2022年12月24日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2023年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』2023年2月号、一昨日の続きです。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

異世界から日本は佐渡へとやってきたロゼ。慣れぬ世界で徐々に地域に受け入れられながら、この地に定着していくのかと思ったら、また違う展開の可能性もちらほら見えてきましたよ。

佐渡の地質が作り出す横井戸。田畑の用水にと活用されている水なのだけど、このところ出が悪い。その様子を伊藤さん、そして紗菜について見にいったところ、まさかの魔力を感知。この日本において、魔力という本来存在しないはずの力が土地に影響を与えている。これがロゼのこの地へと導かれた理由であるのか、あるいはなにか土地から魔力を引き出した原因などあるのか。

そしてもうひとつの動き。異世界において黒髪の魔女と呼ばれ忌み嫌われていたロゼの過去を知るものが出現! 風呂屋で出会ったルナという名の少女。ロゼに先駆けてこの地へとやってきていた異世界の人。この出会いはロゼのここでの暮らしにいかなる影響をもたらすのか。

ただ、佐渡の人たちとふれあい、この土地に受け入れられていく異世界からの移住もの、というわけにはいかなくなってきた感ありますよ。

『異世界サウナへようこそ!~ルナちゃんはととのいたい~』

異世界にやってきた流奈が住み込んで働かせてもらっているサウナ施設。立地やなんかの問題で客足が悪く、このままだと借金が返せない! 結構なピンチであるわけですが、こうした危機に流奈がなにかできるわけでもない。特別な能力があるわけでもない、できることといったら下働きが精一杯。けど、なにかできないだろうかとずっと思っている、その気持ちが大切なんだと思います。

この施設のためになにができるか、その目標にまず取り組むのは熱波師をしているスライムのスラーですよ。自分の実力に不足を感じているスラー。そんな彼女から語られる熱波師になろうと思ったきっかけ。倒れていたところを救ってくれた人がほどこしてくれたロウリュ、それがスラーの心を動かしたからだっていうんですね。

その熱波師、スラーが師匠と仰ぐランパーがやってきました。そうか、この人はこの世界で名を知られているんだ。ランパーの名を前面に押し出してみれば、いつも以上に客が入って、そしてランパーのほどこすロウリュは噂にたがわぬすごさ。

またも自信を失ったスラーにランパーから持ち掛けられた熱波師修行。この修行がスラーをどう変えるのか。またスキルを高めたスラーがこのサウナ施設をどう守り立てていくのか。さらには、流奈に与える影響は!? などなど、状況の動き出す気配に気持ちも高まろうものでした。

『スローループ』

二葉はいろいろ迷って悩んで大変です。姉の一花がだらしなくなったのは、自分が甘やかしてるから!? いやいや、親ならともかく妹の立場で思い悩むことじゃないよ! そんな二葉の自分への課題? お客さんに馴々しく接しすぎる姉を叱ってみたり、そして釣り船ではお客の小春やひよりにいろいろアドバイスをしていく、このしっかりっぷり!

いやいや、ほんとに順調じゃん。なにが問題あるのん。むしろこの年にしてはしっかりしすぎているくらいよ?

と思ったらところで、二葉、自分が抱えている感情の根っこにゆきついてしまいました。

頼られたいと思っている! イソメを苦手としているひよりの、けれどそれでも自分でなんとかしようと頑張っている姿に失望を感じてしまった。ひよりに頼られたかった。そうした気持ちの動きに自身ショックを受けてしまって、ああ、そうして頼られることで自分の価値を実感できるからでしょうか。二葉、自分の不純な動機に気づいて、これはちょっと身動きとれずギクシャクしそうな予感ですね。

潔癖ないしは自分に厳しいストイックな子だと思います。こうしたところをなおざりにしない。そうした性格だからこそ思い悩んでしまう。またそうした子だからこそ、自分の心に潜んでいた欲に気づいてしまったのでしょう。この船釣りで気持ちに整理がつけばいいですね。

『球詠』

ドラフトでプロになっていく他校の上級生を見て、いろいろ考えてしまった菫。人によっては野球はただの部活動にとどまらず、将来や就職に繋がるものなんだ。しかし、なら、自分にとって野球とはなんなのか。職業にすることもないだろう。だとしたら高校生活を野球で埋め尽くしてしまっていいのだろうか。他の可能性に目を向けなかったことを後悔しないのだろうか。

その迷いが部活から足を遠ざけさせてしまったというのですね。そんな菫のことをよくわかっている稜がいいですよね。菫に働きかけるでもなく、そっと一緒にサボってやるという優しさ、配慮、その距離感。菫の迷い。そんな時にどんな行動に出るかもわかってて、だからひとりにならないようにサボりにつきあってやる。こうしたつきあい方ができるというところに、このふたりの歴史のようなもの感じとれるように思ったのですね。

そして怖るべしは芳乃ですよ。菫の様子を見てくるよう、顧問を菫のいるゲームセンターへと派遣する! ここでの藤井先生との会話もまたよかったですよ。今とは違った新越谷を経験している先生。その時の部活との関わり方とかね、常にやめたかった! けどそれでも野球に打ち込んだことに後悔はないということ。中心選手にはなれなかった先生の経験し感じたことは、菫にとっていろいろ考えるためのヒントになってくれたみたいですね。

今回描かれた菫と稜の距離感、先生との対話、そこに感じられる機微、とてもよかったです。対して、だからこそ際だつ芳乃の異質さ! なんなんだ、芳乃は超能力でも持ってるのか、スパイでも雇っているのか!? ともあれ、意外や怒らなかった芳乃と、芳乃が菫たちに課す新しいトレーニング。この動き見ても、芳乃がかなり広く、また遠くまで見通している感がするんですよね。

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