2021年10月7日木曜日

『まんがタイム』2021年11月号

 『まんがタイム』2021年11月号、発売されました。表紙は『おとぼけ部長代理』がボクシングをしてまして、これは運動の秋なのかな? と思えば、ダンベルを両手にふるっている『花丸町の花むすび』花子があって、『秘密のお姉さん養成ノート』の蛍はバランスボールの上でバランスをとっていて、ってこれすごく難易度高くない? スポーツというよりもトレーニング、あるいはエクササイズ色の強いラインナップが並んでいます。そして『百合のあいだは悩ましい』の告知カットもございます。

今月は新規ゲストが1本です。

『百合のあいだは悩ましい』

美術部に所属する藍田少年は、不思議と特定の女子、白野合子と黒崎百恵に挟まれることが多くて、今日のスケッチでも左右ふたりに挟まれた席に座ることとなってしまう。はたしてなぜこんなことになるのだろう。

白野と黒崎、ふたりの気持ちは読んでればちゃんとわかるようになっていて、ふたりともに藍田のことが好きで、自分の隣に座らせようと思ってるもんだから、どうしても藍田を挟む席順になってしまう。でもこの藍田ってやつが曲者で、ふたりの好意にはまるで気づかないどころか、白野、黒崎のふたりこそが互いに愛しあっていると百合的関係を妄想し、邪魔な自分は退こうとして、逆にふたりに止められる。

なんともいわれん三角関係? 頂点のひとつが消えよう消えようとしているいびつな三角ではありますが! が描かれるのですね。

ヒロインふたりの性格は対照的で、でもどちらも可愛らしく描かれていると思います。でもその好意は藍田には届かない。結構あからさまなのになあ。あまりににぶい藍田にやきもきするか、あるいは藍田と一緒にありもしない百合に思いを馳せるか。その読み方にもバリエーション、幅が出てきそうな感じがします。

『瀬戸際女優!白石さん』

真島監督を看病しにいった時に、いろいろ作り置きしてきた白石。それを真島が写真に撮ってSNSで公開したところから騒動が広がっていく。真島に恋人がいるのではないか? いや、あれはお母さんじゃないの? 憶測が飛び交う中、女性アナウンサー大石のあげた写真が物議をかもす。

これ、事実を知っている白石からしたらなんとももどかしく、そして不穏な状況ですよね。たまたま似たおかずだっただけなのに、おかしな噂をたてられてかわいそう。そう思いながらも、しばしば軽い嫉妬やら落ち込みやらが発生するのが漫画のおかしみですが、それでもあらぬ噂に尾ヒレがついて、さらには周囲から非難される大石を見れば黙っていられないのが白石という人のよいところ。

ええ、今回は白石の気持ちの真っ直ぐさと、そしてラストの真島がちらりと見せた? 白石への好意。ただ看病のお礼じゃないよね? いつにも増して素直と感じられる真島の飾らない感じがとてもよかった。白石と一緒にいる時の真島、ふたりの会話も、とてもいい雰囲気で素敵だと思ったのでした。

『茨城ってどこにあるんですか?』

多恵のバイト先、カッパマートの新サービス。宅配をはじめるというのですが、まさか多恵が配送スタッフとして勘定に入れられている! でも多恵、素直というかチョロいというか、最初は抵抗見せたものの、店長にお願いされて、さらには自転車こぐパワーがすごいとおだてられたら、まあいいかと引き受けちゃった。

この多恵の人のよさ。この子の美点だけど損するタイプ? とかこの時点では思ったんですが、先を読み進めれば、ああ、この子は目先の損得にとらわれないんだな。配達にいった先で困ってる人がいれば、花壇の水やりだって進んでやるし、犬の散歩だってどんとこい。野菜の収穫まで手伝って、そのたんびになにかしらいただいちゃうから、配達した分よりも多くなっちゃってないですか?

これ、本当にこの子の人徳だと思う。こうだからこそ皆から好かれて、頼りにされるんだな。

そして最後に森戸の家を訪れて、風邪をひいている森戸のためにおかゆやらいろいろ、看病グッズをデリバリー。この気負うことなく、相手にとっていいことをさらりとやっちゃうかっこよさ! ほんと、いい子だよ多恵。もう森戸も感動しまくってるじゃん!

ああ、いい話だなあ、と思ったのだけど、あちこちで頼まれごとばんばん引き受けちゃうから、お店にとっては出たっきり戻ってこなくて大変なんだ! いやまあそうだよなあ。うん、宅配については多恵はミスマッチ人材でしたね。こんなにあちこちで頼られるだなんて店長からは予想外でしょうけど、多恵の断われなさからはじまった話なんですから、最後まできっちり必然感ある納得の終わりでありました。

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