2021年10月2日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年11月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年11月号、先日の続きです。

今月は新規ゲスト7本、残り3本の感想です。

『見えぬ明日も一歩から』

生まれつき目の見えない女の子、カオが、ある夜、夢で見た女の子の姿に不思議と安心に似た思いを覚えたというのです。見えないはずの目に、確かに映ったその光景。翌朝姉にその夢の話をすると、かつて似たようなことがあって、その頃に友達になった子がいたのだそう。だから夢の女の子も、いつかカオと出会う誰かなのではないか。

そう予感したところ、今日はじめて出会った子、サキが夢の子の情報に一部合致したというのですね。

昔、不思議な夢の後に友達になった子、チハルは教師になることを夢見ている。そしてカオはというと、歌手になりたいと思っている。その夢のことを話したら、サキがはげましてくれた。ネガティブだったカオの気持ちも晴れ、夢に向かって前向きになることができました。

この話は、こうしてカオの夢をきっかに出会った子らが、ともに将来の夢に向かっていこうというものだそうです。今回はまずはその出会いを描いた導入、序盤といった感じ。この子らの夢を追う様子、描かれる日がくればよいと思います。

『今日の魔法は何にする?』

家に帰ると、部屋にガチャ機が置かれていて、なんだろうと回してみたらカプセルから魔法少女の勧誘をする怪しげなちんまい生き物が出てきたというのですね。いったいなにものなのか。とりあえずは捕獲して虫かごに入れて見守ってみたのですが、今どきはこれで正解なのかも知れません。

魔法少女の使い魔見習いという彼は名をこぐまという。自分と組む魔法少女を探していた末に神代ゆまのもとに辿り着いたのだそうですが、ここでゆまの姉が根掘り葉掘りいろいろ聞き出そうとするの、今どきの魔法少女事情を鑑みればきっとこれが正解なんでしょうなあ。

このガチャはなんなのか。こぐま本人について。さらに加えて魔法少女のすべきこと。危険の有無。なにゆえゆまが選ばれたのか等々。魔法少女というファンシーな響きにまどわされ、うかつに引き受けたら酷い目にあったなんて話ももはや珍しくない昨今。こうして各種条件を確認してから契約に臨むくらいの慎重さは当然のように求められるわけですね。

世知辛い時代になった……。

ともあれ、こぐまはそんな悪いやつじゃあないっぽいですよ。契約可能時間が終わろうという時も、恨み言いうでもなく、話を聞いてくれたこと、そのことへの感謝さえ口にするんです。そしておそらくはこれが決め手だったのだろうなあ。カプセルの故障でタイムリミットがうやむやになったという奇跡なのか巡り合わせなのか、この思いがけず発生したアディショナルタイムが功を奏して、ゆま、魔法少女になることを決断するのですね。

かくしてはじまるゆまの魔法少女生活。求められるのは、一日一回魔法を使うということだけ。どんな魔法をなんのために使うか、いわばそれが試されるということなのでしょうね。

『たいむずピース』

芦屋てまりは進学のため親元を離れ、親戚から借りた家にひとり住むことになりました。その家の庭に見つけた小さな祠。そっと触れようとしたらガタガタとひとりでに揺れはじめ、いったいなにかと思いながらもとりあえず祈ってみたら、そこから平安貴族の女性が現れたというのです。

名は芳夜。はじめての令和の世に戸惑い覚えながらも、てまりから差し出されたチョコレートの甘さにすっかり心を許して、というか、実際昔の人がチョコレートにせよなんにせよ、現代の菓子を口にしたら絶対こうなるだろうなあ。甘い! それこそ尋常でなく甘い! それだけでなににも替えがたい大ご馳走でありましょう。あるいは次に芳夜の出会った炊きたてご飯、これすらも想像を絶する美味と感じるかも知れません。

なくて困るものもあるのでしょうが、それ以上に想像もしえなかったものに出会うことになるだろう令和の暮らし。芳夜にとってその刺激たるやいかほどのものでしょうか。今回描かれたものだと、チョコレートにご飯、セーラー服の生地、漫画なんかがそうですね。そして意外だったのが布団! そうだ、そうでした、平安時代は着物をそのまま寝具として使ってますよね。ご飯の盛りつけもそうでしたが、今と当時でまったく違っている文化、風俗がこうしてカルチャーギャップとともに紹介されるのなかなかに面白く、今後への期待が高まります。

そして、芳夜、てまりと一緒に学校に通うことになるのですか! なんとまあ、同じセーラー服を着て、しかも祠が用意してくれた? ということは入学の手続きもろもろも!? いやもう、結構な至れり尽くせり。しかし平安生まれ平安育ちのこの子が現在の学校を知れば、いったいどのような感想持つにいたるのか。興味も募ろうというものです。

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