2021年10月19日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2021年12月号

 『まんがタイムきららMAX』2021年12月号、発売されました。表紙は『ご注文はうさぎですか?』。近未来的サイバー空間にいるココアとチノ、ふたりが皆との思い出振り返りつつ、写真データをぐるり展開している、そんな感じのイラストです。ティッピーがロボになって、もふ感ゼロになってるんですが、これはいいんでしょうか!? ともあれ、時代? 世界観は違っても、寄り添い手に手を重ねあう、そんなふたりの仲良さは健在。チノの表情など見るに、そうした関係もろもろに自覚的で、もう照れも戸惑いもしない、そんなまっすぐに気持ちの表されているような様子が印象的です。

今月は新規ゲストが3本です。

『白魔導士はゾンビの夢を見るか?』

ゾンビアポカリスものだ! 突如発生したゾンビウイルスのため滅びに瀕した世界。人類の90%が死滅ないしゾンビ化したといいますが、これはもう文明は存続し得ないなあ。と、そんな世界にやってきた白魔導士のリルー。ゾンビの存在は知らないながらも、怪我人と思ってかけた治癒魔法。それがなんとまあゾンビを浄化させるにいたって、これはちょっとしたゲームチェンジャーとなりうる存在!? いや、でも、90%が死滅ないしゾンビ化しとるんだろう? はたしてここから世界を取り戻すこととか可能なんだろうか。

リルーが出会った少女、アヤ。この世界での数少ない生き残り、というか、アヤの言葉から察するに、単独で生きている。生き残りのコミュニティはとりあえず存在しない。もしかしたらこの先、そうしたコミュニティに出会える可能性もあるけれど、当座はアヤとリルー、ふたりで生きていかないといけない、そんな絶望的状況ですよ。

でも本当にリルーの魔法、この世界における希望ともいえるものかも知れないですね。ゾンビに噛まれたアヤ。これ、感染してゾンビ化するのでは!? と思ったら、治癒の魔法、レサナによってゾンビは消滅、感染からも守ってくれる!?

デカいな……。これ、リルーを確保したものが生き残る、そんな局面になっとる。とはいえ、レサナは1日3回。ゾンビを浄化しまくってレベル上がったら使用回数も増えたりしない? と、まずは一般人と白魔導士、ふたりで生きていくことになった。どことなくのんきなこのふたりの前に、いかなる試練が待ち受けるのか。いや、そういう試練とかは出てこないかも知れないけど。絶望的シチュエーションに対し、ふたりがなんか力抜けてるのが悲愴感少なく読みやすいと感じました。

『おつよん』

すごい独特の感触が面白い。きらら誌を読んでもう長いけど、こうしたテイストの漫画ははじめてではないかな。だって、登場人物が擬人化された危険物。タイトルの『おつよん』っていうのは、危険物取扱者 乙類4種(乙4)か。ガソリンとか扱うのに必要な免状。出てくる子たちは個体、液体、可燃性、そうしたマークを髪飾りとしてつけていて、第一類と第六類のみ混載可能とか、だから第二類、第五類の子たちとは挨拶はかわしても一緒に行動しないとか、そういう基本的なところが危険物の特性にもとづいているっていうんですね。

見た目はほのぼの日常系学園もの。だけど解説のキャプション、可燃性とか引火性とか、それら文言が微妙に物騒で、ギャップがすごいなあ。最初はなんともいえん感触、新感覚だなって思ってたんですが、読んでるとじわじわおかしみが増してくる。なんか笑いが漏れそうになってくる。

ええ、新感覚だと思いましたよ。

これ、読み切りだけど連載とかいけるのかな。ネタ続くんかな。今回は乙4だけど、毒物劇物取扱者にまで広げるとか、そういう手段でいけたりする!? いや、そうするとタイトルが内容をカバーしなくなるか。などなど、可能ならいろんなパターンが見てみたいなんて思わされる、そんなよさありましたよ。

『漫画的宇宙で暮らすっていう事』

これもまた独特、というか実験的というか試みが面白い。漫画やアニメで描かれてきた世界がまさしく漫画、アニメの世界、登場人物は作画されたキャラクターで云々みたいな話ははじめてではない、これまでにも見たことはあるのですが、ここまで最初っから開きなおって、登場人物もそうした世界の状況を認識していてというのはあまり経験がないように思います。

また劇中の登場人物とは別に、この漫画を描いている存在というのも示唆されていて、連絡スペースとして使われている枠外にそのやりとりの痕跡を見ることができる。しかもこれ、やるなあって思ったのは、劇中に流れる時間と枠外の作画者たちの時間が全然連動していないところね。後半ページの展開を受けて、遡って背景に介入したりできるんね。

高次元存在からの侵略を受けて、三次元世界の人間は二次元世界に逃げ込みましたという設定は、漫画世界を成立させるためのギミックにすぎなくて、本質はまさしくあの漫画世界の制約や理不尽、その突飛な状況のかもしだす面白さ、おかしさでありましょう。しかしなにが怖ろしいかって、ふたりの登場人物、鈴木と田中のふたりがですよ、中身まで女子であるかどうかがわからない! いや、冒頭の鈴木の発言からしてやっぱり中身も女子だと思うんですが、それでも私はふたりともに実態はおっさん説を否定しきれない!

ええ、そうした理不尽をもはらむ漫画化世界。いやはや見た目以上に剣呑です。

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