『まんがタイムきらら』2022年10月号、昨日の続きです。
『むすんで、つないで。』
高校生になった花ノ子。思えば彼女が神隠しにあっていなかったら、高校生のつなぐはこの花ノ子と一緒に学校に通っていた可能性があったわけですね。そう思えば、あの神隠しは花ノ子と家族、そしてつなぐの人生にも大きな影響を与えていたのだなあと改めて実感させられました。
しかし花ノ子よりも先に大人になったつなぐ。進学して、それも卒業して、今はお店を開くべく頑張っている。野見山様の近く、祖母の残してくれた家で小物を売りつつカフェを開こうとしているんですね。
この夢に向かうつなぐの姿。凛々しくて素敵な女性になったなあ、と思ったらその瞬間くじけはじめる。ああ、そうかあ。やっぱ店開くとなると大変だよねえ。でもそれでもしっかり目標のできたつなぐ。やっぱり大人びたなあって感じますよね。
つなぐのもとを訪ねてきた花ノ子。この子もしっかりしていて、ほんと大人っぽいんだけど、それでもつなぐに比べると幼なく見える。なんかつなぐに甘えてるっぽい感じもない? でも確実に甘えてるのが白百合! この子もすっごく美人になったよね。でもこの子がつなぐの前だと自分のことゆりって呼んじゃうの。ほんと可愛い子だと思います。
この漫画、変わるものがあり、過ぎる時間があり、けれどそれでも切れることなく続く結びつきがある。そんなこと感じさせてくれて、花ノ子とつなぐの縁、そこに永遠に似たものを感じるのでした。つなぐの開こうとしているお店の名が「結」。漫画のタイトル『むすんで、つないで。』。まさしくそれだったのですね。
『スロウスタート』
びっくりしましたよ。かつて果実が見たという、ギャルゲーをプレイする女の子の配信。たまてが一度だけやって、家族にしかられてやめたという配信。まさかそれが思い出の配信なのでは!? 知らず繋がっていた果実とたまての縁!
ああ、いい話だなあ、素敵な関係だなあ、みたいなこと思っていたら、まさかの深堀りですよ! しかもなんか微妙に展開が不穏。たまての告白からはじまって、縁の不思議に皆が感動していたら、ママンヌからの動画提供! わくわくしながら皆で動画視聴してみたら、なんか、なんか、思ってたのと違う!
一番衝撃だったのはたまンヌだったろうなあ。冒頭の、記憶に残る配信の様子と全然違うんだもの。だってのっけから怪しい面。怪しいテーマソング。さらにそこからのぐだぐだ展開。ギャルゲー配信をやったつもりでいたけど、ギャルゲーまで辿り着けてない!
ここからのたまての悶えっぷりったら! なんでこんなの取っておくんですかに始まり、家族で上映会されてると聞いてさらにショック。おおう、なんたらタトゥーってやつだ。
しかし今回のたまて黒歴史。思い出ばかりが美しく彩られているみたいな話で、あるいはうつろいやすい人の記憶? ほんとたまてのショックに、それが花名に伝染するとかね、誰しもが持つ思い出したくない過去を掘り起こしてしまいかねない、そんな危険なエピソードでした。
『しあわせ鳥見んぐ』
御積島に向かいます。ここは海鳥の繁殖地として保護されている島。さっそく見つけたのはウミウ。見事に潜って魚をとる鳥ですが、濡れた羽を乾かすとかね、面白い行動があるんですね。そして島ではウミネコが抱卵をしていて、そして堆積したフン!
これ、グアノとかになったりしてたのかな。鳥のフンの成分でできた黄金に光るうろこ状の岩肌があるというくだり。龍神のすみかとして崇められてきたということは、グアノを採掘して肥料にするみたいなことはなかったかも知れませんね。
さて、鳥たちが綿々と続けてきた営為が島の伝説をかたちづくるにいたったという話が語られ、そして翼の祖父が旅館を閉めるつもりでいると話してくれる。このふたつは対照なのでしょうね。続いてきたものがある。反面、終わりを迎えるものがある。そこで表情を曇らせる翼。自分が島を出たことで、繋がれてきたものが途切れようとしているのではないか。島の、旅館の終わりに自分は加担しているのではないか。責任を感じてしまってるようなんですね。
重苦しい気持ちを抱えている翼。この気持ちのまま島を去ることになるのかと思ったら、定期便が欠航、帰れなくなってさらに一泊することに。この一夜の延泊が、翼にとってなにかしら大きな転機を与えることになるのでしょう。そのきっかけ、なにがどう翼に働きかけることとなるのか。見どころだと思います。
- 『まんがタイムきらら』第20巻第10号(2021年10月号)
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