2024年6月24日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2024年8月号

 『まんがタイムきららフォワード』2024年8月号、発売されました。表紙は『アネモネは熱を帯びる』。凪紗と茉白がてるてる坊主にお願い。ふたりでお出かけの予定でもあるのでしょうか。真剣そのものの茉白と、祈る茉白を見守る凪紗のその表情。ともにあって、ちょっとした温度差。この違い。ふたりの時間、絶対の成功を願う茉白と、そんな茉白がいてくれたらもうそれでいいとでもいわんばかりの凪紗。ふたりの違いが見えて、でもそこには互いに相手を思っているという、同じ気持ちもある。そんな情景であります。

今月は新規ゲストが1本です。

『みどりの楽園』

魔法の植物!? 道端に落ちていた植物の種を拾ってきた妹の若葉。帰宅後すぐさま種を植えてみたら、爆発的繁茂! ワイルドグロースだ……。一瞬にして若葉の部屋は緑色濃い植物の森となっていて、さらには家全体にも影響が!

これ、家が破壊されたりする勢いでなくって!? いやもう、姉緑葉が思考停止しようとする気もちょっとわかる。これもう手当てできるレベルの繁りかたじゃないですよ。

植物好きの若葉に対し、緑葉が好きなものはお風呂。今朝も朝風呂を楽しんでいたところ。植物問題に目をそむけ風呂場に戻ってみれば、そこも植物に溢れる世界に! バスタブにからみつく植物。浴槽には蓮が花をつけ、底は苔むしてふかふかと。抵抗あれどつかってみれば、それはもう楽園のような心地よさだったというのですね。

しかし、この植物問題どうしよう。一生懸命かたづけるも、両親にはとても見せられない! というところで奇跡のように姿を消してくれた植物たち。家も完全にもとどおりで、ああ、よかったねと思ったらば、若葉の部屋でふたたび芽を出そうとする植物の種!

ああ、なんでラストがそんなホラーチックな演出なのですか! これはもう一家四人で植物まみれになるしかないですね。

『スローループ』

シイラへのリベンジを誓うひよりと一花。恋先生はというと、風邪はなおったものの病み上がりということでシイラ釣りはお休み。家で過ごす恋のもとに、見事リベンジを果たしたひよりから写真が届くまでのエピソード。そこには小春の奮闘あり、そしてひよりの大活躍ありと、動きあり、見せ場あり、大盛り上がりの好エピソードとなっていました。

しかし、シイラ、奇妙な魚形ですよね。ちょっとした怪魚。そいつを見事釣り上げたというひよりですが、メートル超えのそのデカさ! 持ち上げてみせるのに、背伸びしないと尾ビレが地面についちゃう! これ、1メートル20とか30とかあるんじゃないのかな。いや、ほんと立派な釣果、リベンジ万全でしたね。

小春も幼魚とはいえ、しっかりシイラを釣り上げていて、でも小型でもそんなに引くんだ! 小春もだけど他の釣り客もバテそうになっていて、そんな元気な魚。いやもう活気あふれる素敵な画面に引き込まれました。

『球詠』

ヨミと珠姫、ふたりの対決が続きます。投げれど投げれど当ててくる珠姫。それだけヨミの球を熟知しているということでもあるのでしょうが、その食い下がる様になにかメッセージを感じとるヨミです。でも、どこか微妙に食い違っていて、ラスト1年に向けてヨミと珠姫の気持ちの行方、寄り添いながらも、この差異がいつか大きなひずみになったりしなければいいと願う気持ちであります。

この食い下がる珠姫がですよ、ヨミの本気を、そしてキャッチャー詩織の成長を引き出していくくだり、見事でした。すばらしかったと思う。交錯する気持ちと気持ち、徐々に高揚していくその流れに読者も乗せられて、興奮もじわじわ高まり、そしてそれがヨミ渾身の投球にて頂点に達する!

ああ、本当にいい話でした。でも、やっぱりここで珠姫とヨミ、ふたりの気持ちの違いが気になってしまうのでありました。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

ときこ様、フランス語を勉強なさってる。

さて、そんなときこがなぜ紗菜と仲違いするにいたったかが語られた今回。その情報を引き出したのは月渚。なぜ紗菜と不仲なのか、その経緯を聞き出すのですが、情報を引き出すにあたり自分の秘密、別世界からやってきたことを明かすのですね。

驚いた、とはいえ、わりとすんなり状況を受け入れているときこ。これ、ロゼのしてきたこと、それを見てきてなるほどと納得するにいたったのかと思ったら、そうではなかった!? 今回のラスト、ときこが手にした本にはエトワールの紋章が。異世界のこと、それと知っていたのかも知れませんね。

となれば、おそらくはこれから描かれるであろうときこと紗菜の仲なおりは、ロゼにとっても大きな意味を持つターニングポイントになるかも知れない。いや、ロゼは元の世界に戻りたいとは思っていないんですけど、それはそれとしても故郷と佐渡のつながりがわかるかも知れない。ええ、大きな動きを予感させる、そんなとっかかりになるかも知れないエピソードでした。

『ウクレア!』

自分たちの演奏に足りなかったものはなんだろう。実力不足? なら練習時間を増やすとか? などなど話しあっていたときに、楓から申し出が。

うまい人の演奏を聴きにいこうというので皆で繰り出すウクレレプール。プロもアマチュアも多数参加するお祭りなのでしょうか。うまい人の演奏を聞いて、盛り上がる観客の熱気に触れて、それが無料とはバチが当たるのではないかと心配する空子。ほんとにこの子らしい発想。大好きですよ。

イベントはステージありショップあり、皆でウクレレを見てみたり。そこで出会うテナーにベース。これ、刺激的だろうなあ。絶対楽しいやつです。ええ、楽器って弾かないまでも見るだけで楽しい。わくわくさせられる。試奏すると欲しくなるから、絶対に試奏はしない! 皆の興奮、わくわくが伝わってくるようでした。

くじ引きもまた魅力的でした。1等がソプラノウクレレ! はいいとして、2等がストラップです。立って弾くのに便利! というので、空子と灯火、ふたりで狙うストラップ。そうしたら、空子が見事引き当てちゃって、すごいな。でも、それを灯火に譲ろうとするんだ!

そこで軽く悶着。でもね、それは灯火が空子を拒絶したんじゃないよというのが、じっくり丁寧に描かれて、ほんといいお話でした。ただ言葉で伝えるだけでなく、空子に自分が灯火の立場に立ってみればどう思う? と、そのときの気持ちでもって灯火への理解を導くところ。そしてふたり仲間であると実感もってともに思うところ。本当によかった。

ええ、空子も灯火も、ちょっと不器用な女の子。この日のできごとで、互いに気持ちが近づきましたね。

そして今月の曲であります。『ナヴィリヴィリ』。さあ、今夜から譜読みしますよ。

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