『まんがタイムきらら』2021年9月号、発売されています。表紙は『むすんで、つないで。』。つなぐと花ノ子、メインのふたりが一緒に表紙。つなぐのワンピースすごいよね、スイカだ! 花ノ子のは海なのかな、それともソーダ水!? デザイン一緒の柄違い。それが、歳が離れてしまっているけど本来ならば同い年の幼馴染み、ふたりのつながり感じさせるようで素敵な表紙。ふたりのまわりをぐるりとめぐる魚のシルエットも涼しげでとても美しい。素敵なふたり、いい表紙です。
『不衛生なのは、お断りです。』
同じクラスの隣の席の子、白河鏡花は度を越した潔癖で、素手での、いや手袋越しの握手もお断り。そんな鏡花に果敢にアプローチする築橋つぐはの頑張りと、だんだん軟化していく鏡花の態度。そのちょっとずつ距離が埋まっていく様子など大変よいなと思えた初回、それから第2回。どんなに突き放されてもめげないつぐはの前向きさ。ついには鏡花と同じ抗菌トングまで導入するというその突き抜けたやる気。そして、そのトングが繋いだ縁! 繋いだ? いや、繋いだよね。
トング越しに胸を触ってしまった! その償いになんでもするといったつぐはに鏡花が求めたものとは!?
ああ、鏡花、猫に触れたかったんですね。でもそこらへんうろついてる猫とか、見た目には可愛くても、鏡花的には到底触れるものではないでしょう? 実際、完全装備で臨むもんだから猫もこわがっちゃって、いやまあそりゃそうだ。でも、猫の口には雑菌がいっぱい! 口に限りませんけどね、でも、自分にはどうしても触れることのできない猫のこと、つぐはに実況してもらってちょっとだけ満足を得るの、これすごく面白かった。できないことをを、できないながらもなんとか体験したいと思うのがいい。その際に友達に助けてもらおうとするのがいい。ええ、自分でもつきあいづらい性質と理解している自分。なのに敬遠することなく、関係を断たないでいてくれるつぐはのこと、いつしか大切なひとりとして認識するにいたっていたんですね。
頑張って触れあった、小指と小指の先の関係。少しずつ深まっていく関係が、トング越しから指先、そしてこの先にはどこまで? 可視化されるのも悪くない。いい仕掛けになっていると思ったのでした。
ところでです、新品の無機物なら問題ない、これちょっとわかる。うん、ちょっとわかるんですね。
『ダブルぼっち』
小さなころから転校がちで、人づきあいがすっかり苦手になってしまっている相川こゆず。お昼にひとりになれる場所を探して辿り着いたその場所で、出会うは同じくぼっちの吉田美月。でも、ふたりそれぞれぼっちでもぼっちの方向性が違うというか、スタイルが違うの、これが面白かったです。
どちらかというと、ぼっちをネガティブに捉え、できれば友達がほしいなあって思っているこゆず。対して、ひとりでいることをなんら苦にせず、むしろ進んで孤独であろうとし、ひとりを楽しんでいる美月。ほんと対極! でもって、この美月、お昼にカップ麺食べてるんですけど、残り汁におにぎり投入とかね、見た目クールな美人なのにやることがギャップあって面白い。基本、美月は相手の気持ちを斟酌しないから、どうにもこゆずが空回りしがちだけど、ちゃんと言葉にして伝えたら応えてくれるのもいい感じでしたね。ええ、なんか文化が違う感じがするんです。
ガール・ミーツ・ガールというのか、異文化交流といった方がらしいのか、ちょっとぎこちなくて、でもまったくわかりあえないほどではない微妙な距離感。それがね、面白かったり心地よかったり、そして時に見せる優しさ? 連絡先を交換しなくともまた明日も会えるでしょう? ええ、素敵な応答だったと思います。
- 『まんがタイムきらら』第19巻第9号(2021年9月号)
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