『まんがタイムきららキャラット』2017年2月号、発売されました。表紙は『ブレンド・S』、アニメ化告知の文字が踊っております。メインに苺香。ドSのキャプションがついてるのがなんかおかしいですね。ええ、お店のスタッフ、勢揃いといった様相。わあっと集まってきた、そんな賑やかさあるイラスト。そこに、ツンデレ、妹などなど、店での役割が添えられているってわけです。しかしこの店での役割、奥の男ふたりには店長、キッチンとまともなのがあって、他が全然そうじゃないっていうの。この店の仕様がわかってないと、まったくもって意味不明でありますよね。
『花降り宿のやどかり乙女』、新連載です。しかも2本立て。なんと、思い切った投入の仕方だなあ、そう思ったんですが、いや、これ、大正解だと思う。実家の民宿を守り立てるべく母の友人のやっている老舗旅館にて住み込みで修行することになった千歳六花。大きな旅館、格式もあって、粗相すれば看板に傷がつきかねない。そうしたプレッシャー感じながらの修行の状況。先輩にして旅館の子、雪についていろいろ習って、学んで、気づいていく、そうした見せ方はオーソドックスで丁寧、細かくそつなく仕事の情景描きつつ、雪と、その妹である花と、関係深めていく描写は確かで、ああ、これいい感じですよ。2本立て、1本目は六花、九条屋旅館を訪れるの巻。女将の月子に目通りして、そして娘の雪、花と出会う。ええ、まるっきりの導入なんですね。六花がどういう子か、雪、花もどんな子であるか、それが描かれる導入。そこに続いて2本目で、さらに雪のキャラクター描きつつ、その仕事に対する気概など見せて、ああ、いよいよ六花の修行がはじまる。その第一歩が見事に示されました。ええ、2本揃ってばっちりこの漫画の前提が整った。2本立ての効果、抜群です。
『リラのお菓子な魔法』、こちらも新連載。やはり2本立てで、その効果抜群ですね。1本目で導入、登場人物をざっと紹介して、そして2本目でひとつの事件を解決まで導く。こちらはファンタジーですよ。いたずらな妖精がいたりする、そんな世界での物語。お菓子屋の娘リラが遭遇した変わり者の考古学者。ルーですが、この人、大丈夫なのかな? 街の遺跡に興味がある。しかしこの街は、この街にのみ出る不思議、魔物に手一杯。魔物は人の願いを食べ、そうして作り出した魔法を人に授け魔法使いにする。リラもそのひとりだっていうのですね。なるほど、タイトルのいわんとするところが見えましたよ。お菓子屋の娘にして魔法使いのリラ。この子がお菓子と魔法を駆使して人助けをしようとする。その根本には、失われた自分の記憶と魔法の源を知りたい気持ちがある。今回は魔物の力でもって結界に覆われた高地に連れ去られてしまったルーを助けようと奮闘して、ええ、その過程、ルーとの問答でもって、少しずつリラの事情や思いが開示されていくのは実によかったです。同時にコミカルな展開、やりとりもあって、漫画としてのおかしみはここにあるって示してくれる。過程に面白さを、そして目的もしっかり提示して、ええ、読み応えある初回の2本でした。
『プリフリ番長』、ゲストです。いや、これ、面白いですよ。最初、どういうことかと思いました。教師も手に負えない史上最強の三人組、だそうですが、学校で番をはってるってやつですね、でも、服装がなんか変。いや、別に変じゃないんだけど、ミスマッチ? みんなフリルのリボンのと着飾っていて、あー、プリティでフリルな番長なのか! しかし、なんでこんなことに? って説明、ちゃんとやってくれるんだ! 私立魔裏惡高校、って、いや、待って、どういう経緯でもってこんなおどろおどろしい名前の学校に!? というのはいいとして、マリ高最強のトリプルトップ。デッドエンドリナ、金色のミント、斬鉄桃花。この3人が可愛いに目覚めるまでの展開、これがえらいおかしい。レディースの集会への招集がかかったリナ。集会には正装でいくんじゃないか? そこで出たドレスコードという言葉に理解が追い付かず、ドレス着ていくもんだと勘違いしたってわけかい? それでもってヒラヒラに!? しかも憧れの先輩に可愛いといってもらえて、嬉しかった!? ほんとそこからの転がるような変転、見事でした。勢いってやつ? 有無をいわせず可愛いに塗り替えてしまう。舎弟の白玉も混乱してツッコミが追い付かない。いや、ほんと、これ続きがあるならぜひ読みたいです。
『ダメイドスクール!』、ゲストです。メイドの専門学校に入学した相田芽衣。なぜメイドを志そうと思ったか、そこには幼稚園時分の友人との約束があって、その子の名前が倉糸野音菜。その名前だけを頼りに、倉糸野メイド専門学校、同じ名前のついた学校に飛び込んだというんですね。芽衣の推測は大正解。しかし、倉糸野の家のメイドの門は狭く、芽衣はというと成績もよくなく、またいろいろ鈍臭い。そんな芽衣が倉糸野家のメイドになれるのか!? 芽衣とさっそく仲良くなった真理瑠。優秀なこの子に助けてもらいながらうまいこと乗り切っていく? あるいは、再会したお嬢様、音菜は芽衣のこと大のお気に入りで、この子のプッシュでどうにかなる? なりそうにないんだけど、そんなダメメイド、略してダメイドか、芽衣のメイド修行、期待してよいのかいかんのか、わからんながら、きっといろいろやらかしてくれそうという、それだけは間違いなさそうですよね。
『ご趣味のすすめ』、これ、なんかすごいな。たしなみ女学院の秘密は、お嬢様学校でありながら、生徒の98%が女装した男子生徒だということ。なんでそんなことに? というか、なんでそんな設定に……。昨今はやりの女装男子、男の娘というやつか……? と思ったら、数少ない女子4人で構成された唯一の部活、女子部が主な舞台となる模様。なるほど、特異なシチュエーションを用意して、あえて女子ばかりの部活動を舞台に? と思ったら、そこに女装男子がひとりまじるのか。いろいろ考えても仕方ない、そう思わせるような状況、前提に、いろいろ考えても仕方ない、そう思わせるようなやり取り、ナンセンスな言葉の応酬があって、脳で理解するよりも感じることを要求する。そうした雰囲気。ええ、まずは飛び込んで、感じるままに受け入れてみるといいのかも知れない。そんな漫画でありますよ。
- 『まんがタイムきららキャラット』第13巻第2号(2017年2月号)
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