2024年6月16日日曜日

1670

てっきりドキュメンタリーと思い込んで見始めたシリーズでした。『1670』。中世ポーランドの一地方で地主をしているヨハネ・パウロとその一家を主人公として展開するコメディドラマ。ヨーロッパ中世、それも都市ではない農村を描いて、そうかこんな感じだったんだ! と思わせる描写が魅力的なドラマだったのですが、同時に現代人を皮肉るような描写もあるからおかしい。スマートフォンに夢中の息子とかね、あるいは気候変動や平等パレードなど、社会意識が高い娘など、中世の体裁で現代を描いたりしているんですね。だから歴史物として見るよりもあくまでもコメディ、肩の力抜いて楽しむドラマ。とはいえ、やっぱり舞台や小物に見る中世ってのもまた魅力でありました。

しかしこのドラマのインパクトったら、やっぱり主役のヨハネ・パウロでありましょう。村の半分を所有している世襲貴族なのですが、貴族ゆうたらノブレス・オブリージュうんたらかんたら、人徳なんかも求められ、また貴族らしく学もある—、なんてことはまるでない無学で傲慢で、やることなすこと無茶苦茶のいきあたりばったり、身近にいると困るタイプのおっさんなんですね。それで人間的な魅力があれば、といえばさにあらず。なにやっても台無し、どうやってもめちゃくちゃ、あっちもこっちもダメダメな、本当に困ったおっさんで、なにしろものがわかってないから、しっちゃかめっちゃかに状況をかきまわすだけかきまわして、あとは雰囲気まかせの結果オーライ、みたいな感じでやっている。

正直、自分はこういう人は苦手なので、ライバルにあたる村のもう半分を所有する実力者アンジェイを応援していました!

ドラマや映画で見る中世というのは力のある王族や貴族だったり、平民でも都市生活者であったりすることが多かった、そんな印象があるものですから、貴族にしても地方領主、平民というとほぼ農民というこのドラマはそれだけで興味深く見ることができました。舗装なんてされてないぬかるみ道! 敵対的な異邦人! 家畜、脱走、宗教家。雑然とした中世とそこに生きる人たちの、どこまでリアルなんかはわからないけれど、まことらしさには結構やられてしまいました。

さて、このドラマ、もう完結してしまったものと思っていたのですが、どうも新シリーズが作られている模様です。これは楽しみですね。絶対見てしまうやつですね。

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