『まんがタイムきららフォワード』2021年10月号、昨日の続きです。
『球詠』
いつもとは違ってしまっているヨミ。咲桜のバッターが冷静に分析するも、強豪の雰囲気をまとわせるヨミに気迫負け!? 一度はしっかり捉えて返した打球をこともなげに捕球するヨミのその表情。
すごいな、ほんとにいつものヨミじゃないよ。新越谷の皆もヨミのこと気にしてくれていて、放っておかない、ひとりじゃないよというようにいろいろ気を配ってくれる、その寄り添ってくれる仲間のいるということ、とても嬉しく思える場面でしたよ。
そして今回、息吹が試すヨミのコピー。外観のコピーではすまない、その内面に踏み込み理解していかないとコピーできない。こうして全身全霊で自分のことを理解してくれようとする仲間がいるというのもありがたいな。ヨミには理解者がたくさんいてくれることが本当に嬉しく、頼もしく思える回だったと思います。
しかし試合はなおも膠着。投手戦ですねえ。どちらも決め手に欠ける印象があって、しかしヨミを心配そうに見つめる息吹、その様子が怖い。息吹はヨミのなにを感じとっているのだろう。心配しているのはどういうところになのだろう。一波乱ありそうと、ちょっと警戒気分です。
『ねことちよ』
ねこの育てている野菜。花が咲いてもうじき実も成りそう。これ、花を見るにナス科の植物ですね。でもねこはなんの花かまだ知らない。できる実を楽しみにしていて、けどそれをまきにナスとバラされてしまって、あー、まき、事情を知らないからなあ、とはいえちよの雰囲気見て、ねこの雰囲気見て、うまいことやっておくれよう。
ねこのこと、ナス嫌いなのか、子供だなあとかいってますけど、こんなチビっこの様子見て、うまいことあしらえないあなたも充分子供よ!
しかし、ねこ、せっかく育ててる野菜がナスとわかっちゃって、これからどうすんのかな。
そう思っていたら、ふみがうまいこととりなしてくれました。
ふみもナスが苦手だったんですね。でも今は好き。そこで好き嫌いについていろいろ話してくれるでしょう? それがねいい感じにやわらかで、ねこも気持ちをほぐされましたね。ええ、まきよ、これが大人ですよ! ええ、これが大人です!
しかしねこの気持ちの変遷。それを言葉で表すのではなく、この子の行動もろもろで伝えてくれるの、とてもよかったです。ねこという子に向けられたまなざしがとても優しく、細やかに感情を、思いを伝えてくれるんですね。
『さよなら幽霊ちゃん』
幽霊ちゃん、ゆうの過去を知る手掛かりになりそうなもの、遺書が持ち去られてしまった! 持っていったの、顧問だったわけですが、返してほしいとお願いしても聞きいれてくれない! あなたたちのものではないでしょう? あるいはなにかを企んでるのではないか。
先生に信頼がないんですね。なのでまずは信用を得よう、そのためには新聞をしっかり完成させよう。
この遺書をめぐって、新聞づくりのモチベーションを高めたり、それからゆうの過去、ダンボールから出てきた猫のエサ皿を手にした時に思い出された記憶などなど。多面的な展開をさせてみせるその広げていきかたがとてもうまいと思いました。
新聞づくりでは、猫の捜索についての記事がめぐに託され、面白いとはいってもらえてるけど、めぐ本人は納得いっていないのか。面白いとは思えない。この感覚の齟齬? これが後々なにか引き起こしそうな予感がしますね。
そしてゆうについては、その思い出された記憶。生前のもの? ここにも物語の動こうとする様子がうかがえて、並列するこのふたつの流れ、交わるのか、あるいは個別の経緯を辿るのか。行く先の見えないまでも、いずれ物語の幕引きに向かっていく、ゆうについてはなおさらその色が濃く感じられて、若干の不安まじりであります。
- 『まんがタイムきららフォワード』第15巻第10号(2021年10月号)
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