『まんがタイムきららフォワード』2022年11月号、発売されました。表紙は『球詠』。バッターボックスにてバットを構える白菊と、白菊を応援する菫と稜。声援を送る菫と、その横でこぶしを突き出す稜。応援のスタイルがそれぞれに違っているところ、そこに性格の違いが表れるように感じられるところ、面白く感じます。そしてここでの主役、白菊。本編での様子とは違いリラックスしたその表情、笑みも浮かべているその様。のびのびと野球を楽しんでいる、そんな気持ちが伝わってくるようです。
『高瀬さんはドル活に夢中です』
ドル活とはアイドル活動? と思ったら、違った! そっちか! ドール趣味でありましたか。
主人公江田はPOPという名で活動しているドール作家。まだ界隈に認知されておらず、SNSに写真をあげてもぱっとしない、そんな状況に落ち込む日々を送っているのですが、そんな彼がたまたま言葉をかわすことになった職場の高瀬さん。氷しか食べてないから貧血ぎみといって倒れた彼女を介抱したのですが、いやいや、それは因果が逆では!? 栄養とってなくて貧血になって鉄が不足してるから氷ばっかり食べたくなるやつでは!?
というのはいいとして、食費も削って打ち込むものがあるという高瀬。その打ち込んでいるものというのが、江田同様にドールだというのです。
ドールの専門店に委託していた江田のドールが売れていました。そしてその店で出会ったのが、職場とは違い生き生きとした高瀬! ドールを前に高揚する高瀬にドキドキする江田ですが、愛らしい笑顔に!? それとも収入全放出する勢いで買いまくるその散財っぷりに!?
しかしこの行動見れば、高瀬が栄養失調に陥る理由、それも判明ですね。いや、ほんと、死にますよ?
高瀬が注目しているというドール作家、それがまさに江田であったということが判明する終盤。江田はPOPの正体が自分であると明かすのか!? と思ったら、まさかここで高瀬が倒れる! いや、これ、予想外の展開きたな。飢餓状態に急に高栄養与えると体壊すっていいますが、それ!? でもって病院直行? ともあれ、江田が自分が作家であること話す機会、見事につぶれた気がします。
『お嬢様はメイドハーレムを取り戻したい』
この御屋敷では、メイドはどういう扱いですのん? お嬢様はメイドをはべらせて一緒にゲームをするのが趣味。って、待って、メイドの仕事邪魔してない? と思ったら、案の定その所業を母親に見咎められて別荘送り。いや、待って? 仕事の邪魔をしたからじゃなくて、母のお気に入りを独占したのが原因か!
いやほんと、娘もそうなら母もそう。メイドについての常識が世間のそれと大きく乖離している模様です。
お嬢様、屋敷から別荘に追放されたというのですが、これおしおきですね。一週間の限定隔離。メイドがひとりつけられているので身のまわりのもろもろは大丈夫そう、と思ったら、このメイド、難ありなのか。見た目は良好、性格は駄目。ちょっとおゆがみ遊ばしてる? と思ったら、腹黒とかいうことはない模様。でも雇い主といっていいお嬢様相手にいいたいことをずばずばいっちゃうところ。なるほど、これが性格が駄目といわれる所以かな? でもこの御屋敷ではそうした距離の近さもまた許容されそうに思うんですよね。
そしてこのメイド、まだ駄目なところがあって、ランチ対決にて作ったハンバーグ。見た目は完璧、味は最悪なのか。ああ、料理が駄目なのね。お嬢様の作った見た目も最悪に比べるとずいぶんマシに思えますが、でも料理が駄目という初心者が作ったハンバーグは危ないかも知れん。
あえて家事全般が苦手というメイドを娘につけた理由。それはメイドをはべらせて遊ぶ娘に自活できるようになってほしいという親心があったのかも知れませんね。いや、ただのおしおきかも知れませんけど。そしてメイドにしても、これを機会にスキルアップにつとめてほしい。そんな気持ちもあったのかも知れません。
家事能力に欠けるふたりが、ともに苦楽を共にした一週間。それで深まる絆が描かれて、たくさんいるメイドのひとりでしかなかったこの子を特別なひとりへと変える、そんな過程こそが描かれていたのかも知れませんね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第16巻第11号(2022年11月号)
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