『まんがタイムオリジナル』2021年6月号、昨日の続きです。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
今回のカントリー少女、これほんと最高だな。秘密基地の話。かつて八重が遊んでいた秘密基地、それを千秋と椎奈に教えてあげようというんですけど、到着するまではただシンプルに面白く、到着してみたら今度はなにか過去に置いてきたものを懐かしむようなものさびしさと、変わりゆく自分を知っていく、そんな思いが交錯して、たまらんものありました。
シンプルな面白さというのは、道案内の目印、山田さんちの角を左にとか、普通にみんな目印にしてる山田さんだけど面識は皆無とかね、さらに極めつけは、自転車屋さんの角というけど、もう自転車屋はないんだ! 思いっきり更地。めっちゃくちゃ面白い。そうだなあ、自転車屋さんパターンは思い浮かばないけど、山田さんちパターンは確かにあったわ。いやほんと面白い。
そして八重の思い出の秘密基地。八重がはじめに話していたように、ただひたすらに草っぱらなんですけど、その草に消えていくおちび達。この隠れてしまえるというところに秘密基地感があるというのでしょうが、もう大きくなってしまった八重にとっては、思ったよりも低い草、印象がもうすっかり違っているんですね。
子供の頃はあんなに大きいと思っていたのに、大人になってみるとこんなに狭かったなんて、小さかったなんて、そんなこと思うことってよくあります。八重も大きくなった。その印象のまるで違ってしまったという驚きと、それに対する大河のコメント、それだけ遠くのもんが見えるようになったんとちゃうか? もう、なにかじんと胸に迫るものがありました。
しかし今回の八重ちゃん、服装シンプルなんだけど、可愛いですよね。扉絵の小首かしげてるところとか本当にチャーミングでした。
『通勤通学クエスト』
柏木、まだ車の練習を続けているんですね。先輩の車を貸してもらうのだけど、今日は先輩の姪っ子? アカリがついてきていて、あまりの重圧に柏木がパニック寸前だ! その子の命がどうなってもいいんですか? 心配してる、不安を感じているのはわかるけれど、この上なく物騒なセリフになってるよ、柏木さん!
チャイルドシートを嫌がるアカリをうまいこと丸めこんだ柏木とか素晴しかったですよね。そうかあ、お姫様か。そこからの柏木のクエスト、お姫様を無事に家まで送り届ける、なんですけど、想像の中で姫を守る騎士になってるってのがいつも以上にクエスト感を高めていて好感触でした。
そこからも余裕ないながらも、事故をおこさないよう懸命に車を運転しているの、本当に真面目で、信頼できるやつだっていうのがわかりますよね。この柏木の頑張り、きっと運転の上達というかたちで返ってきますよ。
『オネェの恋のはじめかた』
また面白い人が出てきたな! 時宗の桜子に向けた恋心を見守る、いや? 楽しむ女の子登場。火野淡子、少女漫画が大好きで、だもんだから少女漫画的展開が目前に繰り広げられるかのような時宗、桜子ふたりの様子など、もう絶品そのもの、大ご馳走ってやつで、廊下の影からハァハァいって見守ってるのな、あぶねえ、それ淡子だからいいけど、自分のようなのがやったら速攻で逮捕されるやつや。いやでも、時宗をマーガレット顔、桜子を花ゆめ顔と雑誌の傾向にあてはめていくところ、その感覚はよくわからんが面白かった。そういう淡子は何顔なのかね? あわちん、あなたも決して蚊帳の外ではなくってよ? あなただって知らず恋の舞台に立っているのよ?
淡子に、恋心丸出しと指摘されて一瞬うろたえた時宗が、一気に攻勢に出る? あの時の余裕たっぷりなところがね、ああー、これが時宗ですよ時宗。でもだからこそ、桜子の前だと全部余裕がふっとんでしまうところがねおかしくって、おかしくって、今回も桜子に制服の裾つかまれた時の動揺! ほんと見事な動揺具合ではなくって!?
こうした様。めちゃくちゃに面白いです。で、ここで気づいたんだけど、このふたりの恋模様? いや、ジャンル? を推すという淡子、これ読者視点の代行者か! うん、でも私はそんなあわちんを推します。あわちん、めっちゃいいと思います。
『とびだせT.O.Z』
学年別大会に向けて猛練習が続く陸上部。マナなんかは見事にへばってしまってるわけですが、このハードな練習に喜びを感じてしまっている茶山さん。これ、ランナーズハイとかそういうやつじゃないのん? いや、確かに若干過剰すぎるような気もするんですが、兄貴と同じカテゴリーに放り込むのはさすがにどうなのか。そう思わせて、今回しっかり読み通すと、あー、兄貴と同じカテゴリーなんだ。納得させられるというのがね、いいのか悪いのか! でもほんと面白かったです。
カトリンから誘われて練習後にいったカレーの店。辛さを選べるというんですが、店員がわりと適当で、頼んだのと違う辛さが出てくるっていうのね。それで茶山が激辛ひいちゃって、辛いのは苦手っていってたのにねー、といいたいけど、顔が恍惚! これ、エクスタシーモードなのか。これ、結構な苦痛なんじゃないかと思うけど、表情見てる分にはつらそうとは感じないな……。さらにそのえらい表情を写真に撮られて、それ見せられた時にまた喜びを感じちゃうのか……。
そんな茶山に兄貴からのアプローチ。兄貴もつけてるマスクを茶山につけさせようとするその時の茶山の顔! あれ、ほんと、兄貴の領域に踏み込んじまう瀬戸際だったんだ。あやうい子だな茶山。兄貴に目をつけられてるのがまたヤバいですよね。最高でした。
『氷室君は板野さんの事が覚えられない』
今回、結構な重要回なのでは!? 書店で氷室に手助けしてもらった板野。私の事を覚えてる? と思ったけどそういうわけではなくて、氷室にとってはただの親切ですよね。でもここからお礼をと、板野がぐっと踏み込んでいく。そこからの描写がいい感じだったんですね。
喫茶店にいったら、偶然やってきた長谷川。ふたりともに今の状況バレたくないと、ふたりして店を変えよう、そういいあうところから始まってね、知りあいにバレないように眼鏡を外して髪型変えた板野とかね、もうめちゃくちゃ可愛いなおい! 氷室にとってもよほどのインパクトだったのか、直前までお礼を断るつもりだったのに、なんかその気持ちうやむやにしてしまうしさ、そしてそこから長谷川を避け、瀬本と避けと、手をとって走り回るのが鬼ごっこみたいだっていって、なんだか楽しそうなのですね。
そこで氷室が思い出すんですよ。子供のころ、板野と一緒に鬼ごっこをした思い出。思い出の女の子、すみれちゃんが板野とは結びつかなかった、いや結びつけなかったわけですが、この思い出し、板野のことだけは思い出せないようになっていた氷室にとって、ターニングポイントとなるような大きなきっかけになったりする!?
子供のころのふたりの様子見ると、互いに意識しあったりしてるんですよね。それが板野のことを覚えられなくなったことで、今はその可能性が生じない。もしこの記憶の制限がなくなったらふたりの関係はどうなるのだろう。そうなった時、長谷川との関係は? などなど、いろいろ思わせてくれた回でした。
- 『まんがタイムオリジナル』第40巻第6号(2021年6月号)
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