『まんがタイムオリジナル』2021年12月号、一昨日の続きです。
『とびだせT.O.Z』
学年別大会の続き、マナのチームメイトの出番が描かれるんですが、あがり性の柳さんの失敗! そして茶山のヤバい性癖! エクスタシーモードからの6位敗退。ああ、この調子で全員失敗していくのかな? と思ったらそうじゃなかった。
おお、我らが宇佐美、しっかり1位を勝ち取って、でもやっぱりどこか思いきりがなく、とっておきのウサミ・ポーズを披露できずにいるんですが、いっしゅんヘンなポーズとかいわれちゃったらさすがに気後れしちゃうよね。こういうところに一見自信過剰とも見える宇佐美の愛らしさが見え隠れして、なんかいいんですよね。
そしてその宇佐美のピンチ! 鼻血のカトリンがまさかの宇佐美以上のタイムを叩き出して、ここからの宇佐美の描写がまたよかった。自信過剰、油断を戒めて、決勝に臨むその気概。この好調を背に受けさらに前へ出ようとするカトリンと、なにがあっても負けないと意地を気力を振り絞る宇佐美。ふたりのしのぎを削る名勝負。熱い勝負、若い力のぶつかる様に、心ふるわされるものありました。
でも、それでもやっぱりかっこいいウサミ・ポーズを追求してしまう宇佐美とかね、それがちょっとおかしくて、面白くて、可愛い。なんだろうね。人の気持ちの愛らしさがあるのだと思います。
『通勤通学クエスト』
このところ柏木の話をよくする松島。柏木とは何者? 友人たちの間でちょっと話題になるんだけど、そこから松竹梅たち、皆の好みの男性像に移っていくの。それが面白くて、竹重の好みの年齢の幅、広すぎ! とか、いやもう、還暦までガキ扱いなの!? そんなタケちゃんのおじさん好きになった根本を探ろうという話だったんだけど、その前に描かれた松島大人気のところ。これ、とてもよかった。松島、どんだけ愛されてるんだ。でもわかる。松島、いいやつだよな。
そして最後に結論が出るおじさん好きの原因。それはかっこいいおじさんとの出会いがあったからというのね、ああ、これ大人の責任重大な話じゃんよ! 子供に誇れる大人であらねばならない。子供のこと第一に考えてあげられて、自分の気持ちや欲望を押し付けたりしない、そんな大人でなければならない! ああ、これは大人が正しく大人であることの大切さも物語って、それこそが人生のクエストか! ああ、クエストクリアはなかなかに遠く長い道のりであります。
『敷金礼金ヤンキー付き』
サンライズ荘の空き室。入居者募集したいんだが、なにかいい方法はないものか。そこでたえからの提案。PVを作って動画サイトで公開しよう!
その動画作成の様子がめちゃくちゃ面白くて、大家の無理難題! はいつもどおりとして、宣伝PVなのに凄んでみせたり、さらにはヤバい仕置部屋を紹介しちゃったりと、ほんとに? ほんとに入居者募集するつもりあるんですかい!? 見せちゃいかんとこばっか見せてない? っていうのの極めつけが佳とその仕打ち! ああー、えらいことになっとる。佳はわりとこれまで酷い目にあわないできてた感があるんだけど、ここにきてダイレクトに食らっちゃいましたよ。いやはや、この絵面、事故では!? ほんとにこんなのでいいんですか!?
大家のセンスはいつもどおりとして、たえはそのへんちゃんとしてるでしょう? だからうまくつくろってくれたりするのかな? と思ったら、さすがに限界越えてしまってたか、えらいヤバげな動画ができあがってしまった。でも、大家、それを気にいっちゃうんだ! いやもうほんと、入居者募集する気あるんですか!?
でもここまで振り切れてるからこその結果が出て、でもこれ多分、恐怖動画とかヤバい動画とかそっち方面の需要だよね!? でも大家が嬉しそうだからいいか。なんだかんだで大家が嬉しそうにしてるところ見るの好きなんですよね。ときに物騒、ときに乱暴だけど、それでもなんか楽しそう? 自分の気持ち全開でつっぱしる、そんなところが気持ちいいんですね。
『オネェの恋のはじめかた』
大事な人とあう約束があるという桜子。それを聞いて穏やかでないのが時宗ですよ。翔を無理矢理引き連れて桜子の後を追うのだけど、そこで見せる葛藤。嫉妬に身を焦がしながらも桜子のしあわせを祈る、そのアンビバレンス! でも気持ち千々に乱れながらも、そんなにも穏やかな表情で桜子のことを思う時宗、心の強いやつだよね。人間なんて、それこそ変に逆恨みして、他の男を思う女性を恨んだり不幸を望んだり、そうしたこともままあるではないですか。でも時宗はそうじゃない。
いい男ですよ!
気持ちの揺れ動きの激しさこそは若さ、青さを感じさせるものの、どこかしっかりとして揺らがない落ち着きも感じさせる。今回はそんな時宗の青春にスポットライトが当たって、でもそれをこうして俯瞰的に見て、評価できる人を登場させようとしたら、あれだけの人生の大先輩になっちゃうの!?
これだけの歳の差、含蓄が感じられるからか、時宗のことよく見て理解してくれていること伝わってきて、実によかったです。若かりし日を思い、まだまだ人生これからの人たちの今を温かく見守ってくれている。その感触が実にやさしげで、素晴しかった。時におとなびて、同世代の子たちではおよそ太刀打ちできないような時宗でもかなわないんだって、そうした時宗の少年の側面が見えたのもよかったです。
- 『まんがタイムオリジナル』第40巻第12号(2021年12月号)
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