにかく癖の強い子らの中、輪をかけて癖の強い物件、薗部苺の本領でしたよ。
こうして無理に話し相手にしておきながら、話すことはというと特になにかあるわけでなく、どうにも間がもたないってどういうことなのか。でもそれでロースカツ食べはじめるつなぐもつなぐで、まあしゃあないよね、つなぐの気持ちはわかります。
このカツをめぐるやりとり。いまいちこれと向かう先のさだまらない、そんなあやふやな感じではじまったというのに、最後に着地したつなぐの思い出の話。おばあちゃんとの思い出がこのカツにはこもっていて、そしてそれを受ける苺のあの表情、含みがあってとてもいいものありました。そして季節はもう秋になろうとしている。
この時の過ぎていくということ。これこそがこの漫画の中核をなすテーマであるのかも知れませんね。このささやかなエピソードに、流れる時間とそこに確かにある人と人との繋がりの尊さ感じさせられた思いがして、なにか鼻がつんとしました。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第4号(2021年4月号)
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