2022年9月20日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2022年11月号

 『まんがタイムきららMAX』2022年11月号、昨日の続きです。

『桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい!』

イトちゃん、ほんとに桔香のこと好きなんですね。というか、いつも自分を頼ってくる桔香なのに、自分を差し置いてなだっちと一緒に遊園地にいっちゃってる! 前回の突発遊園地ですね。それがあまりにショックだったか、カネポンの誘いにのって映え写真とりにモールにいっちゃうっていうんですよ。

ほんと、嫉妬に突き動かされるイトちゃん。桔香がなだっちと一緒に遊ぶんだったら、自分にはカネポンがいるもんねといわんがばかりの行動に、この子の桔香に対する感情がうかがえて、めんどくさいけど可愛いですね! でも、そんな負の感情で動いてるからか、写真写りが悪い! で、カネポン、ちゃんとその表情の違い、わかるんですね。すごいや、カネポン。しっかりイトちゃんのこと見てるんですね。

偶然モールにきていた桔香と話をすることになったイトちゃん。ちょっとスネてたのが、桔香に映画に誘われて、イトちゃんだけだよ、他の子には内緒ね、なんていわれて、一気に機嫌直っちゃって、というか、こうなったら今度はカネポンと一緒にいるのバレたくなくなるんだ! いや、桔香はきっと気にしないと思うよ? でもイトちゃん自身が気にしちゃうんでしょうね。ほんと、可愛い子だと思います。

クールに見せて、結構表情に感情表してくる子です。そんなイトちゃんの浮き沈み。この子にとってはきっと大きなできごとだったんだろうなってことがうかがえて、ええ、やっぱり友達ってのは大事なのです。イトちゃんもきっと桔香の一番頼りになる友達でありたいんでしょうね。

『社畜さんと家出少女』

ナルとの暮らしを終え、実家へ戻ったユキ。あの日から数年を経て、ユキも成人、家から、母から適切な距離をたもちつつ、それなりに平穏に暮らしているようです。

今日はナルとユキが再会を果たす日。ミユとアオの店で待ち合わせ、ってホドさんは? と思ったら、海外に3ヶ月ほどいっちゃってるんだ。そして再び出会ったナルは、あの時と同じように笑って迎えてくれて、それから懐かしい一緒に暮らしたナルの家でのやりとりが描かれるのです。

一緒に飲むお酒は、ナルが飲んでいた安くて強いアレ。酒に呑まれて、それからのユキの行動は、子供だったあの頃には思っていてもできなかったこと? あるいは互いに自制していた気持ちを酒の勢いが後押しして、そしてふたりのこれから始まろうという新しい関係を示唆して終わったこの漫画。

静かに推移したように見えるけれど、そこには大きな、大きなできごと、気持ちの動きが確かにあって、苦しみもつらさ、悲しさもある人生だけど、それでも生き辛い人生をともに越えていきたいと思える相手を、ふたりともに見いだし、それを確かなものにしていく過程こそが描かれてきたのだと感じさせられるラストでした。

守られるだけの自分ではなく、支えられるだけの自分でもない、ともにふたり歩んでいく、ふたりはそんな関係に辿り着いたのですね。

『今日の授業は恋愛です!』

恋愛に前向きになれない右京さがりが、過去に類を見ない5人カップルを成立させつつ、学院一を目指し奮闘してきた、その結果が出たのですね。

成績優秀者へのピンバッジを贈呈するのは名雪。思えば、さがりが自身の恋愛に対し抱えていた負の感情を克服しながら、同じく恋愛に、自分自身の感情に問題を抱えていた少女たちに関わり、ともにそれらを解決していった、その5人がここに揃ったというわけですね。

皆、それぞれに晴れ晴れとして誇らしげな表情を見せるところ。ああ、やりとげたんだなと思わせてくれて感慨を覚えます。そしてこの栄誉を受けてなお感情を動かすことのなかったさがりが、ピンバッジの授与を受けたその帰り、一番になったことの実感を得て涙をこぼすくだり。そこで去来した思い出、カップルとなった皆と過ごした日々がなによりもさがりにとって価値があったのだと物語るようで、さがりという子の思いの深さにしみじみと感じいるものありました。

恋愛がわからない、人の心の機微に疎い、そんな風に思われがちなさがりでしたが、その子にしてもただ学年で一番になることよりも大切なものを掴んでいたのかも知れませんね。あるいは、そんな大切な人たちと一緒に勝ち取った一番だからこそ、より一層に価値のある、そう思う気持ちもあったのかも知れません。

そして、そうした思いあらばこそ、高揚感とともに口にしたその言葉。ああ、騒動の勃発だ! 争いの引き金ひいちゃった! というのは別にしても、さがりのうちで育まれてきた気持ちと皆との関係性。強い結びつきがありながらも、曖昧になんてしたくない、そんなアンビバレンスの潜むスリリングな関係がうかがえて、きっとこれからもこの5人で和気あいあいと、紆余曲折をも楽しむように過ごしていくのでしょうね。

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