2021年10月24日日曜日

『まんがタイムきららフォワード』2021年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2021年12月号、一昨日の続きです。

『スローループ』

冬季の釣り人はいったいなにをしているのか。冬場は釣りやすい魚が少ないときいた小春がひよりに問うたらば、釣りかな。ほんとに釣り人は釣りが好き、というか中毒? 今回は近場の川で鯉釣り大会なんてやっちゃって、それも鯉のシーズンだからとかいうんじゃなくて、渓流解禁が待ち切れない、なんでもいいから釣りたいから鯉ってことなんだそうで、釣り人のこうした行動にカルチャーショック? 驚きを隠さない小春のコメントなど、実に面白かった。

食パンを撒き餌にして鯉を釣るというんですが、疑似餌にこだわるひよりが本当に面白くて、フライでエサ釣りとかあかんのん? でもこれでもしっかり釣ってますよね、ひより。さすが、といっていいんですかね。

そこらの川で釣った鯉は臭くて食用には向きません。というので、鯉料理の話になって、そこから小春がかつて住んでた町の話に。そこにあるお店でよく食べた。その店の近所にはひよりの父が訪れた釣り堀もあって……、と、こうして途中、小春と恋が話していた里帰りの話と繋げてくるの、うまいなあ、こうして次の釣り場? イベント発生がうながされて、じゃあ次回は室内釣り堀から鯉料理ということですか?

釣りがテーマの漫画だけれど、ただただ釣りを描くのではなく、日常の生活や暮らしの風物、思い出、心情、そうした気持ちにリーチしてくるところがとてもいいと思っています。実際こうして小春の里帰りがなったら、そこでなにか特別なイベントもあるかも知れない。前回、小春とオンラインで一緒にゲームしてた友達とかね、そうした出会いもまた楽しみに感じます。

『球詠』

ひとりで打ち取ろうと渾身の投球を続けているヨミ。でもチームにはそんなヨミを支えようという気運が高まってきて、かたくなさをなかなか崩そうとしないヨミだけど、ここぞという時には皆がしっかり助けてくれる。決して見捨てないという皆の気持ちのひしひし伝わってきた今回。1回を3球で打たせて取った、それがこんなにも感動的に響くだなんて、まったく思いもしない展開で、いつものヨミを取り戻したい、いつも支えられてる自分が今日こそヨミのために野球をする、各プレイヤーの気持ちが熱い。

ヨミの気持ちもまた痛ましく、マイナスのエネルギーで投げている、その気持ちは自分ひとりで充分だという悲哀。なにがここまでこの子を追い込むのか。相手チームにいる元新越谷の選手、彼女のきいた陰口に対し激昂した結果なのだとはわかってる。だったら、なおさらチームとしての強さを示した方がいいのではないか。

自分ひとりで打ち取る野球ではなく、カットボールで打球を詰まらせ、打たせて取る野球に切り替えたヨミ。けれどそれがこの子の集中を切らせてしまうのか。だとしたらここからのヨミの投球はどうなる? 無理を押してでも直球勝負にこだわるのか、あるいはヨミに声をかけたタマ、この子の働きかけがなにか変化をもたらすのか。

この勝負は、ただ相手校との勝ち負けにとどまらず、チームとしての新越谷、彼女らの新しい局面を切り開く、そんなきっかけとなりそうな気がします。

『アネモネは熱を帯びる』

この漫画、このところとても面白い。最初のうちはなかなか自分の気持ちを認識できず、かたくなにあり続けた凪紗が、ついこないだ自分の思いを自覚したでしょう。それから一気に感情が動いて、豊かになった? 関係もすごく和らいだ。当初の、ずっと感情押し殺すようにして、陰鬱を抱えていた彼女が嘘みたいだ。ええ、こうなってくると、これからどうなるんだろう、どういう変化があるんだろう。すごく興味をかきたてられて、ちょっと目が離せない感じになっています。

今回は凪紗が茉白のことを名前で呼ぶというイベントがあったわけですが、さらには茉白のことを好きと明言したわけですが、でも凪紗がこうして気持ちに整理をつけたと思ったら、今度は茉白側で好きという気持ちに思い悩む様子が描かれて、まだまだわからないなあ!

凪紗の周囲でも、好きという気持ちを伝えても無駄と、思いなおしなさい、考えなおしなさい、呪いをかけるように迫ってくる南条先輩の鬼気迫る様子にビビらされたり、かと思ったらそんな南条のことを厳しくとがめる凛理なる人物が登場してきたりと、わからぬ! ほんとにこれからなにがどうなっていくかわからぬ!

わからないから気になる、そんなところもあるのでしょう。きっと最後にはよくなる、そんな信頼もあるからこその思いやも知れず、だったらそのよくなるの中に南条先輩も加わっているといいなって思います。いや、最後はよくならないとかないよね? その可能性があったりしたらちとキツくなるなあ!

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