今日はくたびれてしまっておりまして、手短に。映画を見てきよりました。『この世界の片隅に』。こうの史代原作の、このところちょっと話題になっているアニメーション映画であります。いや、あんた、見にいってたじゃないか。そういわれましたらそのとおり。見ています。先行上映で見て、その後、封切日に見て、そして今日。都合3回見ています。そんなに気にいったのか? といわれたら、まあそのとおりなんですが、封切日に見たのは、その劇場の一番いいスクリーン、ULTIRAってやつだったんですけど、ええと、ごめん、なんかすごいらしいとしかわかってない。でも、なんか、すごいらしい。見ないと損。そして今日は、監督の舞台挨拶付。これまたちょっと特別な上映ですね。ええ、先行上映でも挨拶ありましたから、2回目でありますね。なんか、日本全国あちこちで精力的に舞台挨拶なさってますよね。皆さんもチャンスあるかもですよ。
映画の感想は、初回はとにかく圧倒されて、2度目は、1度目で見落していたものやちらほら出ていた小ネタ、そのあたりを拾うことに注力して、そして3度目である今回は、インタビューやなにかで様々に語られているところ、あるいは映画を見た人の感想や解説、そうしたものを確認するようにして見ていた、ように思います。今回は事前の準備として原作も読み直していますし、画面に描かれること、もの、それらを読み取る、汲み取る力はこれが当然一番でありますね。けれど反面、初回なんかに、あるいは前回でもですが、はっ! と気づかされた、そんな鮮烈な印象はさすがに薄れて、いや、ちょっと違うな。また違うところで、あっ! と気づく。そんなところがあって、本当に汲めども尽きぬではありませんが、前回気づいたことが今回違うことを気づかせたり、あるいは前回見ていたところから目を違う方に向けたらまた違う景色が見えるといった塩梅。おそらくは4度目を見ればまた違う実感なども得られるのでしょう。
映画を見る、それで感想を持つ。さらにいろいろ考えて、情報なども増やしてみて、どういうことが描かれていたか、表現されていたか、考える。そうしてだんだんに強固なものにしていく自己流の解釈というもの。自分なんかは結構やってしまうんですが、この映画を見る時はそういうのはその都度捨てて、なるたけまっさらに近い気持ちで見るのがよいと思っています。実はですね、前回の感想、すなわち先行上映で見た時に書いた感想ですけれど、あの時は主演ののんさんの状況からめて、ああいった風のこと書こう、こういったことも盛り込んでみようか、映画見る前からいろいろ頭の中に組み立てておったんです。で、見た。どばーっ、と吹き飛びましたわ。で、その時に得た感想が、頭の中に組み立てられていって、時間がたつ、インタビューやらで読んだ情報が増える、そのごとに組み立てられていくものが大きくなっていく。これ、見て感じて考えたものだから、なかなかに吹き飛ばされたりするもんじゃありません。でも、そういうのでカチカチにして見ると、見落とす、誤る、見損なう、そうしたものが増えてしまうように思うんです。だから、毎回を新しい気持ちで、この映画が自らそうやって作られたように、後知恵で見ない、すなわち、もう知ってる、判断評価も決まっとる、そうした知識や意識でもって見ないことが大切かな、そう思わされた3度目の鑑賞でした。
そうそう、写真を載せておきましょう。
- 『この世界の片隅に』製作委員会『この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック』東京:双葉社,2016年。
- 片渕須直,浦谷千恵『「この世界の片隅に」劇場アニメ絵コンテ集(仮)』東京:双葉社,2016年。
- 『このマンガがすごい!』編集部編『「この世界の片隅に」公式アートブック』呉市立美術館協力 東京:宝島社,2016年。
- こうの史代『この世界の片隅に』上 (アクションコミックス) 東京:双葉社,2008年。
- こうの史代『この世界の片隅に』中 (アクションコミックス) 東京:双葉社,2008年。
- こうの史代『この世界の片隅に』下 (アクションコミックス) 東京:双葉社,2009年。
- 蒔田陽平『小説 この世界の片隅に』こうの史代原作 (双葉文庫) 東京:双葉社,2016年。
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