2022年9月26日月曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年11月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年11月号、昨日の続きです。

『ちょっといっぱい』

すずめ亭を継ぐことについて、伯父と話すことに決めたもみじ。しかしその前に、俵屋グループの花園の話していた雷神亭出店交渉について、話しておかないと……。

ここからの展開、想像を絶しましたよ。ええーっ、そんなことあるの!? としかいいようのない展開見せて、炉ばた焼器持ち込みで現れた花園に決死の覚悟で話しかけたもみじに返ってきた衝撃のセリフ。

なんでその話知ってるの?

って、あんたが、あんたが話したんだ!

そこまできれいさっぱり忘れてしまうものなんだ。いや、まずくないかな。この人、これまで酒でかなりやらかしてきてたりするんじゃないかな? ともあれ、社内情報を漏洩させてしまっていた花園。まったく悪びれないのもすごいですけど、もう話してしまってるんじゃあしようがないとばかりに、出店の交渉が断られたことを教えてくれて、さらには他のチェーン店からの申し出もすべて断っているという追加情報まで。

もみじからの相談を受けて、その意図を察したのかな? そう思ったけれど、どうも違うみたい。もみじがそうであるように、すずめ亭の変わってしまうことに抵抗があるのかも知れない。となれば、もみじの申し出、それを受けてどう応えてくれるだろうか。

物語が動きますね。もう大詰めなのでしょうか。もみじの凪に頼もうとしていること、それはなにか。その動きひとつひとつが大きく事態に関わりそうで、目が離せません。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

異世界から佐渡島に転移してきたロゼ。もとの世界では相当な魔法の使い手だったロゼですが、今回はその魔法を見事披露してくれて、いやあ、ここまで大掛かりなことできるんですね。

島民から持ち込まれた相談ごと。伊藤さんちの美乃梨ちゃんが迷子なんだっていうんですよ。はやく捜さないとと焦る紗菜に、空から探せばはやいというロゼ。いやもう、そりゃあわかんないよね。ヘリがあるわけでなし、はやりのドローンってわけでもない。なにをいってるのだろうと戸惑ってるところに、魔法書召喚からの空まで一気に急上昇!

この場面、一気に状況の変化したことを示して、ビジュアル的にも大きな見せ場でありました。魔法なんて存在しない現代日本に魔法を使える女の子がやってきたということを、思いっきり見せつけてくれて、そして眼下に広がる佐渡の情景! すばらしいインパクト、一気に引き込んでくれるものありました。

そして異世界からきたことがロゼから説明された終盤。同時にこの世界に魔法はないことが知らされて、異端として自分は排斥されてしまうのではないか、ロゼの感じた不安から払拭にいたる流れ。ああ、ただ感謝という素直な気持ちだけでここまでロゼの気持ちは揺れ動いたのだな。故郷では望んでも得られなかったもの、それを得られたロゼの喜び、嬉しさ。この気持ちをともにこの佐渡に暮らしていくことになるロゼのこれから。なにを見て、なにを思うことになるのか。さらなる活躍とともにそうした反応を見るのが楽しみになるラストでした。

『さよなら幽霊ちゃん』

最終回を迎えましたね。空き教室に出る幽霊のゆうとの交流が描かれてきたこの漫画。こうして最後まで読み終えてみれば、きれいに整理がついて、あの時のあの展開、こういうことだったんだなとすっと納得をもって入ってくる。

見た目に可愛い子たちの和気あいあいと日々に若干背を向けながら過ごす、そんな日常の描かれた漫画でした。けれど見た目ほど可愛いばかりじゃない。死に向きあうようなできごともあれば、逃げ続けてきた現実に立ち向かわなければならなかったこともあり、緩く生きたい、つらいことからは逃げたい、そういう思いとはうらはらに、逃げられない時には腹をくくるしかない。苦さも飲まねばならないこともあるのだと、そんなメッセージを感じたりしていました。

それだけに終盤に近づくほどに増していく不穏に、つのってゆく不安。生につきまとう死の存在感もいや増して、これ穏当に決着するんだろうかって思いながら読んでいました。それがこうして終わってみれば、そうした心配もぜんぶ杞憂ってやつで、かつて自ら命を断った先輩の記憶に覚える罪悪感とこの社会に感じる生きづらさから死に引き寄せられるようにして自身も命を断とうとした雪息に、すんでのところで幽霊部の皆が間にあった前回。そこからのこの最終回の穏やかなる様、ああ、これは時に飲まねばならない苦さを飲んで、やるべき時には腹をくくって、しっかり生に向きあったゆえの結末なのだなと思われたのでした。

さよなら幽霊ちゃん。幽霊ちゃんとはお別れだったのでしょうか。あるいは、雪息とのあのふたたびあうことを約束しつつの別れ。このタイトルにもまた、死と生がそうであったように、別れや再会、そうした相反するもののともに内包しあうような関係性を思うラストでした。

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