『まんがタイム』2021年9月号、発売されました。表紙は『おとぼけ部長代理』。部長代理がはっぴ姿で大きな祭のうちわを扇いで、夏らしさ感じさせるいなせなイラストであります。表紙は夏、浴衣姿の女性がふたり。『花丸町の花むすび』花子も『ローカル女子の遠吠え』りん子も、浴衣姿でかき氷、これらもまた夏らしさ感じさせつつ涼しげなイラストであると思います。りん子さん、朝顔の髪飾りとか、いつになく愛らしいですね。
『おやかた様と甲斐のおトラ』
読んでみてびっくりしました。明治大正くらいのお話なのかな? ほら、漱石とかの活躍した時代、とか思ってたら、もっともっと前のお話。なんとまあ、主人公といっていいのかい? 扉にて猫を抱き上げているシブいおじさま、この人がなんと武田信玄。うおお、イメージと違いすぎる! 書状をともに現れた謎の猫を召し抱えることになった信玄。その怪しげ? 不思議? な猫との交流。そこになにかおかしみも感じられる、ほのぼの主体の漫画であります。
しかしこの猫の書状。誰かが託したのかと思ったら、違うのかい? この猫自身が肉球にてしたためた梅の絵、つまりは献上品!? 人の言葉は話さぬものの、ジェスチャーにて意図を伝えようとしていたり、召し抱えられてからは家臣の小さなピンチに介入してみたりと、いろいろ活躍してくれそう?
この猫の名、信玄が名付けたおトラという、それを気にいってる風なところもなんかおもしろ可愛い。なんとも不思議な味わいありました。
『茨城ってどこにあるんですか?』
都会に憧れる茨城女子、多恵。でもこの人、まさに茨城ライフを満喫、というかここでの暮らしがマッチしすぎているのでは? 今回の茨城ネタはブルーベリー生産量の話にはじまり、そしてそこから農業大国茨城に完全順応している多恵のターンがやってくる!
まさかの家庭菜園ならぬベランダ農園! 名づけて多恵ファーム。自室の窓からひょいとベランダに出れば、ずらりと並んだプランターに野菜や果物がたわわに実っているという!
なにがすごいって、メロンだよね? 鈴子が軽くいったメロン狩り、それを受けてのご招待。プランターにしっかりなったメロンを、さあどうぞ! 鈴子に収穫体験させてあげて、でもメロンは収穫後に追熟させる必要がある。今すぐ食べられないの? としょんぼりした鈴子に、追熟させたメロンを出してくる多恵! すごいな、いつになく頼もしいぞ! 輝いてる! 輝いてるよ、多恵!
農園にて輝く多恵のその姿。これ見てると、やっぱり都会より茨城があってるんじゃないかな!? そう思わないではおられない。ほんと、今回の多恵、いつも以上の輝きを放っていましたよ。
『テレパス皆葉と読めない彼女』
超能力に悩んできた皆葉。でも彼のテレパスは澄花には届かず、知りたい彼女の本心にはなかなか迫れない。
そんな彼の恋愛模様。進路希望調査に、澄花と同じ大学にいきたい、そう思うも、女子大志望で叶わず! あの、皆葉には無理かなと断言されてショック受けるくだり、本当に面白かった。女子大だからと知らされてちょっと安堵してるっぽい皆葉が面白かったです。
超能力を持った子たちばかりのこの漫画。そんな中、特別な力を持たない澄花。この子自分のこと、なにもないみたいに思ってるみたいなんだけど、そんなことないって皆葉だけでなく皆が思っているところ。それがとてもいいと思うんですね。友達のこと、それぞれの持つ魅力や能力、それをちゃんと評価してくれる。澄花がいなければ、こうして仲良くはなれなかったよ、そうした言葉に澄花は戸惑い見せるも、実際3人が3人ともに確かに実感しているんですね。ええ、皆葉と澄花、ふたりの帰り道、そこでの皆葉の言葉もとても真摯で、澄花の魅力、その掛け替えのなさ、それをよくよく伝えていました。その時のふたりの間に通いあっただろうもの、それもまたとても素敵であったと思います。
『良倉先生の承認欲求』
文化祭一日目の様子。めちゃくちゃ面白い!
良倉は生徒指導をしているのだけど、その鋭い眼光はむしろ高校生たちのあいだで流行っているもの、それを見つけて取り込んでいこうという意欲の現れ。でも目付きが悪すぎるよなあ! あの険しい表情の向こうにSNS映えの追求があろうとは、いったい誰が想像できるというのでしょう。
そんな良倉をひるませる氷高の存在が最高でした。3Dラテアートの響きに興味をかきたてられた良倉が見たもの、それはぶんちょー紳士の3Dラテアート! 一気に表情の緩む良倉! なんだそれ、めちゃくちゃ可愛いな! そんな可愛い表情、だだ漏れにしていいんですか良倉先生!
実際それで氷高から、ぶんちょー紳士のファンなのでは? 疑いかけられ、しかもクスッって! 最高だなこの子。さらに加えて、3Dラテアートがぶんちょー紳士のOLさんを引き込み特定する罠になっているだなんて! これね、実際ここでこうして仕掛けについて教えてもらってなかったら、良倉、引っ掛かってましたよ、絶対! いやもう、氷高の追求、良倉の喉元まで手が届こうとしている、そんなぞっとさせる感触。本当に最高でした。
しかし、今回の良倉、本当にいい表情ばかりでした。上枝のイラスト活動にもさぞや貢献したのではないでしょうか!
- 『まんがタイム』第41巻第9号(2021年9月号)
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