『まんがタイムオリジナル』2021年11月号

『まんがタイムオリジナル』2021年11月号、一昨日の続きです。

『カントリー少女は都会をめざす！？』

八重ちゃん、いきなりなにをいいだすのか。いや、この子の通常営業って感じではあるんですけど、都会っぽいか否か会議。八重が自分の格好を都会っぽいかどうか、皆から判定してほしいって趣旨みたいですね。

でもそれでみなちゃんがどんどん自信喪失していくのがおかしくって、そうか、なに見ても都会っぽく見えちゃうのか。と、これがまさか後の展開に大きく影響する発言になろうとは！　いやほんと、めちゃくちゃ面白かった。みなのツッコミ力を強調するための溜めといいましょうか、このなに見ても都会っぽく見えるというみなにしても、八重の用意したアイテム、そこから都会性を感じとれなかった悲しみといえばいいのでしょうか。

いやほんとに面白かった。

あのIDカードとかいれてるケース、あれについての感想がみな、亜紀ともにラジオ体操のスタンプカード！　あの想像中のちびっ子八重がなおおかしいんよな。可愛いんやけどね、素朴で、ほんと、最高でした。

しかし一度は傷心した八重の復活、最終ページのニコニコ八重、素晴しかった。可愛いよなこの子。ちょっとアレなとこもあるけど、可愛い子ですよ、八重。

『通勤通学クエスト』

面白いなあ。松島と竹重、ヤナギと友達が増えたウメコ。でもずっとひとりでいたから、たくさんしゃべると疲れちゃう。って、そんなに！？　体力がないっていってるの、嬉しい気持ちに体が追いついてこないのか。それはそれでジレンマ。あまりに疲れちゃったので、ヤナギからの下校の誘いを断わっちゃって、それを気に病むのがウメコの気質。細やかな子よね。いや、だからこそ人づきあいに疲れが出ちゃうのかも。

そんなウメコのクエスト。ヤナギを下校に誘う！　あの誘われたヤナギの表情、すごくよかった！　驚きからの安堵。そして素直なウメコからの大好きだよ発言に照れるとかね、いやあなんだろう、このやりとりからがチャーミング。すごくほのぼのとして、でもそこに垣間見える不安や安心、その心情の動いて互いに働きかけるやわらかさ。素晴しいなと思いました。

『通勤通学クエスト』、最初は単話のエピソードで進めていくのかと思っていたけど、違った。こうやってキャラクターが、個性が見えてくると面白みがまた違う。だからこそですよ、わからず読んでた最初の頃のをまとめて読んでみたいなあって思うんです。ほんと、単行本にならないかなあ。そういう思いをずっと抱えています。

『敷金礼金ヤンキー付き』

大家はなにに金を使ってるんでしょう。金がない、食べるものにも事欠きそう。というので、町内運動会に全力ですよ！　優勝商品の米百キロにつられて、サンライズ荘の住人巻き込んで参加するんですが、みんな金がないんですな。本音を問われれば金欠で米が欲しい。さらにはライバルヤンキーグループ死神のリーダーも、金欠で米が欲しい！！

君ら実は仲良しだよね？　めっちゃ似てるよね？　いや似てるからこそ対立するんか。

絶対優勝宣言する七恵の表情、めちゃくちゃいいですよね。ちょっと勝気で素直なこの子の性格がよく現れていてチャーミング。ピカピカの表情ですよ。

で、そのピカピカの七恵さんなんですけど、玉入れでいきなりプレイヤー攻撃ですよ。あかん、あかん、これレッドカードでは！？　さらには二人三脚でも乱闘。いや、こっちは大家なんですけど、足が繋がれてるたえが巻き込まれて、あんたまで蹴るのか！　死神リーダーから文句いわれるんですけど、あんまりだ！　でもこのやりとり見るに、たえはなんだかんだチーム死神からも信頼されてるんかもですね。

今回、実況で参加してる姫子が面白い。ヤンキーどもが好き放題するから、実況というより怒りまくってる。しまいには警察仲間と一緒に騎馬戦に警察騎馬として飛び入り参加して、暴走騎馬の取り締まりするとかね、なんかいつも以上にはっちゃけてない？　あのパトランプ頭にのせた姫子が無闇に面白かったです。

そして最後の障害物競争。ここでね、大家、気概を示しましたね。自分たちの勝負、ひいては米がかかってるというのに、障害物が怖くて泣いてる子供を放っておけなかった。喝をいれるだけにとどまらず、伴走しながらの応援！？　しかもそれが周りを巻き込んで、ついには死神リーダーもちびっ子のサポートですよ。

これ、勝利こそは得られなかったけれど、最高の締めになったのでは？　子供たちに花を持たせて、勇気も与えて、参加賞のジュースを手に帰っていく後ろ姿。いいやつらじゃん！　ええ、ちょっとしたヒーローっぽさ感じさせてましたよ。これ、きっと、この運動会に参加した大人たち全員がこんな気持ちで帰路についたんでしょうね。

『オネェの恋のはじめかた』

季節外れの怪談ばなし。水面麗の発案で梅雨時の放課後に突発で怪談することになるんですけど、この冒頭すぐにラストのあの落ちへの仕込みががが！　そうか、桜子、あんたにだけは見えていたんだな……。

しかしなかなか怖い話にならないのがおかしくて、水面さんよ、あなたスマホで事前にネタを仕込んできてたんじゃないんですかね？　トップバッターからネタに走って、と思ったら続く森山凪、あんたもネタに走るのか！　いやもう、今回はこんな感じに、盛り上がらない、怖くならない残念百物語ってテイストでいくもんだと思っちゃったじゃないですか。

だからこそ、だからこそですよ、ラストの不穏落ち！　やられた、やられましたね。これはほんと、桜子さん、そういうことでしたんー！？　見事油断してたところを突かれてしまいましたよ。

ところで今回のMVPは、翔渾身の怖い話に言い出しっぺの水面がビビりたおして森山にしがみついて動かなくなっちゃうとこ。ほんと、水面、可愛いじゃんよ！　冒頭の生き生きしたあの表情、あれもめちゃくちゃ魅力的やってんけど、そんな水面が身じろぎもできなくなるほど怖がるの、いやあ、よかった。まんざらでもない森山もよかった。思いもしないところにときめきが隠されている。水面の新境地が見えた思いがしますよ。

• 『まんがタイムオリジナル』第40巻第11号（2021年11月号）