『まんがタイムオリジナル』2018年11月号、先日の続きです。
『カントリー少女は都会をめざす!?』。小学生の遠足風景を見て昔を思い出す八重ですよ。かつて山にいった遠足で、都会人ごっこをしたという思い出。それがあんまり突飛で奇矯なもんで、全力でつっこみ入れる大河さんですよ。しかもこの車内全域に流行したという都会人ごっこ、途中で貴族ごっこに変貌していたという事実が今さらながら明かされて、ショック受ける八重。というか、都会人のつもりでいたの、八重だけだったように思うんですよね……。今回、さすが八重というか期待を裏切らないのがいいですよね。遠足で、八重の憧れる都会にいくこともあったろう。なのに八重ったら、喜びのあまり熱出したとか、うかれて畑に落ちたとか、本当に期待を裏切らない。というか、このネガティブな思い出を妙に自慢気? に語る八重。ああ、これこそ八重だよ、って感じしますよね。ほんと、なんでも嬉しそうなのがいいですよ。
『ウチが古武道宗家』。ああ、このタイトル、我が家が古武道宗家ではなく、私が古武道宗家って意味だったのかい!? 最終回にしてタイトルの意味合いががらりと変わった、そんな驚き。ええ、やられたっ! 実にいい転換だったと思いましたよ。薫の父、なんと廃業するという。ええっ!? 道場を!? と思ったら、違うのか、喫茶店の方か。採算がとれない、それで店を閉めて働きに出る。そうなるともう道場の経営に割く時間はとれない。かくして継ぐ継がないは薫に任されることになってというのね、ここで突然、薫が自分自身に向きあって、自分にとっての古武道とは、万堂流とは、思い悩むのね、ええ、オーソドックスといえばそうかも知れない、けどそれが私にはとてもいいなって思えたのですね。続けるか続けないかの選択を、継ぐ継がないというところに持ってきたのがよりよかったのかなって、そう思ったんですね。こうして十四代目となった薫。この子の経営手腕、それをちょっと見たかったなあ。そう思わせる読後感は、これまでの薫の様子、それがなんだかんだで楽しそうだったからなのかも知れません。
『大奥より愛をこめて』。御台様、穏やかではありません。側室が第一子を出産、その報を受けて、相当なショックを受けた模様。ああ、そうなのか、正室が子をなすことはないってことか。上様が御台様と寝所を共にしたことがないということ、これが正室寧にとっては気鬱の原因になってしまっているんですね。寧が姿をくらませたことで物語に動きが出ましたね。そりゃもう大奥は大騒ぎなんだけれど、その騒ぎの中、寧を取り巻く人達の感情が溢れて、ああ、一番冷静で、むしろ冷たくさえ見せたお側のものが、内心、一番に心配していたことを見せるあの瞬間、素晴しかった。よほど菜々緒の言葉、これがこたえたのだろう。人の気も知らないで勝手なことを、どうしても冷静ではおられなくなったのだろう。それだけに蒔乃の思い付きから発した、第一回御台様を探せ!かくれんぼ大会の号令。ああ、シリアスな雰囲気一気にひっくりかえして、おおごとから楽しいイベントになろうというのですか。こうしたまさかの切り返し、実にこの作者らしい。たとえ悲劇があったとしても、どこかカラッとした明るさを見せてくれるから後にひかない。今回などは、さらに事態の好転する可能性さえうかがわせるのですから、格別でありますよ。
- 『まんがタイムオリジナル』第37巻第11号(2018年11月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿