2017年1月19日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2017年3月号

『まんがタイムきららMAX』2017年3月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク』、魔法の世界? フードつきのパーカーを着たアリス、しの、陽子。三人が手にろうそく持ったり本を抱えたりしているんですが、アリスのピンと伸ばした指先から散る星とかね、そしてパーカーの内側に広がる星空! あるいは宇宙。顔が、視線が、中央のアリスに向く、そうした内側のベクトル感じさせる構図、配置でありながら、パーカーのうちに広がるもうひとつの世界。その不思議な対照、なんともいえない魅力があります。

『こみっくがーるず』、かおすちゃん、頑張ってますね。と、それはいいんだけど、皆帰省しちゃって、寮にひとり残されることがわかってからのかおすちゃんが、ほんと、不安であるとか動揺であるとか、そういうの、煮しめたように濃厚で、一連の描写、見事でした。かおすちゃんのこと心配する編沢さんもよかった。そしてかおすちゃんの、気持ちを落ち着かせ、回復していくプロセスね、あれがとてもよかったって思ったのでした。そばにいてくれた猫。昔の自分がどうしていたかを思い出してみたりして、そして寮母さんのご飯食べて、甘えて、そして母からの感想、友人たちからの応援、って、なにげにるっきー、お婆ちゃん扱いされてるよ! ひとりになったことで取り戻したものがある。ひとりなったことで、友達の大切さ、それがしみじみと感じられる。この、ひとりだから思い出せたこと。ひとりだけど、本当のひとりではなかったということ。それら描写が次々と切り替わりながら語られて、どちらも今のかおすちゃんには大切なんだってわかるところ。とてもよかったと思ったんですね。

そして、今回は2本立て。後半はるっきーメインで、いや、これも面白かった。帰省したものの、今描いてる漫画のことは家族には話せない。こうしたピンチに、なんと妹も漫画家になるといって、ついてきて、入寮。もう隠してはおられない! 爆乳姫子の秘密! どうする、るっきー! っと、その前に、かおすちゃん、打たれ弱すぎるよ! 色川美姫、この子の姉に対する憧れがわかる。漫画に対する夢がわかる。だからこそ、なんだよなあ。姉の秘密、それを知っての落胆、わからないことではない。でも、美姫、え? この雑誌、子供向けではないの? って、そうだよな、うん、そうだよな……。姉も涙、妹も涙の今回。けど嫌ったり嫌われたり、心配されるようなことは本当はないよってことはちゃんと描かれて、だから時間が解決してくれそう。ふたりの仲の回復、それもまたひとつの見せ場となりそうですよね。

『すくりぞ!』、にゅう様、素晴しい。購買のこと、めちゃめちゃよくわかってる。購買大好きなのか。というか、購買に学校のグッズとかあるの!? すごいな、ちょっと充実しすぎだよ。この購買、満田リゾートが関係してるんだ。だから、にゅうが購買のことに詳しい、それが嬉しい満田リン。なんともいえない様子、おかしいんだけど、ほんと、この子、いろいろぶっちぎっちゃってますね。さて、購買のスタッフに頼られてるというにゅうの今回のミッション。売れないお土産を売る、っていうんだけど、いや、これはあかんやろ。というか、変なマスコットがいるんだね、この学校! 星野先生の、売り付けられそうになるのをなんとか回避しようとあがく描写、これは面白かった。そして皆の工夫、ポップ作ったりね、それがどんどんエスカレートして、満田リン、そのポップはちょっと違うよ! これ、きっと自室にもうひとつあったりするんだろうなあ。今回は意外やポップ作りの才能があるっぽい寝子。皆と一緒に課題に取り組んだにゅうの、ふと見せた優しい顔。見せ場いっぱい。素敵な話でありました。

『きらりブックス迷走中!』は、きらりの学校の文化祭。準備が忙しくてバイトを休んでいるっていうんですが、これが自分の書店を持とうとしてるんじゃないか、そう疑われるきっかけになってしまうっていうのがね、そして、まさか! と思わせといて、いや、その構想あったの!? いい揺さぶりでした。学園祭できらりのクラスは喫茶店をやっていて、きらり漫画オンリー漫画喫茶……。方向性がいろいろおかしい。でも、案外こういうの受けるんじゃないかな、とか思ってたら、なかなかに安心の快適空間とはいかんのか! きらりの暴走に入りまくるつっこみとか、いやはや、こいつは楽しいです。他には御祓いだの即売会だの、やっぱりおかしな状況発生していて、と思ったら、ひとり即売会やってるつづり、危険分子! このみんなやりたいことをのびのびやってるというのは、学園祭としてどうかはわからんけど、なかなかに魅力的な空間であるのではなくて? ええ、少なくとも私には楽しめる、そんな場になってそうですよ。

『TCGirls』。シオンがついにTCGをはじめる、というのでその、ええと、なに? 会? 茶番? よくわかんないんだけど、セレモニー? ええと、アンが嬉しそうだから私も嬉しいです。シオンがカードをやるの、そんなに嬉しいんですね。それでシオンのための導入サポートをしようっていう話みたい、なんですが、再録カードの回収を目論んでたりと、なるほど、アンさん、したたか? 強欲? でも悪くない。アン、メイ、ニイナの譲れないTCGのこだわりとか、あの目を反らすくだり、あれは笑いますよ。そうか、誰も折れないから、皆が折れたわけだ。そしてTCG入門、最初はスリーブから。って、最初デッキケースのことかと思ってたんですが、違いますね、カード一枚一枚を入れるやつか。カードを保護するために必要。しかし、これがTCGの第一歩、ということは、なにがあってもカードを傷めさせないぞ、そんな意思が感じられますね。キャラスリの説明は、これ、面白かったですよ。買っても使えない、その気持ち、わかります。買えなかった人のTwitterに残された嘆き、あれは、なんだろう、切実さが感じられてたまらんものありました。ミニサイズのキャラスリは少ない。これね、いつかこの漫画のグッズが作られるようなことがあれば、ほら読者プレゼントとかね、その暁にはミニサイズの『TCGirls』キャラスリで決まりだな、とか思ってしまいましたよ。しかし今回のエピソード、まさかスリーブだけで終わるとは思いませんでした。キャラスリを守るためのスリーブガード。スリーブ内のカードを守るためのインナースリーブ。うおお、業が深い……。でも、カードは角がちょっと折れただけでも、ちょっと傷がいっただけでも価値が大幅に下がるって聞くから、スリーブ、これは本当に大事なんでしょうなあ。ほんと、情熱にあてられましたよ。

『スポチャン!』、おお、スポーツチャンバラですね。やわらかカタナで叩きあう、剣道よりもカジュアルで、遊びといえば遊び、すごくわくわくさせるスポーツ。未経験で興味津々の坂本かりん。ちょっとだけ経験者っていう鬼頭もも。このふたりがスポチャン部の扉を叩いて……、っていうんですが、先輩がおかしい。エアーソフト剣を床に置いて、なんか変なトレーニングしてる。ああー、映画の、あの、あれね。うん、わかるわ。あれが好きなのね。スポーツチャンバラの説明あり、剣だけじゃなくて槍とか棒もありますよっていう、その棒がももを豹変させる! 棒や杖を持つと人が変わる! って、先輩、朝比奈れいがかりんに話している、その背後から問答無用で打ち込んできてる、そのももの表情がよいですよ。スポーツチャンバラ。結構自由な楽しいスポーツ。憧れの映画の剣術、それを体現しようとしてみたり、またふたつ名やらね、でもってちょっとケレン味ある立ち回り、私、強いので!! うひょー、かっこいい! こういう派手さを演出できるの、強みかもなあ。ちょっと悪ノリ気味に遊んじゃうのが楽しいんだろうって思うんですよ。

『ナポリのズッケロ』、ゲストです。ズッケロってなんだっけ? どこかで聞いたことがあるんだよなあ。で、思い出したんですが、イタリア語で砂糖のことですね。ヒロイン、野方奈保のあだ名はナポリ。ヨーロッパ好きでイタリア大好き! なんだそうですが、うん、よいセンスでいらっしゃる。イタリア、よいよ! で、この子のあいさつが冒頭のタイトルにあるズッケロで、語呂が気にいってるらしい。なんかおかしいな。でも、気持ちはなんかわかるよ。友達、マルちゃん、丸井マルティーナ。この子はお母さんがイタリア人。さらにここにイタリアからの留学生、カスターニャさんが加わって、この子とマルの対立、ちょっと面白かった。どう見ても日本人といわれて気を悪くするマル、なるほど出自に誇りを持っていらっしゃるんだね。カスターニャと友達になりたいナポの頑張り、これがまたあさっての方向に努力しちゃうんですけど、それで最後になんだか仲良くなれそうなのがね、よかったですよね。というか、これ、見た目がまるっきり日本人といわれたナポと、見た目は日本人じゃないけど中身が日本人くさいカスターニャ。この対象とか面白かったです。このへん、もっと広がったりすると嬉しい感じです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第14巻第3号(2017年3月号)

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