『まんがタイムきららMAX』2021年11月号、昨日の続きです。
『今日の授業は恋愛です!』
恋愛に積極的ではないさがり。けれど、ふと知りあうことになった美少女、生徒会にあたる組織、白百合会の会長にはっと心奪われた!? と思ったらそれも一瞬のこと? すぐにいつものさがりに戻るのだけど、この妙に押しの強い会長さん、なにか不思議な雰囲気あるんですよね。謎めいている? 独特のチャームがあるのだと思う。これまで出てきた誰とも違う、そんな様子に、やばいのではないか、恋愛科の4人! 七夕の笹にさがりのことお願いしちゃうくらいに思い寄せてる彼女らの、いやしらべはどうかわからんのだけど、ともあれ友情を育みながらも恋愛関係としてはまだそこまで深まりを見せていない状況に、ぽっと出の会長がさがりと特別なフラグを立てつつあるぞーっ!
かつて、さがりと面識があったんですね、会長。子供の頃に仲のよかった子。離れ離れになってしまって、それでもさがりへの思いを断ち切ることのできずに思い続けていた会長。対しさがりは会長のことを覚えているのか? あるいは、さがりが恋愛に対し消極的になるきっかけとなったのがこの子?
いやもう、結構なターニングポイントではないでしょうか。これは動く、物語が動く、関係性が動く。そしてその動いた果てに生まれるものとは? 感情、情動、その行く末を思えば気持ちがざわめく思いのして、これはもうたまらない。これから先に起こることが、怖いながらも、待ち遠しく思えます。
『ホレンテ島の魔法使い』
なんだ、今回はちょっとした映画みたいだ! 東京のラーメンが食べたい。唐突にそんなこといいだしたあむ。こっこを伴って、一路東京へと向かうっていうんですよ。
思い立ったらもうとまらない。船にはまだ間にあうと、飛び出すように港に向かって、夜行便にて東京へ。あむの勢いに流されるままだったこっこも、突然の船の旅に戸惑いながらもだんだんに楽しくなってきて、あの夜を徹してあむと話しているコマのその描写。これはすごくよかった。というか、寝不足でどんどんハイになっていっちゃってるじゃん! 本土に到着した時なんか、すごいクマよ!?
でもってここから都内に向かう旅路が始まるの。地下鉄じゃ外が見られない、というのでこっこのために地上線を選択、そこからのふたりの心踊るように都会を渡っていくその時間の描写、これもまた素晴しくって、なんだよ、映画みたいだよ!
若い頃特有の無軌道さ。けれど普段はさすがのあむもこんなことばっかしてるわけじゃない。じゃあ、なんで今回はそんな弾丸日帰りラーメンなんて無茶を? その理由の語られる帰りの旅路。ああ、胸がつまるような感情にとらわれて、本当、君たちはかけがえのない友達になれる。この思い出を胸に、これから先なにがあろうともともに越えていける、そんなこと思わせてくれたエピソード。青春の一コマ? ええ、ふたりともに深めた気持ち。しんみりとしつつも、どこか冷めない熱を帯びている。情感あふれるラストに心とらわれっぱなしでした。
『のむラリアット!』
素晴しかった! 唐戸のサブミッションに苦しめられる星。割って入ろうとしたみるくも阻止され、さあここからの展開ですよ。ロープブレイクを利用し唐戸の4の字固めから抜け出した星がみるくと交代した。ここで唐戸を苦手としているはずの星が、なぜあえて唐戸と戦うことを選んだのか、その理由が明らかになるのですが、ああ、星はこの勝負をみるくに託したんだ。
かつては自分ひとりで戦い勝利した星。そんな彼女が、みるくとの、ありすとの話しあい、練習を経て、この戦いを三人の戦いとしたのですよ。自分は相手の力を削ぐことに徹し、みるくの長所を生かし勝ちに繋げていく。その星の覚悟、みるくへの信頼が熱ければ、またその信頼に答えようと必死に勝ちを掴みにいくみるくの躍動もまた輝いて、そしてとどめのツープラトン!
リングに立つふたりが総力を尽くして得られた勝利、その尊さ溢れた今回。ここしばらく描かれてきたことは、星、みるく、ありすのチームが見せる成長、そのはじめの到達点が今回の勝利であるのでしょう。見事でした。圧巻でした。
- 『まんがタイムきららMAX』第18巻第11号(2021年11月号)
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