『まんがタイムきらら』2021年11月号、一昨日の続きです。
『ほぐして癒衣さん。』
夏鈴、職場で絵も描いてるんですね。基本はデザインだけど、カットが必要になるとペンタブ出してきて自分でなんとかする。広告の内容に即したイラストを描くわけですが、今回のボツ案ふたつ。極端から極端に振れる感じ、面白かった。いやね、最初のウソくさいのもアレですけど、あからさまにくたびれはててるの、これはどこからどう見てもあかんでしょう! でも妙に気にいってる夏鈴がおかしくて、この子にとっては仕事とはこんなイメージでくくられてしまうのかい?
だとしたら、結構病んでしまっているのでは!?
絵を描いて手が痛くなりました。それで癒衣さんが手を揉んでくれるの。マッサージの最中、いろいろお話しているその様子がいい雰囲気で、そうかあ、夏鈴の絵を癒衣さんは気に入ってるんですね。でもって癒衣さんからもカットの依頼。男女ふたりのイラスト。なにもないところからは描けないからと、癒衣さん、夏鈴のふたりで適当にポーズを決めて何枚か写真撮るんですけど、最初はポーズとるのに躊躇してたのが、だんだんノッてくるというか、生き生き伸び伸びしてくるの、これいいよなあ。なんか楽しくなってきたんですね。
かくして完成したイラスト。それはいいんだけど、絵は苦手という癒衣さんが描いた牛の絵。あの顔まで斑点になってるちょいキモなやつ、それまでデザインに含めちゃったんだ! これ、面白いけど、やっぱ消した方がいいのでは!? ささやかな仕返し? いや仕返しじゃないな、なんか癒衣さんにじゃれてるみたいな感じがする。ふたりの距離、どんどん近しくなってる、そんな感じがします。
『推しごとびより』
茜とましろがふたりでアイドルをやるにいたるまでのお話。茜には、子供時分に影響を受けた人がいたというんですね。通ってたダンス教室の先生。いろいろ教えてくれた中にアイドルのダンスがあって、それは先生がスクールの講師の他に取り組んでいたアイドルにまつわるものだったのでしょう。でも、先生、アイドルとしての夢破れたか、踊ることに絶望をして、スクールの講師もやめてしまった。
茜がアイドルになろうとしたの、この先生にダンスの楽しさをふたたび思い出してほしいから。先生に自分の気持ちを伝えるためにトップアイドルになると決めて、そのために自分の心に響いたましろの歌を必要としたんですね。
ふたりのやりとりに見える感情。切実な茜の思い。そして最初はアイドルをやることに否定的だったましろに、アイドルとしての道を踏み出させるにいたった茜の言葉。そこには気持ちと気持ちのぶつかり、響く、そんな関係があって、いわばこの時に茜はましろにとっての特別になったんですね。
ふたりの馴初めを聞いて、カラフルリウムの面々、独自の解釈もあるんだけど、好きという気持ち、大切なものに向ける思いを伝えたいというのは自分たちと同じ。共感しあえるトピックをこうして共有したことで、より互いに理解しあえるようになった? 少なくともより親しくなれた、そんな雰囲気ほのめかされたラスト、とてもよかった。茜のちょっとやわらいだ表情、それがとてもよかったんですね。
でもって、ぐいぐい押していく心町! この子のマイペースさは留まるところを知らないですね!
『えるくえすと!』
今回はいきなり戦闘シーンからスタート!? と思ったら、なんとまあ、こはるが作った衣装を着ての撮影会、すなわちコスプレ回でありました。エルたち異世界組は普段の装備を身につけて、ましろはちょっと豪華にドレスを着てというんですが、まさかルチアの補助魔法をライティングのために活用するとか、応用にもほどがある柔軟な発想に驚かされます。
その後、皆それぞれに多彩な服に着替えて撮影は続くのですが、RPG定番の職業思わせる衣装を着ればちょっとした転職気分、もしかしたら自分にもあるかも知れない今とは違う可能性に胸踊らせている様は生き生きとして楽しくて、さらには普通の服やセーラー服といったものまで投入されるにいたっては、また普段とは違う皆の姿や表情が見られるという、目にも嬉しい描写が繰り広げられることとなりました。
しかしなんでまた突然の撮影会? これ、デジカメが発掘されたから皆を写真に残そうと思って開かれたというんですが、こはるの趣味性押し出されたイベントかと思いきやそれだけではないようで、いずれくるお別れ、それを心の奥にしっかり留めた上での催しだったんですね。
いずれくる別れ、こうして皆と一緒に過ごせる時間の終わることは避けられないけれど、だとしても終わりばかりを意識して今を楽しめないのは違う。それを、ゲームの終わりに例えるこはるの言葉は胸に響いて、いえね、自分はゲームが終わりに近づくと、途端に先に進めなくなってしまう症候群に罹患しているものでして、これ、反省点だなあ。たとえ終わるとしても、その終わりまでしっかり楽しんで進めていく。そうした意識を明確に持ってるこはるは、おっとりしてぼんやりしてるように見せて、芯はしっかりとした人なんだなあって思わされたのでした。
かくしてコスプレ会の写真とポスターができあがって、これはいつしか懐かしく思い出される、そんな思い出になるのかも知れませんね。たとえこの先、今生の別れがあったとしても、皆が楽しく過ごした日々が確かにあったこと、それを思い出させてくれるよすがとなる、そんな宝物になるかも知れないですね。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第11号(2021年11月号)
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