2022年9月29日木曜日

『まんがタイムオリジナル』2022年11月号

 『まんがタイムオリジナル』2022年11月号、一昨日の続きです。

『通勤通学クエスト』

ウメちゃんの悩み。ここに描かれてることは、最近のというより昭和の高度経済成長期あたりを思わせるものがありますが、ほら工場の煤煙が空を覆い連日の光化学スモッグ発生、垂れ流される廃水は河川海を汚染してどぎつく色づいて泡立ち、煤煙とともに公害病を次々と発生させる、みたいなイメージですね。あんまりにあの頃が酷かったから、今ではずいぶん規制されて比べるべくもないほどに綺麗にはなったんですけど、ウメちゃん、人間が自然に及ぼすもろもろを見て、知って自分たち種に対する不信を覚えてしまったというのですね。

いや、でもまあわからんでもない。自分にもそうした時期はあったり、今まさに毎年見舞われる大型台風、大雨、洪水、河川氾濫。もううんざりして、嫌んなって、そうした気候変動に人の活動が関与している事実があらば、ウメちゃんが抱えるような悩みに近い感情を持ってしまうわけです。

いつになくアンニュイなウメちゃんと、その絶望に共感する気持ちもあらば、日常にあるささやかな喜びとかしあわせに支えられる気持ちもまたわかる。ウメちゃんには不安、心配に共感してくれる友達がいてよかったね。明るく元気に見える松島にも悩みはあった。自己嫌悪することだってあった。そうしたネガティブな気持ちをこうやって話して分かちあって、それで苦悩から抜け出していくところ、ここにこの子たちの健全性があると感じられて、ええ、いいエピソードだったと思いました。

彼女たちが感じたようなこと。グローバルなこともあれば、もっと私的なこともある。誰だって不安に思って、落ち込んで、どうしようもなくやるせない思いに囚われることだってある。そこから抜け出してふたたび前向いて進めるようになるための秘訣。とりあえず今は、柏木に共感してネガティブを分かちあえる誰かがいるといいなって思いましたよ!

『敷金礼金ヤンキー付き』

たえちゃん、ヤンキーは平気だけどお化けは怖いんだ!

雨の夜、ばくぜんと不安を感じていたところ、窓の外から覗き込む怪しい視線! 人の姿からかけはなれたそいつに怯えるたえ。いや、まあ、怖いよね。仮にこれが人だったとしても怖いよ。でもそいつの存在をアパートの皆に話しても誰も信じてくれない。ああー、たえちゃん孤立無援か! と思ったら、速攻七恵が味方になってくれた。というか、七恵もお化けに遭遇ですよ!

いやもう、ちょっとした新機軸ですよ。このアパートの住民が大家以外にここまでビビらされたこと、かつてなかったのでは? しかも対策講じるもどれもこれも結果がかんばしくなく、あの深夜にお化けに遭遇した七恵のダッシュとかね、ほんと申し訳ないんだけど、おかしかった。いやもう、夜になると部屋から出られないですねこれじゃ。

ここからの、自室に篭りながらも仲間の存在を感じる作戦がおかしかった。パラリラパラリラで七恵は元気だよアピールも面白いんだけど、借金取り立てボイスで存在通知する佳もたいがいだな。と思ったら、たえが癒されている……。ほんと、よっぽど追い込まれてたんだな。でもこの作戦の広がりがね、もともと結束力の強いアパート住人のより強い結束促して、ああみんないい関係築いてるなあと思えて微笑ましい。ええ、お化け騒動の不穏とかすっかり上書きされてしまいました。

そしてお化けの正体発覚! まさかレシーブのフォームで!? って、お化けにゴミ袋投げつける大家も大家だけど、それを的確に拾っていくお化けもすごいな! で、このお化けの中身ですよ。おお、姫子だったんだ! おおー、姫子さん、和装が似合って素敵ね! やっぱり美人さんはなに着ても似合わはるわあ。ってのはいいとして、無茶な調査してる姫子への大家のツッコミ、お前こそ捕まれよ、は最高度におかしかった。いや、ほんと、大家、めっちゃ正論でしたよ。

で、最後に残った謎。姫子不在の時間に七恵が遭遇したあれは誰? というの。見返したらですよ、その時のお化けにだけ人魂が浮いとるの! うわー、やっぱり出るんだ。というので、しばらくは夜に篭るスタイル続くんですかね。さすがの大家もビビってましたけど、まだビビり期間は続きそうですね。

『オネェの恋のはじめかた』

夏服のよさを語りあう男子たち。新鮮、薄着、見えないところが見える! と高揚ぎみに語りあってるわけですが、ちょっと方向性が違ってる時宗。さすがだ。ひとり毛色が違う! といいたいが、鎖骨のくだりは対象女子で理解を示すやつが絶対いるぞ!

ともあれ、男子連中からも性志向をしっかり理解されている時宗。だからといって距離置かれるわけでなく、奇異の目で見られるわけでもなく。こうしたところ見ても、この学校の生徒たち、いいやつらだなあって思えてくるんですね。

さて、そんな時宗が皆が知るところの性志向とはかけ離れた恋をしているらしいという噂。男子連中はガセだ嘘だ冗談だ、そう思ってすぐには信じられなかったというのですが、そんな男子にしてすぐさまに時宗の恋心を知るにいたるあの瞬間。遠くに見ゆる時宗の、桜子に向けたあの表情。それはどれほどに言葉を重ねるよりももっと確かにその思うところを明らかにして、また桜子の思いもまた彼らにははっきりとうかがい知れるものだったようなのですね。

今回はまたいつもとは違ったテイストの語り口。導入こそはにぎやかだったけれど、物語の核心に触れる終盤は、言葉少なに情景でもって表現されることになった。その静かな様子こそが時宗の心情を物語るにより相応しいものだったと感じました。

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