『まんがタイムきららMAX』2022年11月号、発売されました。表紙は『ぼっち・ざ・ろっく!』。秋の日、暖かみあるやわらかな日射しのもと、スケッチブックに絵を描いているひとりたちです。しかし衣装が凝ってますね。ひとり、すなわちぼっちの服はゴッホの星月夜。喜多ちゃんのはクリムト、接吻。そして眼鏡も可愛い虹夏はモンドリアンのブロードウェイ・ブギウギ! 秋、ゆえにアート。ただ描くだけでなく、意匠にもアートを盛り込んだイラスト。いや、これ、実に素敵だと思います。
今月は新連載が1本、新規ゲストが2本です。
『わからせろ!ナマイキツネ様』
神社に出没するゴスロリ衣装のケモ耳少女。命婦専女神、壱与と名乗るその子はこの神社の氏神を自称しているのですが、その格好からも明らかといっていいものでしょうか、威厳もなにもあったものではなく、むしろ参拝者をザーコザーコと煽る始末。
こうして参拝者を煽って、おちょくって、参拝者の上司からかかってきた電話を勝手に受けて無駄に煽って事態悪化させてしまう神様。なにかしらのご利益あったりはしないの!? これだけやらかして、なんらの結果も出せないじゃ限りなく貧乏神に近い存在だよ!?
なんて思っていたら、実際巫女にきつーくおしおきされて、泣いて謝ることに……。で、この巫女のいうことには、うちの駄目妖怪。ということは、神様を自称しているだけの妖怪なのかい!?
いやもうおそろしく罰当たり。巫女どころじゃなく神様からのきつーいおしおきがあったりはせんのでしょうか!? 巫女が代わりにおしおきしているから助かってる? だとしたら壱与は巫女の桜子に感謝しないといけませんね。
『何の因果か主人公が多すぎる!』
魔法少女にアンドロイド、超能力者やら吸血鬼やら。やたらと個性の強い子たちが多数通っているこの学校。で、肝心の主人公ひなたはというと、特になにかしらの属性があるわけでもない普通の子。いや、このとりわけこれといった個性がないというところこそ、日常系の主人公たる資質なのでは!? そう考えると、本当に主人公に求められる資質とはなにか、なかなかに難しくなってきますよね。
さて、今回ひなたに目をつけられたのは、B組の神宮寺さん。この町を守るべく変身して戦う魔法少女のひとり。戦う姿を目撃して、どうせなら変身シーンも見たかった。なんてこといってるのはオタク趣味の友人せなちゃん。変身するときは裸になるとかいってますけど、それはもう結構昔の話で、最近はなにかしら身につけてることが普通ですよね。ほら、ワンピースみたいなの。
ともあれ、帰宅途中に話題の魔法少女、神宮寺の後をつけて、敵幹部との接触を目撃。その幹部の正体も、うちの生徒会長だと早速判明して、さらにここから念願の変身シーン! 飛び出して写真撮りまくるんかい! ツッコミ担当のちとせさんがきつく釘を刺してますね。ええ、この漫画の良心、それがちとせさんなのかもですね。
そして今回の落ち。やたらと激しい魔法少女の必殺技! これを食らった生徒会長の命運やいかに!? からの、生存で安心、けど平凡な日常のありがたみを噛みしめざるを得ない破壊がもたらしたインパクト。ええ、やっぱり人には持って生まれた領分ってもんがあるんだなと思わされるラストでした。
『ほーんてっど!』
主人公、幽霊なのか。レイナ。廃校に現れて訪問者を怖がらせるのが使命。いや、ただの趣味? なんかね、どうにも明るい恐怖とかそういった感情とは縁遠そうな女の子。今回驚かそうとした相手、オカルト研究部部長のツグミも、その友人イズナも、まるでビビってない。むしろほのぼのと会話が成立しているというんですね。
しかも幽霊であることが明らかにされてからも、笑って仲良くなってしまう始末。取り憑かれるかもという心配も、それはそれで面白そうに楽しげに語られて、この緊張感のなさ! いや、ツグミの肝の太さもあるんでしょうけど、それ以上にレイナのキャラクター、そのほのぼの感が大きいな!
かくして友達になった3人。もともとは人を怖がらせてその結果成仏する気だったレイナも、友達ができて嬉しそう。さらに過去の因縁? 幼ない頃にレイナと出会っていたツグミ! その時のツグミの姿の意外性! こうした思いもしないところに驚き、面白さ、くすぐりを放り込んでくるところ、とてもよかったです。
- 『まんがタイムきららMAX』第19巻第11号(2022年11月号)
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