2021年8月26日木曜日

うしろの正面カムイさん

 Twitterをぼさーっと見てると、やたら流れてくる漫画プロモーション。自分はあれ結構好きでして、なんでもかんでも読んじゃうってわけじゃないですが、まあ開いちゃいますよね。中でも必ず開く漫画がありまして、例えばスーツァーマン、それから『ボスとヤス』。あと忘れてはいけないのが『うしろの正面カムイさん』。やっぱりインパクトって大事だよなあ。ほんとまずは注目させることの重要さを心底思い知らされるのが漫画プロモーションの世界。衝撃のコマ、驚きの展開を、コンパクトに切り出して画像数枚に詰め込み、これは! と興味を持たせるようにできている。いやもう、あれ、あかんですよね。ついつい読んでしまいます。

でもこの広告手法にはデメリットもあって、それはなにかといいますと、実際買って読んでみたらですよ、広告で見た時ほどにメリハリ効いてないんですよ。そりゃそうですよね。広告は展開のいいとこ取りしてる。広告の短い尺でインパクト与えるために、不要と判断された部分は容赦なくぶった切られて、要約も要約、そうしてできあがった鋭くクイックな切り返しが幾度も流し込まれてきているものだから、ゆったりと時間かけて展開するような漫画だともたついて見えてしまうんです。

逆にいえば、そこまで削れるってことなのかも知れないけど、そのゆったりした見せ方が漫画家本来のスタイルだとちょっと可哀そうだよね。広告見てやってきた読者はあのきびきびしたクイックさを求めてる、あれにドボドボに浸ってしまってるわけで、そんな人がオリジナルを見れば、あれー、思ってたとの違うーみたいになってしまいかねない。

広告ってのは難しいなあって思ったのでした。

で、『カムイさん』ですよ。びっくりしましたね、広告のクイックさ、そのままやんか! 広告で何度も見せられてきたクイックな展開、衝撃の描写、インパクトあるカムイさん登場シーンの数々、それがほぼ広告で見たまんまに展開されて、すげーな、広告に偽りなしってやつやん。

これこそは、漫画のスタイルと広告に求められるものがベストマッチした結果ですよね。怯える女子、迫る怪異、唐突に登場するカムイさん、戸惑う怪異、そしてセイッセイッ!

あの広告見て気になって読んでみた自分にとっては、間違いない、満足度高いといえる漫画でした。

でも、序盤こそはその広告で見たまんまや! って興奮があったのですが、巻を重ねるに従って広告にピックアップされたようなシンプルな話は減っていって、怪異がただカムイさんに成敗されて終わりではなくなってくる。ライバル的な存在が出てきたり、人の情に訴えるような話もあったりで、満足度高いなあ! ほんと、ネタバレになるから具体的には書かないけど、長いスパンをかけて描かれたエピソード、ちょっと感動したもんなあ。

いやもう、これ、広告見て興味持ってる人はぜひ通して読んでみて欲しい。きっと満足すると思う。単行本は100巻あったりとかしないから、まずは今刊行されている分をさっと読んで、面白かった! と続きを楽しみにできる。

ええ、試しに1巻買ってみて、そのまま3巻まで一気だったもんなあ。おすすめです。お市ちゃん、居ヶ坂小学校の花子さん、閻魔大王様が可愛くて好きです。

Kindle版

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