『まんがタイムきららフォワード』2018年11月号、先日の続きです。
『なでしこドレミソラ』。文化祭のステージ描いて、力感たっぷり、まさしくクライマックスであるのだけれど、大声でがなりたてるような様子はまったくなく、むしろいつも以上に静か、丁寧に、静謐とはこういうことかという描写が続きます。明らかにこれまでと描写を違えてきていますよね。響く音、鳴り渡り伝わるメロディを可視化する花のあしらわれた帯の描写。それが、いつもなら描かれてそうなところで描かれていない、それはなぜなのか。ステージを見つめる、客観的な視点があるからなんですね。ああ、そうなんです。彼女らのステージ、ここにはただの聴衆というにはあまりに多くを抱え、知っている人がいる。彼女らに感じた印象が、これまで積み上げられてきた関わりあいの歴史が、自分自身に向き合ってこそ辿り着けた、得られたものが、そしてわだかまりとそれが押し流されていく様が。いくつもの視点からの情景が、記憶が、重なりあって、層を成していく。その重なりこそが、彼女らの音楽の厚みであり、そしてそれがまた誰かの胸に響く。客観性と内面の対峙し開かれていくドラマ。見事だったと思います。
『夢喰いメリー』。碧と奏。このふたりがどう物語に関わってくるのか。奏を心配する碧と、自身を見失っている奏。碧の心配も奏には届かず、危険な方向へと駆け出していってしまう。ええーっ、なにそれ、もう放っときゃいいじゃん! 自分なんてやつはそんなこと思ってしまいがちだけど、夢路もメリーもすごいよね。乗りかかった船からは降りないって、最後まで付き合うって、ほんと、こういうところが主人公なんだよな! そして彼女を救うこと、助けようとすること、これが白儀の目論見に対抗しうる、なんらかの鍵となるのだろうか。このわからない、予想もつかないというのがこの漫画の持ち味であるとはいえ、ほんと、先が読めない宙ぶらりん感。たまらんものがありますね。そしてジョン・ドゥですよ。やっばいなあ! リコに圧倒されてるじゃん。打つ手打つ手が次々無効化されていって、もう駄目か、いよいよ駄目か、なのにジョン、余裕見せてるな……、と思ったところにエンギ・スリーピース参戦か! これこれ、ほんと、これなんですよ。いやあ、ここでまさかのエンギ登場、キマしたね、キマすよね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第12巻第11号(2018年11月号)
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