2022年9月22日木曜日

王国の道具屋さん

Nintendo 3DS、ソフトダウンロード販売の終了を受けてよさそうなソフトを探すべく夏のセール品を眺めていたら、ふと気になったのがこのタイトル、『王国の道具屋さん』。800円が400円になっていたのも気になるポイントでしたが、それよりもキャラクターの可愛さが興味をひいたのでした。内容は素材を集めて商品作って店で売るという、典型的なお店屋さん系ゲーム。400円ならたとえハズしたとしても惜しくはない、試しにプレイしてみようと思って買ってみたらですよ、これがもう大当たり。遊んだのはエンディングまで4日間、全称号入手まで8日間と短かったのですが、充実した楽しい時間を過ごすことができました。

もともとが800円のゲームなので、そんなにボリュームを期待していなかったのも大きかったのだと思います。というか、最近のゲームって、とりわけ大作や話題作となると価格以上に楽しませようとしてくれているのか、かなりボリュームがあって、普通にクリアするだけで30時間オーバー、ちょっと寄り道したら50時間とかかかるのもざらだったりしますでしょう。さらにそこにクリア後の追加ステージとか称号やらトロフィーやらをコンプリートするとなると、余裕で100時間以上とかになって疲れはててしまうこともしばしば。

だいたいメインストーリー進めてる途中で疲れてきて、まだ、まだ終わらんのか、とりあえず探索は雑にすませてクリアだけしてしまおう……、みたいになることがこのところ多いんですね。ええ、長すぎると思う。2回目プレイしようとかまったく思えないくらい長い。

その点、3DSのこぢんまりしたDLソフトは、普通に遊んで10時間くらいでクリアできたりするから、コンパクトに遊んで、疲れのでないうちに満足感とともに終わることができるのが嬉しい。

王国の道具屋さんだとエンディング到達時点で7時間半! 称号コンプリートで28時間半くらい。でもこの28時間というのはプレイした実時間ではなく、スリープ中などに店に並べておいた商品が売り切れるまでの時間も加算されてるっぽい。だから、本当に隙間時間に遊んで、楽しいな、面白いな、もうちょっと遊びたいんだけどな、みたいな気持ちのあるうちに終われて、お別れの寂しさとともにゲームから離れるという、最近では珍しい体験をすることができました。

いやもう、ほんと、大作ゲームとかだと、ああー、やっと終わった、もうしばらくは見たくもない、みたいな感じで終わるんだもの。やっぱりサイズ感っていうのは重要です。

実際、楽しかったんですね。主人公キャラを取り巻く人たちが愛らしかった。いろいろサポートしてくれる爺やにはじまり、レシピを教えてくれる工房の店主たち、素材入手を手伝ってくれる傭兵に、お店を訪れるお客さんたち。

店を繁盛させるには素材を集めて、工房でレシピを見つけて商品作って店に並べる。売るほどに店の評判もあがるので、より一層に売れるようになるから、売れ筋用意したり、なかなか売れないけど単価が高いの作ったりと、別に工夫しなくても店は成長していきますけどね、でもいろいろ試したりできるのは面白かった。

材料集めを手伝ってくれる傭兵が、冒険終わるごとになんか感想いってくれるんですよ。それも楽しかった。なんか身近な感じがするじゃないですか。それを何度も何度も繰り返して、正直、鉄とか水とか、必要性が高いのにすぐなくなるから何度でも取りにいかないといけなくて、もう面倒だわー、ってなるようなことがあっても、その面倒な繰り返しを一緒に乗り越えてくれた同志感が出てくる。

そしてお店も、最初はちょっとしか置けなかった商品が、種類も数もどんどん増えていく、手をかけて育てたという感触を与えてくれるものだから、やっぱり愛着だって出るでしょう?

そうした愛着がある人や場所がゲームの中にできてしまって、けど自分が遊び終えてこのゲームをやらなくなったら、この店には商品が並ぶこともなくなって、時間のとまったまま寂れていってしまうんだな。ゲームの終了が見えてきた頃、そんな寂しさや未練を感じてしみじみとした思いが胸に広がったことを覚えています。

そんな感覚になったのは、それだけゲームが与えてくれたものが豊かだったからだと思います。大作ゲームのような物量はないですよ。本当にこぢんまりとした、てのひらに乗るようなちいさなお店にすぎないんです。でもその小さな世界が愛おしいと感じた。

ええ、そうした気持ちをともに遊んで別れられたことがさいわいだと思える、そんなゲームでありました。

0 件のコメント: